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ヤマシタヘルスケアホールディングスは21年5月期利益上振れの可能性
- 2021/3/1 08:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東1)は、九州を地盤とする医療機器専門商社を中心に、ヘルスケア領域でのグループとしての収益力向上を推進している。21年5月期は新型コロナウイルスの影響で減収減益予想としているが、第2四半期累計の利益進捗率が高水準であり、通期利益予想は上振れの可能性が高いだろう。株価は上値の重い展開だが、低PBRも見直し材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。
■九州を地盤とする医療機器専門商社
山下医科器械が17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスを新設した。九州を地盤とする医療機器専門商社を中心に、ヘルスケア領域でのグループとしての収益力向上を推進している。
グループの事業会社は4社で構成されている。山下医科器械は九州を地盤とする医療機器専門商社で、医療機器販売・メンテナンス、医療材料・消耗品販売、および医療モールを展開している。トムスは透析分野を中心とする医療機器販売およびメンテナンス、イーピーメディックは整形外科用インプラントの製造販売、アシスト・メディコ(19年12月設立)は医療機関の経営コンサルティングを展開している。なお山下医科器械は経済産業省から2020年度地域未来牽引企業(長崎県)の選定を受けた。
20年5月期のセグメント別売上構成比は医療機器販売業が99%、医療機器製造・販売業が1%、医療モール事業が0%、営業利益構成比(調整前)は医療機器販売業が95%、医療機器製造・販売業が4%、医療モール事業が1%だった。医療機関の設備投資関連のため、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。
なお17年9月に光通信<9435>と資本業務提携し、光通信の九州地区における医科向け「EPARK」事業を共同展開している。19年7月には自然落下制御式輸液装置を開発・製造するアイムと資本業務提携し、医療機関・介護施設向け新型輸液装置のレンタル事業を開始した。20年1月にはNTT東日本と協業し、医療機関向けICTサービスを開始した。
■ヘルスケア領域でのグループ収益力向上を推進
中期経営計画では、基本方針を「継続的な収益構造の確立に向けた事業会社の構造改革、および企業買収等によるヘルスケア領域でのグループ力向上を図る」として、目標値に21年5月期売上高605億円、営業利益5億30百万円、経常利益6億円を掲げている。
医療機器販売業では、電子カルテなどの医療情報システム構築支援、合弁事業の医科向け会員ネットワーク「EPARK」の普及拡大、SPD(Supply Processing&Distribution)事業の推進・収益性向上を推進している。医療機器製造・販売業では、台湾の医療機器メーカーと協力して手術器械の単回使用化に取り組んでいる。
財務面では株主資本利益率(ROE)10%、自己資本比率30%以上維持、配当性向30%を目標として掲げている。
■21年5月期減収減益予想だが2Q累計の進捗率高水準で利益上振れ余地
21年5月期連結業績予想は売上高が20年5月期比2.4%減の631億08百万円、営業利益が6.3%減の5億24百万円、経常利益が10.0%減の5億78百万円、当期純利益が24.8%減の3億45百万円としている。配当予想は13円減配の41円(期末一括)である。
重点施策としてグループ間の連携を強めて、急性期病院への高度医療機器や低侵襲治療機器等の営業拡大、充実した物流網を活かしたSPD事業の推進、電子カルテや医療情報システムの提案強化、新規事業によるサービス多角化などを推進する。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比1.8%減の325億02百万円、営業利益が19.9%減の4億27百万円、経常利益が21.0%減の4億60百万円、四半期純利益が25.4%減の3億08百万円だった。
新型コロナウイルスの影響(取引先医療機関における外来患者数の減少、手術・検査・処置症例の減少、商談遅延・見送りなど)で売上が減少し、コスト面では設備管理費などが増加した。
医療機器販売業は1.8%減収で7.7%減益だった。売上高の内訳は一般機器分野が14.0%減収、一般消耗品分野が1.9%増収、低侵襲治療分野が5.8%減収、専門分野が3.7%増収、情報・サービス分野が11.0%増収だった。医療機器製造・販売業は20.5%増収で17.6%増益、医療モール事業は10.9%減収で僅かながら赤字化した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高155億28百万円で営業利益66百万円、第2四半期は売上高169億74百万円で営業利益3億61百万円だった。医療機関の設備投資関連のため、第2四半期および第4四半期の構成比が高い特性がある。
通期ベースでも、新型コロナウイルスによるマイナス影響(手術・検査・処置症例減少による消耗品売上の減少、商談の遅延や設備計画の見直し)を想定し、さらに消費増税時の駆け込み需要の反動減なども考慮して、減収減益予想としている。
ただし第2四半期累計の進捗率は売上高が51.5%、営業利益が81.5%だった。利益進捗率が高水準であり、通期利益予想は上振れの可能性が高いだろう。
■株主優待制度は5月末の株主対象
株主優待制度は毎年5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数および継続保有期間に応じてオリジナルクオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は調整一巡
株価は上値の重い展開だが、低PBRも見直し材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。2月26日の終値は1533円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS135円32銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の41円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2717円81銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約39億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)