【編集長の視点】ファルコHDは急反落も業績再上方修正と増配をテコに突っ込み買いも一興

ファルコホールディングス<4671>(東1)は、休日前の10日に125円安の1687円と4営業日ぶりに急反落して引け、東証第1部値下がり率ランキングの第10位と売られた。同社は、2月10日に今2021年3月期第3四半期(2020年4月~12月期、3Q)決算の発表に合わせて、今期配当を増配したが、今期通期予想業績は、今年1月26日の再上方修正値を据え置いたことから、材料織り込み済みとして目先の利益を確定する売り物を浴びた。ただ、この日のマドを開けた急落で1月26日の業績再上方修正時の急伸で開けたマドをほぼ埋めており、突っ込み買いも一考余地を示唆している。ヒストリカル的にも、昨年11月の1回目の今期通期業績の上方修正でマドを開けて急伸し、その後のマド埋めから300円超も上昇をしており、再現期待も底流している。

■コロナ関連の検体検査を積極受託し年末年始・休日を返上

 同社の業績は、出入りの激しい推移となっていた。昨年1月に前2020年3月期業績を上方修正したあと、昨年4月には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で医療機関への受診患者が減少し、臨床検査事業の受託検体数や調剤薬局事業の処方箋応需枚数が減少したとして前期業績を下方修正し売り上げ、利益とも減収減益となり、純利益のみ火災保険の受取保険金19億2800万円の計上で12億4300万円(前々期比90.3%増)と大幅増益で着地した。

 今2021年3月期業績も、昨年8月の初開示には減収減益予想となっていたが、受託検体数や処方箋応需枚数の減少が緩やかになったとして今期2Q累計業績を上方修正し、さらにこれに新型コロナウイルス感染症関連の受託検査が加わったことで、昨年11月に今期通期業績を上方修正した。このコロナ関連の受託検査は、昨年11月から関西地域を中心に積極的に受託、人的資源・検査能力をフル活用し年末年始や休日を返上するほどのフル稼働が続いたことから、今年1月に今3月期通期業績を再上方修正した。売り上げを15億円、営業利益、経常利益を各5億5000万円、純利益を3億円引き上げ、営業利益は20億円(前期比2.37倍)、経常利益は21億円(同2.23倍)とV字回復し、純利益も、前期計上の特別利益一巡でも13億円(同4.5%増)と連続増益となる。配当は、年間50円(前期実績48円)へ増配を予定している。

■急伸中のマドを埋め75日線水準から低PER・PBR修正に再発進

 株価は、昨年1月の前期業績の上方修正で上場来高値2195円へ急伸したものの、世界同時株安に巻き込まれて同安値1235円まで調整、下げ過ぎとしていったん1923円までリバウンドしたが、前期業績の下方修正や今期業績の減益予想が響いて1341円まで再調整した。同安値からは、今期2Q累計業績の上方修正でマドを開けて1538円、今期通期業績の1回目の上方修正で同じく1677円の高値をつけ、2回目の通期業績上方修正では1825円まで上値を伸ばした。今年2月10日の株価急落では、この時開けたマドをほぼ埋め75日移動平均線を下ヒゲで探る下値抵抗性も示しており、PERは13倍台、PBRは0.94倍、配当利回りも2.96%と売られ過ぎは明らかで、今回のマド埋めから昨年1月の最高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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