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ソーバルは反発の動き、21年2月期利益上振れ余地
- 2021/2/10 08:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソーバル<2186>(JQ)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開し、重点施策として請負拡大による高収益化や新規技術分野の開拓を推進している。21年2月期は新型コロナウイルスの影響で減収減益予想だが、第3四半期累計の利益進捗率が高水準であり、通期利益予想に上振れ余地がありそうだ。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開
組み込みソフト開発、ウェブ・スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。技術力と経験豊富な人材を合わせ持つ独立系組み込みソフト開発企業で、優良な大口顧客と強固な信頼関係を構築していることも特徴だ。
20年2月期の顧客別売上構成比は、キヤノングループが31.6%(うちキヤノンが28.2%)、ソニーグループが20.0%、富士通グループが10.7%、日立グループが3.0%、リクルートグループが2.6%、NTTグループが2.3%、その他が29.8%だった。
19年2月期との比較で見るとキヤノングループが低下し、ソニーグループと富士通グループが上昇した。取引社数は19年2月期比9社増加して193社となった。顧客の多様化とキヤノングループ依存体質からの脱却も進展している。
■請負拡大による高収益化を推進
成長に向けた重点施策として、請負業務拡大による収益構造の転換、優良顧客からの継続受注、顧客や分野の多様化、自動車・AI・IoTなど新規技術分野の開拓、部門間のクロスセル体制強化、プロジェクト管理体制強化による不採算化抑制、人材の採用・教育など人材投資の強化、国内外の外部委託先(パートナー企業)との長期的なリレーション構築の強化、アライアンスによる新規分野収益案件の獲得などを推進している。
20年2月期の契約種別比率は請負59.5%、派遣40.5%(19年2月期請負53.9%、派遣46.1%)となった。請負拡大が進展している。
なお19年12月IoTシステム構築のMomo社と連携、20年2月データ・分割・高速暗号化ソフトウェア製品のUbiq社と国内販売代理店契約締結した。
■21年2月期は新型コロナ影響で減益予想だが上振れ余地
21年2月期の連結業績予想(6月30日未定に修正、7月8日減収減益予想に修正)は、売上高が20年2月期比7.7%減の77億円、営業利益が68.4%減の2億円、経常利益が38.1%減の4億円、当期純利益が45.0%減の2億40百万円としている。配当予想は2円増配の32円(第2四半期末16円、期末16円)である。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比9.7%減の55億49百万円、営業利益が66.3%減の1億81百万円、経常利益が25.3%減の4億10百万円、四半期純利益が27.3%減の2億55百万円だった。新型コロナウイルスも影響して主要顧客からの派遣業務が縮小したため減収減益だった。なお営業外収益に雇用調整助成金1億86百万円を計上した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高18億87百万円で営業利益1億42百万円、第2四半期は売上高17億58百万円で営業利益0百万円、第3四半期は売上高19億04百万円で営業利益39百万円だった。第3四半期は請負・請負業務とも堅調に推移して減収幅が縮小した。第2四半期をボトムとして回復傾向である。
新型コロナウイルスの影響で通期も減収減益予想としているが、主要顧客との派遣契約終了をカバーすべく、請負へのシフトや新規顧客獲得を強化している。第3四半期累計の進捗率は売上高72.1%、営業利益90.5%、経常利益102.5%、純利益106.3%だった。利益進捗率が高水準であり、通期利益予想に上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年8月末の株主対象
株主優待制度は、毎年8月31日現在1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は反発の動き
株価は上値を切り下げる形だったが、下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。2月9日の終値は955円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円51銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の32円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS392円59銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約78億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)