インフォメーションクリエーティブ 中期計画について代表取締役社長山田亨氏が語る
- 2014/12/9 06:59
- 決算発表記事情報
■14年9月期の売上高は過去最高であった08年9月期にあと一歩と迫る
インフォメーションクリエーティブ<4769>(JQS)は、中期経営計画(14年9月期~16年9月期)を発表している。基本戦略としてソフトウェア開発・システム運用などのITソリューション事業の安定成長、自社パッケージ開発・販売のITサービス事業の成長加速、強固な人材・組織基盤の構築を推進するとしている。具体的な経営目標値は16年9月期売上高80億円(ITソリューション事業76億円、ITサービス事業4億円)、売上高経常利益率8.0%。また、長期ビジョンとして、100億円企業、東証2部上場を掲げている。
同社は、ITソリューション(ソフトウェア開発、システム運用)、ITサービスの2事業を展開している。顧客は、日立システムズや日立ソリューションズなど、日立製作所グループ向けが全体の約6割を占めて収益源となっていることから、業績は安定し、14期連続の増収増益を達成していた。しかし、08年のリーマン・ショックを機に09年、10年と2期連続の減収減益となった。しかし、11年は増収減益、12年、13年、14年は3期連続の増収増益となり、14年9月期の売上高は、過去最高の08年9月期64億99百万円にあと一歩の64億82百万円と迫ってきている。
その様な状況の中で、12月3日に代表取締役社長山田亨氏による14年9月期の決算内容と中期経営計画、来期業績見通しについて詳しい説明が行われた。
14年9月期業績は、売上高64億82百万円(前年同期比3.9%増)、営業利益3億46百万円(同6.9%増)、経常利益3億82百万円(同5.5%増)、純利益97百万円(同55.4%減)。最終利益が大幅な減益となったのは、投資用不動産、ソフトウェアの減損処理をしたことによる。
事業部門別売上高に関しては、ITソリューション・ソフトウェア開発は、期ずれが発生したものの、官公庁・自治体、金融、交通及び製造業向けオープンシステム、Web系システム開発の受注が増加したことで、26億63百万円(同1.5%増)であった。
ITソリューション・システム運用は、情報・通信・メディア、製造業向けシステム管理及びネットワーク構築の受注が増加し、33億59百万円(同6.2%増)。
ITソリューション・その他は、情報・通信向けハード設計の受注が減少したことで、3億08百万円(同8.1%減)であった。
ITサービスは、チケット業界向けパッケージの販売が増加して、売上高1億51百万円(同35.0%増)と大幅増収となった。
事業部門別売上総利益については、ITソリューション・ソフトウェア開発は開発の一部に作業超過があったことに加え、期ずれ案件が発生したことにより、技術者の稼働率が低下し、4億32百万円(同5.9%減)であった。
ITソリューション・システム運用は、ネットワーク構築の売上増加に伴い5億65百万円(同5.7%増)。
ITソリューション・その他は、ハード設計受注の減少に伴い稼働率が低下したことで49百万円(同22.2%減)となった。
ITサービスは、前期の△1億11百万円から05百万円と黒字転換している。理由は増収効果に加え、前期にあった減価償却費が消えたことによる。
経費については、研究開発費及び減価償却費が増加したことで、販管費7億05百万円(同13.4%増)であった。
外注費は、ITソリューション・システム運用で拡大し、9億84百万円(同6.5%増)。
労務費は昇給などの処遇改善で、42億06百万円(同0.5%増)となった。
中期経営計画の進捗状況については、前期は業界全体の技術者不足に加え、大型案件の受注が顧客都合により来期へ先送りされたこと、一部プロジェクトにおいて、超過作業が発生したことにより、14年の売上高は、当初予想の66億74百万円を下回る結果となった。そのため、今期15年9月期の売上予想を、当初の72億50百万円から71億34百万円に変更している。なお、16年の売上計画は、当初予想通りの80億円としている。
組織編成については、組織強化のために今期より、見直している。ITソリューション事業とITサービス事業の2つの事業区分に基づく体制作りを行うために、これまでの経営企画室を経営戦略室に改め、事業計画、今後の長期ビジョン等を策定する。また、経営戦略室の中に新たに事業開発部を新設し、主にITサービス事業向けの新しいサービスに向けたアライアンス、M&Aあるいは研究開発を行う。更に、この部署に今期からマーケティングコンサルタントに来てもらい、新しいサービスの開発に努める。
ITサービスを強化するために、新たにITサービス事業部を設置し、その傘下に「パッケージソリューション部」を配置し、事業の拡大を図る。
ITソリューション事業部も新設し、その傘下に従来からあったソリューション開発本部、テクニカル運用本部、営業部を置き、各部門の連携を強化することで、受注、売上拡大に努める。
さらに、総務部の中にパートナー(外部協力会社)推進グループを新設し、パートナーの新規開拓と関係強化に努め、コアパートナーの拡大を目指す。
組織編成の次に、事業部ごとの取組についての説明が行われた。
ITソリューション事業では、日立グループ向けの売上の依存度が高いため、日立グループ以外の顧客開拓を進めている。特に、今期からは一括案件専任営業部員を配置している。これにより、提案型営業の促進、或いは、プレ活動により、一括案件の受注を拡大しようとしている。
一括作業体制の強化を進め、人材を確保するために、役務で顧客先に常駐している中堅社員のローテーションを積極的に進め、ローテーションにより戻ってきた社員を、一括のプレSE(システム開発の「前」段階、提案活動や、受注活動を行う「SE」)として配置していく。または、ローテーションとして戻ってきたメンバーを育成して、プロジェクトリーダー、或いはプロジェクトマネージャーの増員を図る。
パートナー強化策については、パートナー推進グループを中心に新規パートナーの開拓を進める。前期1年間で新規パートナー企業を20社開拓したことで、9月末現在で82社となっている。現在は、重点パートナー企業と作業についての情報交換会を実施している。
技術者不足に関しては、沖縄のソフト会社1社と北海道の1社と、新規のパートナー契約を結んでいる。既に、北海道の会社には、仕事を発注済みである。また、ベトナムの企業には、昨年から発注しているが、今期は更に発注量を増やしていく方針。
ITサービス事業の取組としては、新サービスの提供、研究開発の強化、アライアンス戦略強化と3つのテーマを上げている。
新サービスの提供に関しては、美容サロン向け業務支援サービスとして、2つのサービスを7月と11月にリリースしている。2つとも集客を目的とした補完的なサービスである。7月から始めた「LAPPLI(ラプリ)」は、スマートフォンユーザーに向けて、美容サロンの集客を効率的に、そして効果的に行うために開発された「その店だけのスマートフォンアプリが作成できるサービス」である。月額料金は、1万5000円程である。11月からスタートした「LAPOLU(ラポル)」は、各種美容サロンの情報を無料掲載できる美容ポータルサイト。
研究開発の強化については、特別に予算を取って、次の製品に向けてスタートしている。今期は25百万円を計上している。年に2件の企画開発を行い、結果が出るようであれば、それをリリースしていく。
アライアンス戦略強化では、業務提携とM&Aを積極的に進めて、商品の品揃え、販売ルート拡大を目指している。
以上のような取り組みを行うことで、ITソリューション事業では、今期売上高69億48百万円(前期比9.7%増)を見込んでいる。内訳は、役務常駐売上58億23百万円、一括請負売上11億25百万円。
ニアショア・オフショアを含むパートナーを開拓強化し、先送りされた大型案件がいよいよスタートしている。今後3年か、4年の仕事になると見ている。
ITサービスの今期売上高は1億84百万円(前期比22.1%増)を見込んでいる。内訳は、チケット向け1億16百万円、美理容向け(コーマ)14百万円、美理容(次期コーマ)10百万円、新規サービス44百万円。
上半期(2014年10月から2015年3月)の受注達成率は、ITソリューション事業のソフトウェア開発78.6%、システム運用92.6%、その他79.3%とほぼ前期並みである。ところが、ITサービスのパッケージ開発販売は58.2%と前年同期の86.8%と比較すると受注が遅れている。この原因は、前期はチケット向けにまとまった受注があったことによる。しかし、今期はアライアンス企業と積極的に営業を展開していることから、現在引き合いが出てきているため、第2四半期以降の受注が計上出来ると見ている。
この結果、今期15年9月期業績は、売上高71億34百万円(前期比10.1%増)、営業利益4億05百万円(同17.1%増)、経常利益4億37百万円(同14.4%増)、純利益2億76百万円(同184.4%増)と上場以来初の売上高70億円台に乗り、利益も最高益更新を見込む。
安定した事業基盤に加え、新たな顧客獲得のために、経営戦略室を設置し、その傘下にアライアンス、M&Aを中心に進める事業開発部を置く等、「安定から飛躍へ」と今後を見据えた積極的な事業戦略を実践していることから、以前の最高益更新ペースに戻ると予想される。