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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フライトHDは16年3月期の営業黒字化予想を評価
- 2015/5/29 07:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フライトホールディングス<3753>(東マ)はシステム開発や電子決済ソリューションを展開している。株価は安値圏でモミ合う展開だが、16年3月期の営業黒字化予想を評価して反発展開だろう。マイナンバー制度関連も注目点だ。
フライトシステムコンサルティングが13年10月、持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更した。システム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、電子決済ソリューションなどのサービス事業、およびB2B向けECサイト構築パッケージなどのECソリューション事業を展開している。
電子決済ソリューションの分野では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「インクレディスト」およびスマートデバイス決済専用アプリケーション「ペイメント・マスター」の展開を強化している。決済専用アプリ「ペイメント・マスター」は10年9月に提供開始した国内初のBtoB向け決済ソリューションで、高級ホテル、レストラン、観光タクシー、旅行代理店などに導入されている。
14年9月フォウカスとスマートデバイスを用いたモバイルPOS決済システムで協業、14年10月ECサイト構築パッケージソフト「イーシー・ライダー」のDRAGON TECHNOLOGY(11月イーシー・ライダーに商号変更)を子会社化してECソリューション事業も強化している。
また14年12月には、海外での「ペイメント・マスター」および「インクレディスト」の拡販に向けて米国子会社フライトUSAを設立した。今後のICチップ付きクレジットカード決済(EMV決済)および、Apple PayなどのNFC決済においてグローバル展開を推進する。
15年4月にはスマートデバイスを活用したクレジットカード・銀聯カードなど複数の決済処理が可能な新サービス「ペイメント・マスター for J-Mups(ジェイマップス)」を開発し、加盟店向けに提供開始した。接続先決済センターを三菱UFJニコスとJR東日本メカトロニクスが共同で運営する「J-Mups(ジェイマップス)」として、顧客ニーズに合わせた様々な拡張性の高い決済を実現する。
5月19日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比16.7%減の15億92百万円で、営業利益が59百万円の赤字(前々期は1億79百万円の黒字)、経常利益が62百万円の赤字(同1億65百万円の黒字)、純利益が84百万円の赤字(同1億52百万円の黒字)だった。
大型案件が一巡して大幅減収となり、各利益は赤字に転落した。ただし電子決済ソリューションの利益率が想定より改善して、2月12日の減額修正値に対しては赤字幅が縮小した。
セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)に見ると、C&S事業は売上高が同9.9%減の6億20百万円で、営業利益が同93.6%減の3百万円だった。引き合いは堅調だったが、エンジニアの採用や外注パートナーの確保に苦戦して引き合いに十分対応できなかった。
サービス事業は売上高が同21.2%減の9億63百万円で、営業利益が同49.2%減の1億64百万円だった。マルチ電子決済端末「インクレディスト」と決済専用アプリ「ペイメント・マスター」の前々期納品分の追加受注を売上計上したが、新規大口案件が顧客側の都合で16年3月期にズレ込んだ。
ECソリューション事業は売上高が同23百万円で、営業利益が19百万円の赤字だった。14年11月にイーシー・ライダーを子会社化して開始したため、B2B向けECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の開発費用が先行した。今後3年間で100社への導入を目標としている。
なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)3億59百万円、第2四半期(7月~9月)3億円、第3四半期(10月~12月)2億38百万円、第4四半期(1月~3月)6億95百万円、営業利益は第1四半期7百万円の赤字、第2四半期58百万円の赤字、第3四半期77百万円の赤字、第4四半期83百万円の黒字だった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月19日公表)は売上高が前期比31.9%増の21億円で、営業利益が60百万円の黒字(前期は59百万円の赤字)、経常利益が30百万円の黒字(同62百万円の赤字)、純利益が25百万円の黒字(同84百万円の赤字)としている。配当は無配を継続する。
C&S事業でマイナンバー(社会保障・税番号)制度関連および物流関連のシステム開発の大型案件、サービス事業でマルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」の大型案件が寄与して大幅増収となり、研究開発費、マーケティング費、採用費の増加を吸収して黒字化見込みだ。ECソリューション事業でのECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の寄与も期待される。
株価の動きを見ると、安値圏550円近辺でモミ合う展開だ。ただし2月安値491円まで下押すことなく下値固め完了感を強めている。
5月28日の終値553円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円64銭で算出)は209倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS50円12銭で算出)は11倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。下値固めが完了し、16年3月期の営業黒字化予想を評価して反発展開だろう。