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建設技術研究所は上値試す、21年12月期減益予想だが保守的
- 2021/2/22 08:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
建設技術研究所<9621>(東1)は総合建設コンサルタントの大手である。成長戦略としてグループ一体となった事業拡大を推進している。20年12月期は受注が堅調に推移して計画超の増収増益だった。21年12月期は新型コロナウイルスの影響や積極投資などを考慮して減益予想としている保守的だろう。防災・減災対策やインフラ老朽化対策など国土強靭化計画の推進で事業環境が良好であり、収益拡大を期待したい。株価は1月22日の上方修正を好感して昨年来高値を更新した。その後は利益確定売りが優勢になったが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■総合建設コンサルタント大手
総合建設コンサルタントの大手である。河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持っている。海外では英Waterman Group Plc(ロンドン証券取引所上場)を連結子会社化している。
20年12月期のセグメント別構成比は、売上高が国内建設コンサルティング事業75%、海外建設コンサルティング事業25%、営業利益(連結調整前)が国内建設コンサルティング事業99%、海外建設コンサルティング事業1%だった。収益面では公共事業への依存度が高い。
■グループ一体となった事業拡大を推進
CTIグループ中長期ビジョン「CLAVIS2025」では、目標数値(19年改訂)として25年の売上高850億円(国内60億円、海外250億円)、営業利益60億円を掲げている。
CTIグループの安定経営と事業拡大を目指し、成長戦略としてグループ一体となった事業拡大を推進している。また重点事業分野は、防災・減災、既存ストックの運用・維持管理・更新、PM・CM施工管理などの発注者支援、包括維持管理・コンセッションなどのPPP事業、都市総合開発・再開発としている。20年8月には連結子会社の建設技研インターナショナルの株式を追加取得して完全子会社化した。
20年9月には奈良県王子市と「防災力向上に向けた研究開発に係る連携協定」を締結した。また20年11月には、プロジェクトの一員として担当した百間川分琉部改装事業が土木学会デザイン賞2020で奨励賞を受賞した。
なお2月19日~3月19日に、兵庫県三田市において次世代型オンデマンドモビリティサービスの実証実験を実施する。兵庫県三田市と「広野地区におけるオンデマンドモビリティ等の推進に関する協定」を締結した。また2月24日~2月28日には、奈良公園において次世代型パーソナルモビリティによる移動支援サービスの実証実験を実施する。奈良県が募集した奈良公園魅力向上事業に採択された。
■21年12月期減益予想だが保守的
20年12月期連結業績(1月22日に上方修正)は、売上高が19年12月期比4.1%増の651億90百万円、営業利益が19.2%増の50億85百万円、経常利益が18.6%増の52億16百万円、当期純利益が30.0%増の36億50百万円だった。配当は10円増配の45円(期末一括)とした。
海外事業において新型コロナウイルスの影響を受けたため、グループ全体の受注高は2.2%減の691億27百万円だったが、国内の受注が堅調に推移し、業務効率化なども寄与して計画超の増収増益だった。売上高は8期連続増収、営業利益は4期連続増益だった。売上原価率は72.0%で0.3ポイント上昇したが、販管費比率は20.2%で0.7ポイント低下した。
国内建設コンサルティングは受注高が4.6%増の509億79百万円、売上高が7.7%増の489億78百万円、営業利益が31.3%増の50億32百万円だった。国土強靭化など重点分野の受注が順調に拡大した。
海外建設コンサルティングは受注高が17.4%減の181億47百万円、売上高が5.5%減の162億11百万円、営業利益が89.6%減の45百万円だった。新型コロナウイルスの影響で発注遅延、進行遅延、工期延長が発生し、渡航制限による業務停滞も影響した。
21年12月期の連結業績予想は、受注高が20年12月期比3.1%減の670億円、売上高が2.8%増の670億円、営業利益が3.6%減の49億円、経常利益が6.1%減の49億円、当期純利益が9.6%減の33億円としている。配当予想は20年12月期と同額の45円(期末一括)である。
セグメント別計画は、国内建設コンサルティングの受注高が3.7%減の491億円、売上高が1.9%増の499億円、営業利益が3.6%減の48億50百万円、海外建設コンサルティングの受注高が1.4%減の179億円、売上高が5.5%増の171億円、営業利益が9.1%増の50百万円としている。国内は事業拡大に向けた積極投資に伴う費用増加で減益予想、海外は新型コロナウイルスの影響継続を想定するが効率化を推進して増益予想としている。
新型コロナウイルスの影響や積極投資などを考慮して減益予想としている保守的だろう。防災・減災対策やインフラ老朽化対策など国土強靭化計画の推進で事業環境が良好であり、収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は上方修正を好感して昨年来高値を更新した。その後は利益確定売りが優勢になったが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。2月19日の終値は2370円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円38銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の45円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2393円36銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約336億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)