フライトホールディングスは21年3月期赤字予想だが、有望案件目白押しで中期成長期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 フライトホールディングス<3753>(東2)は電子決済ソリューションを主力としている。21年3月期第3四半期累計は前期の大型案件の反動、大型システム開発案件の遅延、開発費の増加などで赤字だった、通期も赤字予想としたが、第4四半期はマイナンバーカード読取に対応した大型案件の納品で黒字見込みである。有望案件が目白押しであり、中期的に収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■電子決済ソリューションが主力

 子会社のフライトシステムコンサルティングがシステム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業、子会社のイーシー・ライダーがB2B(企業間取引)ECサイト構築システムのECソリューション事業を展開している。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、C&S事業が22%、サービス事業が75%、ECソリューション事業が3%だった。収益はサービス事業の大型案件によって変動する傾向が強い。

■サービス事業は電子決済ソリューションを展開

 サービス事業は電子決済ソリューション分野で、スマートデバイス決済専用アプリのペイメント・マイスターと、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末のIncredistシリーズを展開している。

 ペイメント・マイスターは、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末として利用する大企業向けBtoB決済ソリューションである。ホテル・レストランなどに幅広く導入されている。

 Incredistシリーズは、EMV(接触型ICクレジットカード)決済、コンタクトレスEMV(非接触型ICクレジットカード)決済に対応し、コンタクトレスEMVはMastercardなど国際6ブランドの認定が完了している。

 国内電子マネー決済では19年7月にSuicaなど10種類の交通系ICカード決済への対応も完了した。20年10月には、スルッとKANSAI協議会が近畿圏を中心に展開しているポストペイ型決済サービス「PiTaPa」に対応すると発表した。21年春からサービスインの予定である。

 戦略製品として据置・モバイル兼用型のマルチ決済装置Incredist Trinity、およびIncredist Trinity Miniの販売を推進している。ソフトバンク向けのIncredist Trinity Miniは19年度~20年度に順次導入予定である。

 さらにIncredist Premiumの後継機として、マイナンバーカード読取に対応した次世代型マルチ決済装置Incredist Premium Ⅱを開発し、21年1月から販売開始した。20年9月末までの受注分を21年3月末までに納品完了予定としている。マイナポイントや健康保険証のマイナンバーカードへの統合により、需要拡大が期待される。

 21年2月には、小・中規模事業者向けに、Android携帯を決済端末に変える「Tap to Phone」のソリューション「Tapion」を開発し、21年後半から市場投入すると発表した。

 自動精算機分野では、米国ID TECH社製VP6800を、国内の飲料自動販売機や駐車場無人自動精算機などに接続するため、マルチ決済端末VP6800・IFCを製品化している。

■電子決済ソリューションはキャッシュレス化や非接触が追い風

 電子決済ソリューションはキャッシュレス化の流れが追い風となる。改正割賦販売法施行によって磁気カード対応からICカード対応に移行することが義務付けられたため、一般の店舗、タクシーや電車の券売機、屋外に設置されている自動販売機やコインパーキング精算機など、クレジットカードを取り扱う全ての業種で対応が必要となっている。また国策として非接触クレジットカード決済(正式名称コンタクトレスEMV、通称NFC決済)の普及促進が図られている。さらに非接触が新型コロナウイルス対策としても注目されている。

 こうした状況も背景として、決済種類・ブランドの拡大、電子マネーブランドの拡大、決済端末製品ラインアップの拡充と拡販、決済パートナーの拡大、ストック型ビジネスモデルの拡大など、電子決済ソリューションの展開を加速している。

 18年5月には三井住友カードと包括加盟店契約を締結した。三井住友カードの代行として加盟店開拓・契約締結・管理を行い、継続的に手数料収入が得られるストック型収益となる。さらに中堅カード会社との接続など決済パートナーの拡大を推進する。

 19年6月にはGMOフィナンシャルゲート(GMO-FG)と接続開始した。GMO-FGを通じた決済ソリューションの第一弾として、自動精算機向けVP6800・IFCの拡販を展開する。20年後半からの販売本格化が期待される。

 19年7月には、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>のタクシー配車アプリMOVの車内決済システムとしてincredist Premiumが採用された。

 またキャッシュレス決済需要が高まっている中小店舗・商店街への対応として、各地の商店街連合会や各種団体と連携して決済代行事業を行っているJASPASと資本提携し、決済ソリューションの展開を加速している。

■ロボット関連も強化

 C&S事業は、公共系・音楽配信系・金融系・物流系・放送系などのシステム開発を展開している。サービス事業との融合でロボット関連も強化している。ジエナ社と共同開発したロボットコンテンツ制作サービスScenariaは、簡単にコンテンツ更新できるソリューションとして、ソフトバンクロボティクスの人型ロボットPepperや、NTT東日本のデスクトップ型ロボットSotaに対応している。

 ECソリューション事業のEC-Rider B2Bは、卸売・企業間取引に特化したECサイト構築システムである。また伝票処理自動化ソリューションの新製品OCRiderの拡販も推進する。

■21年3月期赤字予想だが有望案件目白押しで中期成長期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点は未定、2月12日公表)は、売上高が20年3月期比18.9%増の38億円、営業利益が80百万円の赤字(20年3月期は5億42百万円の黒字)、経常利益が90百万円の赤字(同4億70百万円の黒字)、当期純利益が90百万円の赤字(同3億64百万円の黒字)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比53.3%減の17億70百万円、営業利益が5億77百万円の赤字(前年同期は7億55百万円の黒字)、経常利益が5億91百万円の赤字(同7億円の黒字)、四半期純利益が5億97百万円の赤字(同5億32百万円の赤字)だった。

 前期の大型案件の反動、大型システム開発案件の遅延、新サービス開発費の増加などで減収・赤字だった、コンサルティング&ソリューション事業においては、大型基幹システム開発案件に係る受注損失引当金繰入額2億15百万円を計上した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高8億98百万円で営業利益1億17百万円の赤字、第2四半期は売上高4億60百万円で営業利益1億74百万円の赤字、第3四半期は売上高4億12百万円で営業利益2億86百万円の赤字だった。四半期業績は大型案件の納品・検収で変動する特性がある。

 通期も赤字予想だが、第4四半期はマイナンバーカード読取に対応した「Incredist Premium Ⅱ」大型案件の納品で黒字の見込みとしている。マイナンバーカード関連や無人精算機市場関連など有望案件が目白押しであり、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。2月25日の終値は630円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS75円40銭で算出)は約8.4倍、時価総額は約60億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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