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KeyHolderは売り一巡、総合エンターテインメント事業の展開加速
- 2021/1/22 08:14
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
KeyHolder<4712>(JQ)は総合エンターテインメント事業を中心とする収益柱構築を目指し、20年12月に第一興商との資本業務提携、およびSMEJ Plusとの資本業務提携を発表している。また親会社のJトラストが株式の一部を譲渡して持分法適用関連会社となる。20年12月期はM&A効果で黒字予想としている。総合エンターテインメント事業の展開を加速して中期的に収益改善基調を期待したい。株価は上値を切り下げる形で軟調だったが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。なお2月12日に20年12月期決算発表を予定している。
■総合エンターテインメント事業の展開加速
17年10月に旧アドアーズが持株会社へ移行して商号を現KeyHolderに変更、18年3月に子会社アドアーズを譲渡してアミューズメント施設運営事業から撤退、20年9月にプロスペクト<3528>と株式交換によって子会社キーノート(現グローベルス)の不動産事業・商業施設建築事業をグループアウトした。
子会社譲渡およびM&Aによって現在は、アイドルグループ「SKE48」などの管理・運営を行う総合エンターテインメント事業を中心に、バラエティ番組・テレビドラマ・映画製作などを行う映像制作事業、大手CVSチェーンにおける販促企画を提供する広告代理店事業を展開し、新たな収益柱構築を目指している。
20年8月には、映像コンテンツやライブコンサートなどのトータルプロデュース事業を行うノース・リバーを連結子会社化、アイドルグループ「乃木坂48」を運営する芸能プロダクション会社の乃木坂LLC(ノース・リバーが持分50%保有)を持分法適用関連会社化した。
現在の事業体制・主要グループ会社は、アイドルグループ「SKE48」マネジメント等(ライブ・エンタメ事業)のゼスト、トータルプロデュース事業のノース・リバー、アイドルグループ「乃木坂48」運営の乃木坂LLC(持分法適用関連会社)、イベント企画・運営やモデルマネジメント等のホールワールドメディア(角川春樹事務所と合弁)、カラーコンタクトレンズ販売のFA Project、広告代理店事業やデジタル・コンテンツ事業のallfuz、テレビ番組など映像制作事業のUNITED PRODUCTIONS、映像制作関連クリエイター・スタッフ派遣のワイゼンラージである。
コンテンツ開発から総合的なマネタイズまでを構築する体制となり、今後は映像コンテンツ業界におけるコンテンツサプライヤーおよびコンテンツホルダーとして、コンテンツ(アーティスト、タレント、プロスポーツ選手など)の拡充、グループリソースを活用した展開をサポートするためのエージェント機能の強化、媒体・モデルを活用した情報発信などを推進し、グループシナジーによって新たな収益柱の構築を目指す方針だ。
さらに20年12月には、第一興商<7458>と資本業務提携(第一興商を割当先とする新株式発行、コンテンツ・マネジメント・ライツ・出版・新サービス関連での業務提携)、および韓国大手芸能事務所エスエム・エンタテインメントの日本法人SMEJの子会社SMEJ Plusと資本業務提携(SMEJ Plusを割当先とする新株式発行、ファンクラブ関連・新規ファンビジネス関連での業務提携)した。
また20年12月には、親会社のJトラスト<8508>が保有する当社株式の一部を、ミクシィ<2121>が設立したミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合など5社に譲渡した。Jトラストが引き続き筆頭株主で、当社はJトラストの持分法適用関連会社となる。
■20年12月期はM&A効果で黒字予想
20年12月期の連結業績(IFRS)予想は、売上収益が80億円、営業利益が3億円、親会社所有者帰属当期利益が4億円としている。キーノート(現グローベルス)のグループアウトに伴って、不動産事業および商業施設建築事業を非継続事業に分類して表示するため、8月12日に、従来予想に対して売上収益を60億円、営業利益を2億円それぞれ下方修正し、当期利益を据え置いた。配当予想は株式併合に伴って10円(期末一括)に修正しているが実質的な変更はない。
第3四半期累計は売上収益が62億77百万円、営業利益が20百万円の黒字、親会社所有者帰属四半期利益が43百万円の赤字だった。第3四半期にノース・リバーを連結子会社化、アイドルグループ「乃木坂46」運営の乃木坂46合同会社を持分法適用会社化、不動産事業・商業施設建築事業を非継続事業とした。
新型コロナウイルスでライブやイベントの中止、所属アーティストの活動自粛などの影響を受けたが、オンラインに切り替えて活動を推進した。セグメント別利益は総合エンターテインメント事業が7億22百万円、映像制作事業が1億32百万円、広告代理店事業が3億06百万円の赤字、その他事業が21百万円の赤字だった。なお減損処理による投資有価証券評価損2億14百万円を計上した。
20年12月期は新型コロナウイルスの影響を受けるが、M&A効果で黒字予想としている。さらに総合エンターテインメント事業の展開を加速して中期的に収益改善基調を期待したい。
■株主優待制度を変更
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は19年3月期末から対象株主を1000株(10単元)以上保有株主に変更した。さらに決算期変更、新型コロナウイルスの影響、株式併合(20年8月15日付で10株を1株に併合)に伴って、基準日を毎年12月31日に変更した。また新たな株主優待として「KeyHolder Premium Club」を開始する。300株以上保有株主を対象に、保有株式数に応じてポイントを付与する。
■株価は売り一巡
株価(20年8月15日付で10株を1株に併合、1株当たり数値は株式併合後)は上値を切り下げる形で軟調だったが、売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。1月21日の終値は871円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS24円50銭で算出)は約36倍、前期推定配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.1%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS724円30銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約151億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)