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巴工業は調整一巡、21年10月期減益予想だが上振れ余地
- 2020/12/25 08:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
巴工業<6309>(東1)は機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開している。21年10月期は緩やかな需要回復で増収だが、全般的な利益率の低下に加えて、前期抑制した先行投資を実施するため販管費が増加して減益予想としている。ただし保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。なお配当は連続増配予想としている。株価は10月の戻り高値圏から反落してモミ合う展開だ。ただし連続増配予想を好感して下値を切り上げている。低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。
■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開
遠心分離機械などを中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を展開している。
20年10月期のセグメント別売上構成比は機械製造販売事業29%、化学工業製品販売事業71%、営業利益構成比は機械製造販売事業41%、化学工業製品販売事業59%だった。
収益面では、機械製造販売事業が設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高くなりやすい特性がある。
■22年10月期営業利益26億円目標
新中期経営計画では目標値として、22年10月期売上高490億円(機械140億円、化学品350億円)、営業利益26億円(機械9億円、化学品17億円)、経常利益26億円、EBITDA30億円、純利益17億円、そしてROE(純資産利益率)5.7%を掲げている。
重点施策としては、海外事業拡大の継続、さらなる収益性向上、環境負荷軽減、資本効率改善、成長に向けた積極投資、働き甲斐のある職場環境の構築と人材育成を推進する方針だ。
■21年10月期減益予想だが上振れ余地
20年10月期の連結業績は売上高が19年10月期比5.2%減の392億18百万円、営業利益が4.9%減の22億60百万円、経常利益が3.8%減の22億94百万円、純利益が2.3%減の15億32百万円だった。新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で減収減益だったが、各利益は計画を上回り、従来予想に比べて減益幅縮小して着地した。配当は1円増配の48円(第2四半期末23円50銭、期末24円50銭)とした。
機械製造販売事業は2.7%増収だが4.7%減益だった。機械および装置・工事の大型案件も寄与して増収だが、収益性の良い海外向け部品・修理の減少などで減益だった。化学工業製品販売事業は8.1%減収で5.0%減益だった。工業材料分野の自動車・建材用途向け材料、合成樹脂分野の樹脂原料・製品、化成品分野の塗料・インキ用途向け材料が低調だった。
21年10月期の連結業績予想は売上高が20年10月期比5.8%増の415億円、営業利益が8.0%減の20億80百万円、経常利益が9.4%減の20億80百万円、純利益が7.3%減の14億20百万円としている。配当予想は2円増配の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。連続増配である。
緩やかな需要回復で増収だが、全般的な利益率の低下に加えて、前期抑制した先行投資を実施するため販管費が増加して減益予想としている。機械製造販売事業は全分野が伸長して11.2%増収だが、利益率の低下や販管費の増加で14.7%減益、化学工業製品販売事業は合成樹脂原料・製品や自動車・建材用途向け材料が伸長して3.6%増収だが、営業開発関係の販管費の増加で3.3%減益の計画としている。ただし保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は10月末の株主対象
株主優待制度は、毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、ワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。
■株価は調整一巡
株価は10月の戻り高値圏から反落してモミ合う展開だ。ただし連続増配予想を好感して下値を切り上げている。低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。12月24日の終値は1963円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS142円31銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2973円31銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約207億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)