【どう見るこの相場】「天井三日」か防衛線の死守か?別ライン相場に「都市鉱山株」の浮上を期待

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 相場格言の「天井三日 底百日」が浮かび、瞬間的に頭が真っ白になった投資家も少なくなかったのではないだろうか?日経平均株価が、前週末26日に1202円安と安値引けして2万9000円台も割ってしまった。今年2月15日に3万円の大々台に乗せ30年半ぶりの高値をつけたばかりである。昨年3月相場の新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)による世界同時株安がまだ記憶に生々しく残っている。今度は、米国の長期金利(10年物国債利回り)の急上昇がカタリストになって悪夢の再現となるのかと頭をかすめたはずだからだ。

 しかもわが日本銀行が、26日前引けの東証株価指数(TOPIX)が、1.92%安となったことでやっと重い腰を上げETF(上場投資信託)を501億円買い入れたのにもかかわらずである。ただこのETF買いは今年1月28日(日経平均2万8197円)以来1カ月ぶりで、日銀の相場感は、日経平均2万8000円を防衛線としているとも忖度される面はある。続いてオープンした26日の米国市場でも、強弱マチマチとなった。ダウ工業株30種平均(NYダウ)は469ドル安と続急落したものの、10年物国債利回りは、前日の1.62%から1.40%前半まで低下し、割高として売られたハイテク株が買い戻され、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)も、前々日の急落から2.28%高と急反転した。

 週明けスタートの3月相場は、やはり「天井三日 底百日」なのか、それとも長期金利上昇を織り込み済みと気を取り直し、ハイテク株の突っ込み買いか景気敏感株の逆張りかどちらに決め打ちすれば正解か迷うことになる。こうした強弱感が対立し方向感の定まらない膠着相場では、これまでマーケットの圏外に置かれていた別筋の銘柄やテーマ株に方向転換して、嵐の静まるのを待つのも株式投資の常道となる。例えば上値のシコリがないとしてIPO(新規株式公開)株に集中するIPO祭りなどの別ライン相場も繰り広げられた。

 この別ライン相場感覚で今週の当特集では、今年2月24日付け1面の日本経済新聞のトップ記事に関連する銘柄に注目することとした。同記事のヘッドラインに『米、同盟国と供給網整備 半導体やEV電池 中国に対抗』とあった。中国への依存度の高い半導体、EV(電気自動車)電池、レアアースなどの重要部材のサプライチェーンを米国、日本、オーストラリア、韓国、台湾などの同盟国内で再構築する大統領令に署名し、中国を封じ込めようという隔離政策である。この地政学的な大統領令は、企業経営にとってリスクになる側面もチャンスを高める側面もあるはずだ。そこでビジネスチャンスが期待される「都市鉱山」株に注目することとした。

 都市ゴミとして大量廃棄される金属スクラップや家電製品は、これまで環境衛生上の厄介者であった。ところがこの都市ゴミには豊富な貴金属、レアメタルなどが蓄積されており、これをリサイクル、回収すればまさに「都市鉱山」の開発となるもので、「資源小国」の日本が「資源大国」になるポテンシャルを秘めていることになり、2013年4月には小型家電リサイクル法も施行されている。折からの決算発表では、この「都市鉱山株」は業績の上方修正、増配、株式分割などに踏み切った銘柄も多く、別ライン評価が高まる展開も想定される。

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