外国人主導で強調相場の可能性強いが、個人の中長期はもうしばらく様子見が賢明=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

相場には、「常識破り」は起こりうることである。『もうはまだなり』という格言は、まさに今のような日経平均11日連騰のような時のことを指していうのだろう。常識で考えれば、もう押すだろうと思うのが普通だが、なかなか押さない。ガマンたまらず買いついたら天井ということもしばしば起こりうることである。

同時に昔から、『記録破りは天井と心得よ』とも教えている。今回の連騰記録は1988年2月の13連騰以来ということらしい。この記録更新の可能性もあるだろう。

ただ、1988年頃とは違う点も多々ある。当時は1989年のバブル相場で日経平均が3万8915円をつけた頃である。今回の日経平均は連騰とはなっているものの

バブル最高値に比べ現在はまだ47%も下にある。とくに、当時は中低位の数量銘柄も買われ出来高も活発で投資参加者の多くが熱狂的だった。

今回は中低位銘柄がほとんど放置されたままで、とくに、今回はJPX日経400に代表される選ばれし銘柄が中心の相場である。さらに、今回は個人投資家は冷静で、むしろ、利食い売りを優先させている点が大きい違いといえる。

今回の主役は外国人投資家である。日本企業がROE重視経営に転じたことでROEが10%を超える銘柄を中心に買い進んでいる。こうした優良銘柄は個人投資家がそうとう利食っていることから需給関係がよく、機関投資家の思うがままに近い相場展開になっているといえるだろう。この点からは、まだ優良株相場は継続する可能性があり、日経平均の上値も記録破りとなる可能性はありそうだ。

ただ、いつまでも上がり続ける相場はない。今のドル高についても、売り立てた筋の買い戻しが中心とみられ買い戻しが一巡すればドル安(円高)に振れる可能性はあるだろう。ドル高の背景をアメリカ景気の強いこと、年内利上げに求めるには弱い材料と思われる。この数カ月のアメリカ景気はさほど変化はなさそうだし、年内利上げも今、急に言われ出したことではないからだ。

短期狙いの個人投資家は主流銘柄に飛び乗り飛び降りでついて行くのがよいだろう。しかし、乗り遅れ気味の中長期投資家はもうしばらく新規買いは様子を見るところだろう。外国人投資家がバカンスを迎える夏場の動きを見てからでも間に合うものとみられる。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る