ナルミヤ・インターナショナルは上値試す、21年2月期は新型コロナ影響だが売上回復基調

 ナルミヤ・インターナショナル<9275>(東1)はベビー・子供服の企画販売をSPA形態で展開し、SC向けやECを強化している。21年2月期第3四半期累計は新型コロナウイルスの影響で大幅減収減益だった。ただし四半期別に見ると第3四半期は前年同期比増収・営業増益だった。上期に新型コロナウイルスの影響が直撃したため通期ベースで減収減益は避けられないが、売上回復基調であり、通期上振れ余地がありそうだ。EC拡大で中期成長も期待したい。株価は急伸して戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■ベビー・子供服のSPA(製造小売)

 0歳~13歳のベビー・子供服の企画販売をSPA(製造小売)形態で展開し、SC(ショッピングセンター)向けやEC(ネット通販)を強化している。販売チャネル・テイストの異なる20ブランドを展開し、国内最大手の子ども服メーカーとして高品質な最新キッズファッションを先導している。なお19年3月に資本業務提携したワールドが第1位株主となっている。

 19年3月には男児向けカジュアルウェアのハートフィールを子会社化した。20年12月には子供向けフォトスタジオ事業のLOVSTを子会社化した。

 20年2月期のチャネル別売上構成比は百貨店が27.5%、SCが41.4%、ECが18.5%、その他(アウトレット、卸売、フォトスタジオ、ライセンス販売など)が12.6%だった。かつては百貨店への依存度が高かったが、事業ポートフォリオの分散・適正化を推進して、SCとECの構成比が上昇基調である。

 20年2月期末の直営店舗数は、百貨店(売場数×ブランド数で計算)が575店舗、SCが184店舗だった。また20年2月期のチャネル別売上総利益率は百貨店が51.4%、SCが60.5%、ECが53.4%だった。なお21年2月期上期に百貨店の不振ジュニア3ブランドを休止して138店舗(コーナー)撤退した。

 収益面では、個人消費や天候の影響を受けるとともに、商品単価の高い冬物衣料や福袋の販売、クリアランスセールなどで下期(9月~2月)の構成比が高い季節特性がある。

■SC向けやECを強化

 変化の激しい子供服市場におけるオンリーワン・ナンバーワンを目指し、中期成長に向けた基本方針として、収益力の向上(ブランドポートフォリオの構築、販売ポートフォリオの構築、生産・物流の効率化)、人材の育成、企業体質の強化(新市場の開拓、新カテゴリーの開発、アジアを中心とする海外市場への進出)を掲げている。

 マルチチャネル・マルチブランド戦略を基本として、市場変化に対応して販売チャネルおよびブランドのポートフォリオの最適化に留意しながら経営資源を配分する。具体的には少子高齢化の事業環境に対して、百貨店向けの高価格帯からSC向けの中価格帯への軸足シフト、EC強化によるオムニチャネル化を推進している。また子供とその家族をターゲットとして、提供すべき価値をモノ(洋服)からコト・サービスへと拡大することで、キッズライフ企業への成長を目指すとしている。

 20年7月には組織変更を実施した。激変する外部環境に対してスピード感をもって順応できる事業体に変質させることを目的として、組織を社長直轄に改編するとともに、EC部門の分析・戦略立案機能を強化している。また経理部内にIR部門を新設した。20年9月には、公式オンラインショップ「ナルミヤオンライン」の店舗受取サービスを全国102店舗で開始した。

■21年2月期は新型コロナ影響だが売上回復基調で上振れ余地

 21年2月期の連結業績予想(期初時点では未定、7月16日に公表)は、売上高が20年2月期比6.6%減の307億76百万円、営業利益が72.8%減の4億52百万円、経常利益が73.3%減の4億33百万円、純利益が89.3%減の1億06百万円としている。新型コロナウイルスの影響で減収・大幅減益予想としている。配当予想は未定としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比13.1%減の202億31百万円、営業利益が77.2%減の2億54百万円、経常利益が77.0%減の2億44百万円、純利益が77百万円の赤字(前年同期は6億14百万円の黒字)だった。特別利益には助成金収入2億91百万円、特別損失には臨時休業による損失4億62百万円を計上した。

 ECが巣ごもり消費や拡販施策で43.6%増収と大幅伸長したが、店舗売上が新型コロナウイルスによる臨時休業・営業時間短縮の影響を受けた。百貨店は33.2%減収、SCは20.9%減収だった。店舗展開は新規出店が百貨店25店舗、SCが12店舗で、退店は百貨店が150店舗、SCが2店舗だった。百貨店は8月に不採算のジュニア3ブランドを休止(百貨店売場から撤退)した。フォトスタジオ事業は子会社化したLOVSTを含めて5店舗となった。

 なお四半期別に見ると、売上高は第1四半期46億24百万円、第2四半期73億29百万円、第3四半期82億78百万円、営業利益は第1四半期4億35百万円の赤字、第2四半期2億55百万円の赤字、第3四半期9億45百万円の黒字となる。第3四半期は前年同期比で2.5%増収、32.3%営業増益だった。SC売上も前年比増収に転じた。新型コロナウイルスの影響が直撃した第1四半期をボトムとして売上回復基調である。

 月次売上(単体ベース前年比速報値)によると20年12月は全店97.7%、既存店99.2%だった。新型コロナウイルス感染再拡大でもほぼ前年並みを確保している。上期に新型コロナウイルスの影響が直撃したため通期ベースで減収減益は避けられないが、売上回復基調であり、通期上振れ余地がありそうだ。EC拡大で中期成長も期待したい。

■株主優待は毎年2月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年2月末現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて10%ディスカウント券を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 株価は第3四半期の業績を好感する形で急伸して戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月20日の終値は992円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円53銭で算出)は約94倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS428円24銭で算出)は約2.3倍、時価総額は約100億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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