Jトラストは反発の動き、21年12月期黒字転換予想、成長加速に向けて事業ポートフォリオ再編

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 Jトラスト<8508>(東2)は日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで金融事業を展開している。経済環境変化に対応して成長を加速させるため、子会社売却など事業ポートフォリオ再編を推進している。20年12月期は東南アジア金融事業が新型コロナウイルスの影響を受け、全体として赤字だった。ただし21年12月期は黒字転換予想としている。東南アジア金融事業の赤字が縮小し、投資事業も寄与する見込みだ。事業ポートフォリオ再編で収益改善基調を期待したい。株価は底打ちして反発の動きを強めている。基調転換して出直りを期待したい。

■日本、韓国・モンゴル、インドネシア中心に金融事業を展開

 日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで、金融事業(銀行、信用保証、債権回収、その他の金融)を展開している。

 グループビジョンに「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指す」を掲げ、国内外におけるM&Aも積極活用して、銀行業および債権買取回収事業を中核とする総合金融サービスの提供を目指している。

■成長加速に向けて事業ポートフォリオ再編

 新型コロナウイルスも含めた経済環境変化に対応して成長を加速させるため、事業ポートフォリオ再編を推進している。子会社売却に伴って増加する換価性の高い資産は、積極的なポートフォリオ再編に活用する。

 日本金融事業は、日本保証の保証業務、パルティール債権回収の債権回収業務を両輪として展開する。日本保証は保証商品拡充に向けて、寄付型クラウドファンディング大手のCAMPFIREと融資型クラウドファンディングにおいて業務提携している。また20年12月には日本保証が財全グループと業務提携した。パルティール債権回収は信販系大手カード会社等からの債権買取回収を推進する。

 Jトラストカードについては、20年11月1日付でNexus Bank<4764>(旧SAMURAI&J PARTNERS)を株式交換完全親会社、Jトラストカードを株式交換完全子会社として株式交換を実施した。これによってJトラストカード、およびJトラストカードの子会社である韓国・JT親愛貯蓄銀行が連結除外となり、日本国内でのカード事業から撤退した。またNexus BankのA種優先株式を引き受けた。

 韓国およびモンゴル金融事業は、韓国のJTキャピタルがリース・割賦業務、韓国のTA Assetが債権回収業務、モンゴルのJトラストクレジットNBFIが割賦業務を展開する。

 韓国・JT親愛貯蓄銀行については、直接親会社のJトラストカードと一緒に売却した。韓国・JT貯蓄銀行については、全株式を韓国・VI金融投資に売却(21年3月末予定)した。2行の売却によって韓国の貯蓄銀行業から撤退した。

 東南アジア金融事業は、Jトラスト銀行インドネシア(BJI)が銀行業務、Jトラストオリンピンドマルチファイナンス(JTO)がマルチファイナンス業務、Jトラストインベストメンツインドネシア(JTII)が債権回収業務、カンボジアのJトラストロイヤル銀行(JTRB、19年8月に商業銀行ANZRoyalBankを子会社化して商号変更)が銀行業務を展開している。

 JTRBはカンボジアの大手資金移動業者であるWing社との連携を強化し、金融インフラが十分に行き渡っていないカンボジアにおいて金融サービスの裾野拡大に貢献している。21年1月には、人事評価機関であるHR Asiaが選出する2020HR ASIA AWARDにおいて、JTRBが「2020 Best Companies to work for in ASIA(アジアを代表する働き方のベストカンパニー)」を受賞した。

 投資事業はJトラストアジアが展開している。なおJトラストアジアは販売金融事業のタイGL社に出資したが、17年10月にタイGL社CEO此下益司氏がタイSECから偽計および不正行為で刑事告発された。このため現在はタイGL社、此下益司氏、およびGLの関連取締役に対して、刑事告発手続き、会社更生法申し立て・補償請求・賠償請求などの訴訟を提起している。

 ただし21年1月にはシンガポール共和国の控訴裁判所の判決に基づいた債権の一部回収、およびシンガポール共和国高等法院による当社および当社子会社に対する訴訟の却下を発表している。訴訟問題解決に向けた動きと言えるだろう。

 また20年12月に、子会社の日本ファンディング(20年11月子会社化したプロスペクト・エナジー・マネジメントが20年12月商号変更)が、グローム・ホールディングス<8938>の子会社LCレンディング(LCL社)の株式を100%取得した。投資関連事業の拡大に向けてLCL社のクラウドファンディング事業とのシナジーを創出する。

 非金融のその他事業ではJトラストシステムがITシステム事業を展開している。

 総合エンターテインメント事業のKeyHolder<4712>については、保有する同社株式の一部を、ミクシィ<2121>が設立したミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合など5社に譲渡(20年12月)した。引き続き当社が筆頭株主となるが、KeyHolderおよび同社の連結子会社は持分法適用関連会社に異動した。

 この結果、20年12月期のセグメント別営業利益は、日本金融事業が48億60百万円(決算期変更で9ヶ月決算の19年12月期は30億82百万円)、韓国・モンゴル金融事業が3億30百万円の赤字(同21億60百万円の黒字)、東南アジア金融事業が55億41百万円の赤字(同46億67百万円の赤字)、投資事業が16億51百万円の赤字(同17億68百万円の赤字)、その他事業が1億61百万円の赤字(同4億07百万円の赤字)となった。なお収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで大幅に変動する可能性がある。

■21年12月期黒字転換予想、事業ポートフォリオ再編で収益改善期待

 20年12月期の連結業績(IFRS)(19年12月期は決算期変更で9ヶ月決算のため比較なし)は、営業収益が326億52百万円、営業利益が47億52百万円の赤字、親会社所有者帰属当期利益が53億42百万円の赤字だった。

 なお子会社異動で、キーノート(現グローベルス)、Jトラストカード、JT親愛貯蓄銀行(韓国)、JT貯蓄銀行(韓国)、KeyHolder<4712>および同社子会社並びに同社関連会社を非継続事業に分類した。

 営業利益は、日本金融事業が保証業務と債権回収業務の好調推移で48億60百万円の黒字、韓国およびモンゴル金融事業が前期債券売却益計上の反動で3億30百万円の赤字、東南アジア金融事業が新型コロナウイルス影響によるインドネシア景気悪化や前期計上の負ののれん益の反動などで55億41百万円の赤字、投資事業が16億51百万円の赤字、その他事業が1億61百万円の赤字だった。

 21年12月期連結業績(IFRS)予想は営業収益が326億70百万円(20年12月期は326億52百万円)、営業利益が1億06百万円の黒字(同47億52百万円の赤字)、親会社所有者帰属当期利益が5億27百万円の黒字(同53億42百万円の赤字)としている。配当予想は1円(期末一括)である。

 営業収益は横ばいだが、営業利益、当期純利益とも黒字転換予想としている。日本金融事業が堅調に推移し、東南アジア金融事業の赤字が縮小する。投資事業も寄与する見込みだ。ななおタイGL社との訴訟でシンガポール控訴裁判所判決の一部履行として受領した3700万米ドルについて、38億65百万円(概算)を第1四半期のその他収益として計上し、営業利益に反映させる予定だ。

 セグメント別営業利益の計画は、日本金融事業が36億74百万円の黒字、韓国およびモンゴル金融事業が3億68百万円の赤字、東南アジア金融事業が43億89百万円の赤字、投資事業が26億34百万円の黒字、その他事業が2億円の赤字としている。事業ポートフォリオ再編で収益改善基調を期待したい。

■株価は底打ちして反発の動き

 株価は底打ちして反発の動きを強めている。週足チャートで見ると13週線に続いて、26週線と52週線を一気に突破した。基調転換して出直りを期待したい。2月22日の終値は281円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円98銭で算出)は約56倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS865円20銭で算出)は約0.3倍、時価総額は約324億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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