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ナルミヤ・インターナショナルは上値試す、売上回復基調で21年2月期予想に上振れ余地
- 2021/2/23 09:08
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ナルミヤ・インターナショナル<9275>(東1)はベビー・子供服の企画販売をSPA形態で展開し、SC向けやECを強化している。21年2月期は新型コロナウイルスの影響で減収減益としている。ただし四半期別に見ると第3四半期は前年同期比増収・営業増益に転じた。売上が回復基調であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■ベビー・子供服のSPA(製造小売)
0歳~13歳のベビー・子供服の企画販売をSPA(製造小売)形態で展開し、SC(ショッピングセンター)向けやEC(ネット通販)を強化している。販売チャネル・テイストの異なる20ブランドを展開し、国内最大手の子ども服メーカーとして高品質な最新キッズファッションを先導している。なお19年3月に資本業務提携したワールドが第1位株主となっている。
19年3月には男児向けカジュアルウェアのハートフィールを子会社化した。20年12月には子供向けフォトスタジオ事業のLOVSTを子会社化した。
20年2月期のチャネル別売上構成比は百貨店が27.5%、SCが41.4%、ECが18.5%、その他(アウトレット、卸売、フォトスタジオ、ライセンス販売など)が12.6%だった。かつては百貨店への依存度が高かったが、事業ポートフォリオの分散・適正化を推進して、SCとECの構成比が上昇基調である。
20年2月期末の直営店舗数は、百貨店(売場数×ブランド数で計算)が575店舗、SCが184店舗だった。また20年2月期のチャネル別売上総利益率は百貨店が51.4%、SCが60.5%、ECが53.4%だった。なお20年8月に百貨店の不振ジュニア3ブランドを休止して百貨店売場138店舗(コーナー)から撤退した。
収益面では、個人消費や天候の影響を受けるとともに、商品単価の高い冬物衣料や福袋の販売、クリアランスセールなどで下期(9月~2月)の構成比が高い季節特性がある。
■SC向けやECを強化
変化の激しい子供服市場におけるオンリーワン・ナンバーワンを目指し、中期成長に向けた基本方針として、収益力の向上(ブランドポートフォリオの構築、販売ポートフォリオの構築、生産・物流の効率化)、人材の育成、企業体質の強化(新市場の開拓、新カテゴリーの開発、アジアを中心とする海外市場への進出)を掲げている。
マルチチャネル・マルチブランド戦略を基本として、市場変化に対応して販売チャネルおよびブランドのポートフォリオの最適化に留意しながら経営資源を配分する。具体的には少子高齢化の事業環境に対して、百貨店向けの高価格帯からSC向けの中価格帯への軸足シフト、EC強化によるオムニチャネル化を推進している。また子供とその家族をターゲットとして、提供すべき価値をモノ(洋服)からコト・サービスへと拡大することで、キッズライフ企業への成長を目指すとしている。
■21年2月期は新型コロナ影響だが売上回復基調で通期上振れ余地
21年2月期の連結業績予想(期初時点では未定、7月16日に公表)は、売上高が20年2月期比6.6%減の307億76百万円、営業利益が72.8%減の4億52百万円、経常利益が73.3%減の4億33百万円、当期純利益が89.3%減の1億06百万円としている。新型コロナウイルスの影響で減収・大幅減益予想としている。配当予想は未定としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比13.1%減の202億31百万円、営業利益が77.2%減の2億54百万円、経常利益が77.0%減の2億44百万円、四半期純利益が77百万円の赤字(前年同期は6億14百万円の黒字)だった。特別利益には助成金収入2億91百万円、特別損失には臨時休業による損失4億62百万円を計上した。
巣ごもり消費や拡販施策でECが43.6%増収と大幅伸長したが、店舗売上が新型コロナウイルスによる臨時休業・営業時間短縮の影響を受け、百貨店が33.2%減収、SCが20.9%減収だった。
なお四半期別に見ると、売上高は第1四半期46億24百万円、第2四半期73億29百万円、第3四半期82億78百万円、営業利益は第1四半期4億35百万円の赤字、第2四半期2億55百万円の赤字、第3四半期9億45百万円の黒字となる。第3四半期は前年比で2.5%増収、32.3%営業増益だった。SC売上も前年比増収に転じた。
新型コロナウイルスの影響が直撃した第1四半期をボトムとして売上回復基調であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。ECの拡大で中期成長も期待したい。
なお月次売上(単体ベース前年比速報値)によると21年1月は全店81.5%、既存店81.6%だった。セールや福袋の販売時期を12月に前倒した影響や、緊急事態宣言再発出に伴う外出自粛などの影響を受けて、回復ペースが一時的に鈍化したが、トレンドとして売上回復基調に変化はないだろう。ECは131.0%と大幅伸長した。
■株主優待は毎年2月末の株主対象、優待内容を変更
株主優待制度は、毎年2月末現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に実施している。なお21年2月末対象から優待内容を変更し、保有株式数に応じて株主買物優待1000円券を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は上値試す
株価は戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。2月22日の終値は1019円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円53銭で算出)は約97倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS428円24銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約103億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)