- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ハウスドゥは反発の動き、21年6月期大幅増益予想
ハウスドゥは反発の動き、21年6月期大幅増益予想
- 2021/1/20 08:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ハウスドゥ<3457>(東1)はFinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。FCチェーンネットワークや高齢化社会に対応した不動産ソリューションを強みとしている。21年6月期はフランチャイズ事業やハウス・リースバック事業が牽引して大幅増益(レンジ)予想としている。収益拡大を期待したい。株価は10月の戻り高値圏から一旦反落したが反発の動きを強めている。出直りを期待したい。なお2月10日に21年6月期第2四半期決算発表を予定している。
■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業
住まいのワンストップサービスを展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。
不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。
FCチェーンネットワークや高齢化社会に対応した不動産ソリューションなど顧客接点・地域密着ネットワークを構築し、売買仲介を起点として住まい関連サービスにつなげる事業シナジーを強みとしている。
■ストック収益型事業が収益柱
ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業(不動産担保ローン事業、リバースモーゲージ保証事業)を成長強化事業と位置付けて収益の柱としている。なおハウス・リースバック事業では、取得した収益不動産物件の売却も進めている。
成長強化事業の20年6月期営業利益構成比は77.2%(フランチャイズ事業が36.6%、ハウス・リースバック事業が40.0%、金融事業が0.6%)となり、19年6月期比6.4ポイント上昇した。
フランチャイズ事業の20年6月期末累計加盟契約数は19年6月期末比41店舗増加の643店舗、累計開店店舗数は59店舗増加の556店舗となった。20年9月には山形県の企業とフランチャイズ契約を締結し、全国47都道府県すべてに出店契約を達成した。中期的には国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。
20年10月にはFC「HOUSEDO」の新ブランドロゴ、および店舗デザイン一新を図った第1号店イメージを公開した。21年1月から順次導入する。
ハウス・リースバック事業の保有物件数は97件減少の217件、保有物件総額は18億48百万円減少の33億29百万円だった。HLB6号ファンドへの売却(譲渡価格約39億円)で期末保有物件は減少したが、契約件数は106件増加の660件、物件取得数は129件増加の634件と順調に増加している。
金融事業の不動産担保融資実行件数は21件増加の207件、不動産担保融資残高は28億82百万円増加の110億45百万円、リバースモーゲージ保証件数は16件増加の145件、リバースモーゲージ保証残高は7億86百万円増加の34億円だった。残高積み上げによって収益が拡大している。
■ハウス・リースバック事業や保証事業を強化
中期経営計画では目標数値を、22年6月期売上高437億61百万円、営業利益47億66百万円、経常利益45億円、純利益29億70百万円としている。
重点戦略として、フランチャイズ事業の店舗数拡大、ハウス・リースバック事業の仕入強化、リバースモーゲージ保証事業の拡大、海外展開、M&Aへの積極的取り組みなどを推進する。20年8月にはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部を設立した。グループの事業展開におけるDX推進に向けた環境整備および具体的な取り組みを促進する。
M&A・アライアンスでは、19年6月エアトリステイおよびAirbnbと加盟店の空室活用で包括的業務提携、19年7月三井住友海上火災保険とFC加盟店対象の包括賠償制度「FC Triple Guard」を開発・提供開始、19年8月埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介を展開する小山建設グループを子会社化、20年7月子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更した。またリバースモーゲージ保証事業で地域金融機関との提携を推進している。21年1月には楽天銀行と提携した。
■21年6月期大幅増益予想
21年6月期の連結業績(レンジ)予想は、売上高が339億76百万円~375億32百万円(20年6月期比3.3%増~14.2%増)、営業利益が27億13百万円~35億12百万円(43.3%増~85.5%増)、経常利益が25億円~33億円(45.7%増~92.2%増)、純利益が16億50百万円~21億78百万円(60.1%増~111.3%増)としている。配当予想は未定としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比24.1%増の75億23百万円で、営業利益が8.4倍の3億15百万円、経常利益が7.3倍の2億57百万円、純利益が1億52百万円(前年同期は0百万円)だった。
フランチャイズ事業(20.5%増収)、金融事業(35.1%増収)、不動産売買事業(2.1倍増収)が牽引して売上高が第1四半期として過去最高となり、売上総利益が増加した。コスト面では成長強化事業への継続投資で人件費や広告宣伝費が増加したが、その他販管費のコントロールやM&A関連費用の減少も寄与した。なおハウス・リースバック事業は41.1%減収だが、保有残高の積み上げに注力して仕入契約件数が21.7%増加した。
通期のセグメント別営業利益計画は、フランチャイズ事業が20億42百万円、ハウス・リースバック事業が21億43百万円~23億94百万円、金融事業が2億円~3億01百万円、不動産売買事業が4億93百万円~8億39百万円、不動産流通事業が5億80百万円、リフォーム事業が1億77百万円~2億78百万円、小山建設グループが2億53百万円、調整額が▲31億78百万円としている。
通期は先行きが不透明であることを考慮してレンジ予想としたが、各種取り組み効果で大幅増益予想としている。なお20年12月にはハウス・リースバック事業において、HLB7号ファンドへの不動産信託受益権譲渡が完了(業績予想に織り込み済み)した。フランチャイズ事業やハウス・リースバック事業が牽引して収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年6月末の株主対象
株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。株主優待ポイント表に基づいて進呈されるポイントを、株主限定特設インターネット・サイト「ハウスドゥプレミアム優待倶楽部」において、食品や電化製品などと交換(詳細は会社HP参照)できる。
■株価は反発の動き
株価は10月の戻り高値圏から一旦反落したが反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。1月19日の終値は1261円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS上限値111円75銭で算出)は約11倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS592円27銭で算出)は約2.1倍、時価総額は約246億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)