ジオネクストじわりモミ合い放れの展開、今期売上10倍、黒字転換を見直す

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チャート4 ジオネクスト<3777>(JQS)は、4円高の150円と値を上げ140円台のモミ合いを放れる展開となっている。年初来高値は4月23日の172円、同安値は3月30日の122円となっている。

 今期(15年12月期)は、連結売上高が前期比10.2倍の27億円、営業利益が1億50百万円(前期は1億75百万円の赤字)、経常利益が1億14百万円(同2億46百万円の赤字)、純利益が1億14百万円(同2億74百万円の赤字)の黒字化としている。

 再生可能エネルギー事業の太陽光発電関連(売電開始と発電所売却)およびO&Mサービスの本格稼働が牽引して営業黒字化見通しだ。太陽光発電所は買い取り価格32円/kWで19ヶ所が確定している。完成後に半数程度を売却してO&Mサービスを受託する計画だ。なお営業外費用では遺伝子治療研究所に対する持分法投資損失として36百万円を見込んでいる。

 中期成長に向けた基本戦略として、14年に開始した新規領域の再生可能エネルギー事業に収益柱をシフトし、従来のIT関連事業と環境事業の収益性を確保しつつ、新規領域のヘルスケア事業の拡大・収益化も目指す方針としている。

 再生可能エネルギー事業のO&M(Operation & Maintenance)は、太陽光発電所事業者から運用・保守・管理業務を受託するサービスで、15年12月期第2四半期(4月~6月)の稼働開始を計画している。

 独自開発した最先端の24時間365日対応常時遠隔監視・制御システム、監視カメラによる犯罪防止のための常時監視、発電データの管理、官公庁への報告書の作成、保安規程に基づく定期点検の実施、草刈・除雪・太陽光パネル清掃といった発電所構内の管理、さらに地域の各種行事・イベントへの参加といった地域との共生までワンストップサービスで受託する。

 電力会社からの出力抑制要請(電力会社が必要に応じて太陽光発電で発電した電気の買い取りを制限できる制度)にも対応して、監視・制御センターでの遠隔操作で常時監視・制御するためコスト低減と安全な運用が可能となる。既存の太陽光発電所からの受託件数増加が予想されているため、O&Mサービス収入をストック型ビジネスモデルの収益柱として育成する方針だ。

 また先端医療関連の遺伝子治療研究所は、パーキンソン病、ALS(筋委縮性側素硬化症)、アルツハイマー病を対象として、AAV(アデノ随伴ウイルスベクター)による遺伝子導入製剤の開発に取り組んでいる。

 遺伝子治療は、遺伝子または遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与することにより病気を治療する最先端医療である。iPS細胞のようながん化のリスクもない。そして脳と脊髄の神経細胞に遺伝子を送達するために、ウイルスを遺伝子のベクター(運び屋)として使用する方法が優れているとされ、ウイルスの中でも非病原性のAAVが最も安全性が高く、今後の遺伝子治療においてはAAVが主流になるとされている。

 遺伝子治療研究所が開発に取り組んでいる進行したパーキンソン病に対する新しい遺伝子治療戦略は、パーキンソン病においても脱落することなく残っている被殻内の神経細胞に、ドパミン合成に必要な酵素の遺伝子を導入してドパミン産生能を回復させる治療法だ。

 パーキンソン病を対象とする遺伝子導入製剤の開発に目途がつき、15年7月~9月期にセルバンクシステム(製剤生産の基本となる仕組み)が完成し、16年前半から前臨床試験、17年前半からフェーズⅠを開始する見込みだ。注目度が高まりそうだ。

 14年2月発表に中期経営計画ローリングプラン(15年12月期~17年12月期)では、経営目標値として17年12月期売上高55億円、営業利益14億50百万円、経常利益14億円、純利益8億40百万円を掲げている。なお本計画では第15回新株予約権(14年12月発行)の行使は前提としていない。

 再生可能エネルギー事業の地熱・温泉バイナリー発電は、鹿児島県指宿市山川地区の2ヶ所において源泉使用権および発電機を設置する土地を取得済みである。16年前半に10ヶ所程度で売電を開始し、17年12月期に収益が本格化する計画だ。

 ヘルスケア事業は、新株予約権行使による資金調達の状況に合わせて、東北地方や北関東地方を中心に調剤薬局6店舗程度を開設する方針だ。

 IT関連事業と環境事業は規模拡大ではなく、付加価値の高い商品・サービスの提供で収益性を確保するとともに、再生可能エネルギー事業への人員活用などでシナジー効果も高める方針だ。再生可能エネルギー事業におけるストック型ビジネスモデルが牽引して収益改善基調だろう。

 なお14年12月発行の第15回新株予約権340個(=3400万株)について、4月14日と5月21日に一部譲渡を発表している。割当先であるEVO FUNDから、S&BROTHERS(シンガポール)へ200個(=2000万株)(5月8日譲渡完了)、および当社第4位株主である須田忠雄氏へ35個(=350万株)譲渡する。

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