川崎近海汽船は21年3月期営業・経常利益予想を2回目の上方修正

(決算速報)
 川崎近海汽船<9179>(東2)は1月29日の取引時間中に21年3月期第3四半期累計の連結業績を発表した。新型コロナウイルスの影響で減収減益だったが、通期の売上高および営業・経常利益予想を上方修正した。営業・経常利益は2回目の上方修正で、営業利益は従来の赤字予想から黒字予想に転換した。収益回復基調を期待したい。株価は戻り一服となってモミ合う形だが出直りを期待したい。

■21年3月期3Q累計減益だが、通期営業・経常利益予想を再上方修正

 21年3月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比18.3%減の278億20百万円、営業利益が53.5%減の9億66百万円、経常利益が64.5%減の7億42百万円、純利益が57.3%減の6億95百万円だった。

 新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で荷動きが低迷し、運送契約終了による運航席数減少や燃料価格下落に伴う運賃減少も影響して減収減益だった。近海部門は29.1%減収、内航部門は13.1%減収、OSV部門は27.7%減収だった。特別利益には固定資産売却益(外航船売船)と違約金収入、特別損失には用船契約解約金を計上した。

 なお四半期別の営業利益は、第1四半期が3億16百万円の赤字、第2四半期が5億51百万円の黒字、第3四半期が7億31百万円の黒字だった。荷動き・市況が緩やかに回復して収益回復基調だ。

 通期連結業績予想は、従来予想に対して売上高を11億円上方修正、営業利益を4億50百万円上方修正、経常利益を5億50百万円上方修正、純利益を据え置いて、売上高が20年3月期比17.2%減の367億円、営業利益が86.9%減の2億50百万円、経常利益が0百万円(20年3月期は19億07百万円の黒字)、純利益が0百万円(同13億70百万円の黒字)とした。営業利益と経常利益は2回目の上方修正である。

 第4四半期も新型コロナウイルスによる厳しい事業環境が継続し、季節要因による荷動きの落ち込みも想定されるが、第3四半期の荷動きが想定を上回ったことに加えて、燃料価格が想定を下回っていることも寄与する。営業利益は従来の赤字予想から黒字予想に転換した。引き続き新型コロナウイルスの影響で厳しい状況だが、収益回復基調を期待したい。

■株価は出直り期待

 株価は戻り一服となってモミ合う形だ。上方修正に対して反応薄だったが、地合い悪化が影響しただろう。収益回復基調を評価して出直りを期待したい。1月29日の終値は2525円、時価総額は約75億円である。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る