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星光PMCは調整一巡、21年12月期収益拡大期待
- 2021/1/8 08:13
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開し、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)の拡販を推進している。20年12月期は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で減収減益予想だが、21年12月期は需要回復して収益拡大を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開
DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、樹脂事業(印刷インキ用樹脂、記録材料用樹脂、CNF、19年1月株式追加取得して連結子会社化した台湾・新綜工業(台湾)の粘着剤)、および化成品事業(子会社KJケミカルズの機能性モノマー)を展開している。
19年12月期売上高構成比は製紙用薬品事業61%、樹脂事業25%、化成品事業14%、利益構成比(調整前)は製紙用薬品事業57%、樹脂事業26%、化成品事業17%だった。
■21年12月期営業利益30億円目標
中期経営計画「New Stage 2021」では、基本方針に国内事業基盤の強化、海外事業拡大・新規事業構築に向けた施策の実施、長期的視点に基づいた経営基盤の構築を掲げている。
国内事業基盤の強化では営業および開発体制の強化、製品ポートフォリオの変革、海外事業拡大・新規事業構築に向けた施策の実施では台湾・新綜工業による粘着剤の事業拡大、ベトナム生産現法設立による製紙用薬品の海外事業拡大、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)事業の拡大、長期的視点に基づいた経営基盤の構築では海外人材の採用・育成、人事・教育制度の整備を推進する。
目標数値には21年12月期の売上高320億円、営業利益30億円、営業利益率9.4%、海外売上高比率30%以上、Green Index(独自に定義した環境戦略製品売上高の18年12月実績を100とした指数)126を掲げている。
セグメント別には、製紙用薬品事業の売上高185億円で営業利益(連結調整前)19億87百万円、樹脂事業(CNF、AgNW、新綜工業を含む)の売上高92億円で営業利益9億41百万円、化成品事業の売上高43億円で営業利益4億64百万円としている。
19年12月には東南アジアにおける製紙用薬品の生産拠点として、ベトナムにSEIKO PMC VIETNAMを設立した。21年末に生産開始予定である。
■CNF複合材料の採用拡大
次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。
18年1月CNF複合材料「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化として、アシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料に「STARCEL」が採用され、全世界で累計500万足以上販売されている。19年10月には環境省NCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクト製作のコンセプトカーに採用された。
20年8月にはNEDO助成事業の「革新的CNF製造プロセス技術の開発」の助成先に採択されたと発表している。事業期間は20年度~24年度である。
この他の新製品・注目製品として、脱プラスチック・包装材料の紙化を推進する紙塗工用耐水・耐油オールアクリルエマルション、造水膜などに発生するバイオフィルムの形成を抑えるバイオフィルムコントロール剤などの拡販も推進する。
■20年12月期は上方修正して減益幅縮小、21年12月期収益拡大期待
20年12月期の連結業績予想(8月7日に下方修正、11月12日に上方修正)は、売上高が20年12月期比8.1%減の257億円、営業利益が17.6%減の23億円、経常利益が18.0%減の23億30百万円、そして純利益が25.6%減の14億60百万円としている。配当予想は19年12月期と同額の16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。
第3四半期累計は、新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を受けて、売上高が前年同期比9.0%減の188億69百万円、営業利益が14.9%減の16億58百万円、経常利益が14.2%減の16億83百万円、純利益が23.7%減の10億66百万円だった。
化成品事業は輸出の好調で6.7%増収・34.6%増益、樹脂事業は5.6%減収だが原価低減効果で3.0%増益だったが、主力の製紙用薬品事業が日本および中国市場の落ち込みで14.0%減収・31.4%減益だった。
通期ベースでも新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を受けるが、第3四半期累計が想定を上回ったため通期予想を上方修正し、従来予想に比べて減収減益幅が縮小する見込みとしている。さらに21年12月期は需要回復して収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。1月7日の終値は715円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS48円15銭で算出)は約15倍、前期推定配当利回り(会社予想の16円で算出)は約2.2%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS850円11銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約220億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)