バルクホールディングスは21年3月期3Q累計赤字縮小、通期黒字予想

 バルクホールディングス<2467>(名セ)は、コンサルティング事業およびマーケティング事業を展開し、新規事業としてサイバーセキュリティ分野を強化している。21年3月期第3四半期累計は赤字縮小した。通期は米国のサイバーセキュリティ分野で負担していた費用が大幅に軽減されるため黒字予想としている。収益改善を期待したい。株価は戻り一服となってモミ合う形だが下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。

■セキュリティ事業とマーケティング事業を展開

 セキュリティ事業およびマーケティング事業を展開する純粋持株会社である。新規事業としてサイバーセキュリティトレーニングのサイバーセキュリティ分野を強化している。

 セキュリティ事業は、バルクが情報セキュリティ規格コンサルティング(プライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援)分野、米国SCH(Strategic Cyber Holdings)社がサイバーセキュリティ分野を展開している。

 マーケティング事業は、バルクがマーケティングリサーチ(大手メーカーの新製品開発時モニター調査)分野、マーケティング・システム・サービスがセールスプロモーション(スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティの制作)分野を展開している。またアトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。

■サイバーセキュリティ分野を強化

 サイバーセキュリティ分野は18年1月に、イスラエルのサイバージム社と共同で米国SCH社を設立して参入した。日本と米国において、サイバージムが開発した実践型サイバーセキュリティトレーニングアリーナを運営し、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業・政府機関等に対して、サイバーセキュリティトレーニング等のサービスやソリューションを提供している

 18年7月米国ニューヨークにコマーシャルアリーナ(フルパッケージサービスを提供する大型トレーニング施設)のCyberGym NYCを開設、18年8月ハイブリッドアリーナ(小型トレーニング施設)のCyberGym Tokyoを開設、18年8月サイバージム社に出資、18年9月サイバーセキュリティコンサルティングの子会社CELを設立した。

 国内のサイバーアリーナの展開は、19年8月CYBERGYM新宿アリーナ(運営主体はインターネット総合研究所)を開設、20年11月CYBERGYM八重洲アリーナ(同クロスポイントソリューションとの合弁会社クロスポイントセキュリティジム、持分法適用関連会社)を開設した。また21年3月にはCYBERGYM大阪(同シティコンピュータとDXHRの合弁会社サイバーコマンド)を開設予定である。さらに21年3月期中に中部エリアでの開設も予定している。

 なお20年6月には、サイバージム社とグローバルでの共同事業戦略を見直す覚書を締結した。米国SCH社が米国でのセキュリティトレーニング事業展開のために保有するライセンス・設備(NYコマーシャルアリーナ)一式をサイバージム社に譲渡(20年12月譲渡契約締結)するとともに、子会社サイバージムジャパンへの事業移管によって米国SCH社の固定費大幅削減を図る。またサイバージムがサイバージムジャパンへ30%出資し、日本およびアジアにおける権利を強化する。さらに譲渡対価の一部としてサイバージム社の株式を取得し、サイバージム社への出資比率を高める。サイバージム社は中核拠点として米国でアリーナを保有・運営する。

■21年3月期3Q累計赤字縮小、通期黒字予想据え置き

 21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比2.3倍の17億06百万円、営業利益が14百万円の黒字(20年3月期は5億67百万円の赤字)、経常利益が6百万円の黒字(同11億35百万円の赤字)、当期純利益が4百万円の黒字(同13億20百万円の赤字)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比0.1%増の9億73百万円、営業利益が2億70百万円の赤字(前年同期は3億77百万円の赤字)、経常利益が3億20百万円の赤字(同5億74百万円の赤字)、四半期純利益が3億33百万円の赤字(同5億93百万円の赤字)だった。売上高は微増だったが、赤字が縮小した。売上高は微増だったが、売上総利益が8.2%増加し、経費削減で販管費が12.2%減少した。

 セキュリティ事業は22.5%増収だった。セキュリティトレーニングの集合型研修が新型コロナウイルスで開催一時停止の影響を受けたが、サイバーセキュリティ分野のAI脆弱性診断や、情報セキュリティ規格コンサルティングが好調に推移した。AI脆弱性診断の提供実績は21年1月までに600件超となった。マーケティング事業は11.3%減収だった。セールスプロモーション・広告代理部門が堅調だったが、マーケティングリサーチ部門が新型コロナウイルスで顧客の予算削減などの影響を受けた。

 なお米国SCH社が米国に保有するトレーニングアリーナ運営用資産を、20年3月期末時点の簿価でサイバージム社に売却予定(譲渡契約締結済み)である。そして対象資産の売却が完了した時点で、20年4月以降に計上した対象資産の減価償却費と同額の固定資産売却益(USドルベースのため為替変動影響あり)を計上予定である。第3四半期累計では、日本会計基準の適用で対象資産の減価償却費64百万円を計上している。この影響を控除したベースでの営業利益は2億06百万円の赤字だった。

 通期はサイバーセキュリティ分野の売上拡大・損益改善を目指す。サイバージム社とのグローバルでの共同事業戦略見直しにより、サイバーセキュリティ事業を米国で展開するために負担していた費用が大幅に軽減される。通期ベースで収益改善を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は戻り一服となってモミ合う形だが下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。2月22日の終値は279円、時価総額は約31億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る