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日本エム・ディ・エムは上値試す、21年3月期減収減益予想だが上振れ余地
- 2021/1/4 08:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
日本エム・ディ・エム<7600>(東1)は、整形外科分野の医療機器メーカーで自社製品(米国子会社製品)を主力としている。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で減収減益予想としているが、上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は20年1月の昨年来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお1月29日に第3四半期決算発表を予定している。
■整形外科分野の医療機器メーカー、自社製品が主力
人工関節製品、骨接合材料、脊椎固定器具など整形外科分野を主力とする医療機器のメーカーである。米国の子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品を主力としている。メーカー機能強化によって高収益体質へ転換した。
20年3月期売上構成比は、日本が60%(人工関節25%、骨接合材料21%、脊椎固定器具12%、人工骨1%、その他1%)、米国が40%(人工関節40%、脊椎固定器具0%)で、自社製品比率は83.1%だった。営業利益構成比(調整前)は日本が46%、米国が54%だった。
収益面の特性として、医療機器償還価格の影響や為替変動の影響を受けるほか、整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があるため、業績も下期の構成比が高い特性があるとしている。
■製品開発力・製造力を強化
中期成長に向けた重点施策として、製品開発力・製造力の強化(米ODEV社との日米共同開発や、第1位株主である日本特殊陶業<5334>との連携による高付加価値自社製品の開発強化)、海外ビジネス(北米市場での拡販、中国市場での販売基盤確立、新規市場としてオーストラリアでの販売開始検討)の拡大、日本市場における注力販売製品分野(大腿骨頸部転子部骨折治療分野、脊椎固定器具分野、人口股関節分野)のシェア拡大、業務効率化とSCM強化を推進している。
20年6月には、米ODEV社が17年に中国CPP社と締結した中国における独占販売提携契約を解除し、新たに中国の大手整形外科メーカーのWASTON社と中国における独占販売契約を締結した。
20年7月には、米ODEV社が開発・製造した人工股関節新製品「ピボットバイポーラXCEL」の日本における薬事承認を取得し、販売開始した。また20年10月には、米ODEV社製造の骨接合材料「Flex Thread Clavicle ネイル」の薬事承認を取得した。21年1月から順次販売する。
■21年3月期減収減益予想だが上振れ余地
21年3月期連結業績予想(10月23日に売上高を下方修正、利益を据え置き)は、売上高が20年3月期比3.8%減の174億円で、営業利益が16.8%減の22億円、経常利益が18.7%減の21億円、純利益が26.1%減の16億円としている。配当予想は1円増配の11円(期末一括)である。
第2四半期累計は売上高が前年同期比11.7%減の77億53百万円、営業利益が34.9%減の8億23百万円、経常利益が34.1%減の8億06百万円、純利益が42.9%減の5億26百万円だった。日本国内、米国とも、新型コロナウイルス感染症患者優先の影響で整形外科分野の症例数が減少したため減収減益だった。
日本国内販売は3.5%減収(人工関節が5.4%減収、骨接合材料が8.4%減収、脊椎固定器具が10.0%増収、人工骨が15.8%減収、その他が13.0%減収)で、円換算後の米国販売は24.0%減収(人工関節が23.8%減収、脊椎固定器具が62.7%減収)だった。
減収減益だったが、売上高・利益とも計画を上回った。日本では人工関節および脊椎固定器具分野の症例数減少が想定より少なく、米国でも人工関節分野の手術が早期に再開されて症例数が回復傾向となった。コスト面では営業活動自粛によって経費が想定以上に減少した。
通期の連結業績予想については、新型コロナウイルスの影響長期化で、下期の症例数減少が期初想定を上回る見通しであること、医療従事者への対面営業活動の制約が継続することなどで、売上高を下方修正している。しかし売上高の減少に伴って支払手数料など変動経費の減少が見込まれるため、利益予想を据え置いている。
セグメント別の売上計画は、日本国内販売が0.9%増の110億20百万円(人工関節が1.7%減の44億40百万円、骨接合材料が0.3%増の37億70百万円、脊椎固定器具が11.2%増の24億60百万円、人工骨が20.0%減の2億円、その他が18.2%減の1億50百万円)で、円換算(為替換算レート1ドル=106円)後の米国販売が10.9%減の63億80百万円(人工関節が10.6%減の63億73百万円、脊椎固定器具が81.6%減の6百万円)としている。自社製品比率は81.6%の見込み(20年3月期実績は83.1%)としている。
当面は感染再拡大の影響が意識されるが、第2四半期累計が計画超だったことを勘案すれば、通期も上振れ余地がありそうだ。
■株価は上値試す
株価は順調に水準を切り上げて20年1月の昨年来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。12月30日の終値は2362円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円64銭で算出)は約39倍、今期予想配当利回り(会社予想の11円で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS641円61銭で算出)は約3.7倍、時価総額は約625億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)