【編集長の視点】古野電気は続落も業績再上方修正に教育ICT人気を手掛かりに突っ込み買い一考

 古野電気<6814>(東1)は、前日20日に15円安の1131円と4営業日続落して引けた。日経平均株価が、110円安と反落したことから、今年1月14日に昨年来高値に肉薄する1374円高値をつけた同社株にも目先の利益を確定する売り物が増勢となった。しかし、同社は、今2021年2月期業績を2回も上方修正しV字回復を鮮明化しており、教育ITC市場では「GIGAスクール構想」に伴い無線LANアクセスポイントが大幅増となっているテーマ性もあり、下値は突っ込み買いも一考余地がありそうだ。

■3Qの無線LAN事業は売り上げ倍増、利益3.6倍

 同社の今2021年2月期業績は、昨年8月の開示業績が昨年10月に第2四半期(2Q)業績と通期業績が上方修正され、12月には2月期通期業績が再上方修正された。この結果、2月期通期業績は、売り上げ820億円(前期比1.3%減)、営業利益35億円(同45.1%増)、経常利益40億円(同48.0%増)、純利益35億円(同71.5%増)と大幅増益転換が見込まれている。舶用事業では商船向け、漁業向けが期初の落ち込みから緩やかに回復し、産業用事業ではヘルスケアの生化学自動分析装置などが、堅調に推移し、無線LAN・ハンディターミナル事業では売り上げ、セグメント利益とも大幅な増収増益が続いていることが要因となっている。

 とくに無線LAN・ハンディターミナル事業では、一人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境を整備する「GIGAスクール構想」の推進に伴い、高シェアを握る同社の無線LANアクセスポイントが期を追うごとに大きく伸びており、今期第3四半期(2020年3月~11月期、3Q)の同事業は、売り上げが60億8000万円(前年同期比2.01倍)、セグメント利益は22億4800万円(同3.68倍)と大幅続伸した。

■年初来急伸幅が剥落しPER10倍台、PBR0.8倍と売られ過ぎ

 株価は、昨年1月の昨年来高値1388円から前期業績の下方修正とコロナ・ショック安の波及で年初来安値663円まで大きく売られ、下げ過ぎ修正に「GIGAスクール構想」関連株人気が加わって底上げ、2Q業績の上方修正でストップ高し、今2月期業績の1回目の上方修正では1284円をつけ、年明け後は1375円まで200円超高し、2回目の上方修正では材料出尽くし感もありこの上昇幅を上回る調整となった。PERは10倍台、PBRは0.81倍と売られ過ぎで、「リターン・リバーサル」妙味を示唆しており、直近高値抜けから昨年来高値1388円を奪回し、次の上値フシとして2018年10月高値1558円が意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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