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システムサポートは反発の動き、21年6月期増収増益予想
- 2020/12/29 08:38
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
システムサポート<4396>(東1)は、データベース関連・クラウド関連・ERP関連のソリューション事業を主力としている。収益力向上に向けて、ストック収益のプライベート型クラウドサービスの拡大や、自社開発の統合型基幹システム「役者」シリーズの拡販などを推進している。21年6月期増収増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は11月の直近安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。
■ソリューション事業が主力
データベース関連・クラウド関連・ERP関連サービスなどのソリューション事業を主力として、データセンターサービスやシステム保守・運用などのアウトソーシング事業、パッケージソフト開発・販売などのプロダクト事業も展開している。
20年6月期のセグメント別(連結調整前)売上構成比は、ソリューション事業が83%、アウトソーシング事業が13%、プロダクト事業が4%、その他が0%、売上総利益構成比はソリューション事業が76%、アウトソーシング事業が15%、プロダクト事業が9%、その他が▲0%だった。
主力のソリューション事業は、Oracleデータベースの設計・構築・保守・運用などのデータベース関連サービス、AWSやAzureの基盤構築・導入・移行支援などのクラウド関連サービス、SAPの導入・保守・運用などのERP関連サービス、およびITシステム開発を展開している。
収益力向上に向けてストック収益のプライベート型クラウドサービスを拡大するため、地震の少ない金沢市にデータセンターを設置し、プロダクト事業では自社開発の統合型基幹システム「役者」シリーズの拡販を推進している。また米国シリコンバレーに子会社を設立し、最先端のIT技術・サービスの発掘に努めている。
20年9月には建築業向け工事管理システム「建て役者」について、弁護士ドットコム<6027>のWeb完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」と連携する新オプション機能の提供開始を発表した。20年10月には、米国ServiceNow社の危機対応管理アプリとLINE<3938>のコミュニケーションアプリ「LINE」を連携するアプリを開発し、提供開始した。20年12月には「建て役者」とワークスモバイルジャパンの仕事用「LINE WORKS」が連携した。
■データベース領域やクラウド領域での高い技術力が強み
データベース領域やクラウド領域での高い技術力を強みとしている。
データベース領域では、Oracleデータベース技術者に対する最高峰の認定資格ORACLE MASTER Platinum保有者数が国内累計3位、単年2位(18年8月時点)である。また19年度のORACLE Cloud Platform(PaaS/IaaS)認定資格取得数が国内1位となり、ORACLE Certification Awardを受賞した。
クラウド領域では、米アマゾン社のクラウドサービスAWSに関して、AWSコンピテンシープログラムでOracleコンピテンシーを取得している日本企業のうちの1社である。さらに米マイクロソフト社のクラウドサービスAzureに関して、Gold Cloud Platformパートナーに認定されている。
20年11月にはマイクロソフトのパートナープログラムにおいてAdvanced Specializationを取得した。また金沢市および日本マイクロソフトとの三者で、クラウドを活用した地域活性化に関する連携協定を締結した。
■21年6月期増収増益予想
21年6月期連結業績予想は、売上高が20年6月期比7.2%増の143億42百万円で、営業利益が5.8%増の7億98百万円、経常利益が10.3%増の7億85百万円、純利益が15.3%増の5億18百万円としている。配当予想は20年6月期と同額の10円(期末一括)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比0.1%増の32億77百万円で、営業利益が14.3%増の2億02百万円、経常利益が32.3%増の2億04百万円、純利益が34.4%増の1億36百万円だった。原価率が改善して大幅増益だった。
ソリューション事業は前年の消費増税前駆け込み需要(機器やライセンスの販売)の反動などで0.6%減収だが、クラウドサービス利用支援分野の受注が好調に推移し、生産性向上効果で原価率が改善して6.2%増益だった。アウトソーシング事業は1.7%増収で4.6%増益だった。データセンター業務が堅調に推移したが、データ入力・分析業務の減少で伸び率がやや鈍化した。プロダクト事業は8.0%増収だが7.0%減益だった。前年の高利益率の大型カスタマイズ案件の反動で減益だった。
通期ベースでも需要が引き続き堅調に推移する見込みだ。新型コロナウイルスの影響については、顧客の業績によってはIT投資予算の縮小やプロジェクトの延期などが見込まれるものの、特定顧客への依存度が低いため当該影響は軽微としている。
重点施策として、ソリューション事業においてはデータベースおよびクラウド基盤関連の強化、米国発の企業向けクラウドサービス「ServiceNow」導入・利用支援の強化、ストック収益となるデータセンターの稼働率上昇、自社プロダクトの販売強化などを推進する方針だ。第1四半期が順調であり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。
■株価は反発の動き
株価(20年6月1日付で株式2分割)は11月の直近安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。12月28日の終値は1642円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円32銭で算出)は約33倍、今期用配当利回り(会社予想の10円で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS239円45銭で算出)は約6.9倍、時価総額は約170億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)