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神鋼商事はモミ合い上放れ、21年3月期は新型コロナ影響だが上振れ余地
- 2021/2/5 07:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
神鋼商事<8075>(東1)は鉄鋼や非鉄金属関連などを扱う商社で、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。21年3月期は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響で減収減益予想だが、第3四半期累計の営業利益と純利益は通期予想を超過達成した。通期も上振れ余地がありそうだ。株価は安値圏でモミ合う形だったが、第3四半期決算発表を機に反発してモミ合い上放れの動きを強めている。低PBRも評価して出直りを期待したい。
■KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社
神戸製鋼所<5406>系で、鉄鋼製品(鋼板製品、線材製品など)、鉄鋼原料(輸入鉄鋼原料、合金鉄、コークスブリーズなど)、非鉄金属(銅製品、アルミ製品、非鉄金属地金・スクラップなど)、機械・情報(ゴム・タイヤ機械、製鉄・非鉄機械、化学機械、環境関連機器、電池用材料、液晶用材料、PC部品など)、溶接材料・機器(溶接材料、溶接関連機器、溶接ロボットシステムなど)を扱う商社である。
M&Aも積極活用してグローバルビジネスを加速し、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。19年7月には非鉄金属セグメントにおいて、連結子会社のコベルコ筒中トレーディングと中山金属が合併し、神鋼商事メタルズとして営業開始した。
20年3月期のセグメント別経常利益構成比は、鉄鋼が7%、鉄鋼原料が17%、非鉄金属が35%、機械・情報が33%、溶材が10%、その他が▲1%だった。鉄鋼、鉄鋼原料、非鉄金属は、取扱数量と市況の影響を受けて収益が変動しやすい特性がある。
■21年3月期減収減益予想だが3Q累計高進捗率で通期上振れ余地
21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、9月18日に公表)は、売上高が20年3月期比19.9%減の7500億円、営業利益が44.1%減の27億円、経常利益が31.5%減の27億円、純利益が50.9%減の8億円としている。配当予想は60円減配の30円(第2四半期末15円、期末15円)である。
セグメント別経常利益の計画は、鉄鋼が2.0億円の赤字(20年3月期比4.6億円減益)、鉄鋼原料が5.0億円(同1.7億円減益)、非鉄金属が9.0億円(同5.0億円減益)、機械・情報が13.0億円(同0.1億円増益)、溶材が2.0億円(同1.8億円減益)としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比22.8%減の5531億62百万円、営業利益が52.4%減の27億98百万円、経常利益が56.1%減の23億54百万円、純利益が52.7%減の14億76百万円だった。新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響で減収減益だった。なお特別利益に投資有価証券売却益7億31百万円、特別損失に投資有価証券評価損4億70百万円を計上した。
機械・情報が圧延設備や電池材料の増加などで2.4%増益だったが、鉄鋼が需要減少や米国エネルギー業界低迷に伴う貸倒引当金計上などで89.8%減益、鉄鋼原料が市況低迷による海外子会社の収益悪化などで65.6%減益、非鉄金属が空調向け銅管や自動車向け銅板条の減少などで4.9%減益、溶材が溶接材料の数量減少などで85.3%減益だった。
なお四半期別の経常利益は、第1四半期が7億09百万円、第2四半期が9億09百万円、第3四半期が7億36百万円だった。
第3四半期累計の進捗率は売上高が73.8%、営業利益が103.6%、経常利益が87.2%、純利益が184.5%で、営業利益と純利益は通期予想を超過達成した。新型コロナウイルスによる経済収縮の影響、米国エネルギー業界低迷に伴う海外関係会社の事業見直し、資産の減損などが見通せない状況として通期予想を据え置いたが、第3四半期累計の高進捗率を勘案すれば、通期も上振れ余地がありそうだ。
■株価はモミ合い上放れの動き
株価は安値圏でモミ合う形だったが、第3四半期決算発表を機に反発してモミ合い上放れの動きを強めている。低PBRも評価して出直りを期待したい。2月4日の終値は1931円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS90円35銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS5920円30銭で算出)は約0.3倍、時価総額は約171億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)