巴工業は戻り試す、21年10月期減益予想だが上振れ余地

 巴工業<6309>(東1)は機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開している。21年10月期は販管費の増加などで減益予想としている。ただし保守的な印象が強い。上振れ余地がありそうだ。配当は連続増配予想としている。なお3月3日~5日開催(東京ビッグサイト)の第6回国際バイオマス展(スマートエネルギーWeek内)に出展する。株価は着実に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開

 遠心分離機械などを中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を展開している。

 20年10月期のセグメント別売上構成比は機械製造販売事業29%、化学工業製品販売事業71%、営業利益構成比は機械製造販売事業41%、化学工業製品販売事業59%だった。

 収益面では、機械製造販売事業が設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高くなりやすい特性がある。

■22年10月期営業利益26億円目標

 中期経営計画では目標値として、22年10月期の売上高490億円(機械140億円、化学品350億円)、営業利益26億円(機械9億円、化学品17億円)、経常利益26億円、EBITDA30億円、純利益17億円、そしてROE(純資産利益率)5.7%を掲げている。

 重点施策としては、海外事業拡大の継続、さらなる収益性向上、環境負荷軽減、資本効率改善、成長に向けた積極投資、働き甲斐のある職場環境の構築と人材育成を推進する方針だ。

■21年10月期減益予想だが上振れ余地

 21年10月期連結業績予想は、売上高が20年10月期比5.8%増の415億円、営業利益が8.0%減の20億80百万円、経常利益が9.4%減の20億80百万円、当期純利益が7.3%減の14億20百万円としている。配当予想は2円増配の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。連続増配である。

 機械製造販売事業の計画は、売上高が11.2%増の128億50百万円、営業利益が14.7%減の7億90百万円としている。売上面は需要が回復基調で増収(機械が13.5%増の40億25百万円、装置・工事が23.5%増の16億55百万円、部品・修理が7.6%増の71億70百万円)だが、全体的な利益率の低下(売上総利益率の想定は2.8ポイント低下の31.3%)や、販管費の増加で減益見込みとしている。

 重点取り組み施策として、海外では遠心分離機や炭化装置、国内では遠心分離機や回転加圧脱水機などの拡販を強化する。また20年4月新設した新事業開発部において、遠心分離機以外の分野の開拓を強化する。

 化学工業製品販売事業の計画は、売上高が3.6%増の286億50百万円、営業利益が3.3%減の12億90百万円としている。自動車・建材用途向けなどが伸長して増収(合成樹脂関連が9.5%増の70億35百万円、工業材料関連が4.4%増の83億20百万円、化成品関連が1.7%増の60億80百万円、機能材料関連が0.5%増の33億02百万円、電子材料関連が2.6%減の36億32百万円など)だが、利益率の低下(売上総利益率の想定は0.1ポイント低下の18.7%)や、営業開発関係の販管費の増加で減益見込みとしている。

 重点取り組み施策として、化成品関連の高機能商材、半導体製造装置向けや5G基地局用電子分向けの機能材料、および電子材料の拡販を強化する。また合成樹脂関連では、SDGsへの対応として環境対応商材の拡販に注力する。

 全体として需要回復基調で増収予想だが、全般的な利益率の低下に加えて、前期抑制した先行投資を実施するため販管費が増加して減益予想としている。ただし保守的な印象が強い。上振れ余地がありそうだ。

■株主優待制度は10月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、ワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。

■株価は戻り試す

 株価は着実に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。2月16日の終値は2090円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS142円31銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2973円31銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約220億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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