【編集長の視点】メディカル・データ・ビジョンは続落も相次ぐ新サービス開始を買い評価しマイナンバーも追い風となり人気再燃も
- 2015/6/3 10:44
- 編集長の視点
は、160円安の7560円と続落して始まっている。前日の欧米株安や円安一服を受け、きょう3日の日経平均株価が、145円安と続落してスタートしていることが波及し、同社株も、25日移動平均線水準で売り買いが交錯している。
ただ同社は、今年5月25日に発表した医師専門転職サイト「メディリア」の立ち上げに続き、同27日には同社の病院向け経営支援システム「Medical Code」の新機能追加など新サービスの展開を積極化しており、2016年にスタートするマイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度が、医療分野まで利用範囲を拡大することを目指していることも追い風、下値は、押し目買い妙味を示唆している。同新サービスは、同社が2015年から本格化する第3フェーズ(投資フェーズ)の柱の一つとなっており、同フェーズでは売り上げは年率30%前後の増加、経常利益率は10%前後と計画されている。
■新サービスの医師専門転職サイトでは労働環境まで提示し先端優位性
同社は、昨年12月の新規株式公開(IPO)以来、相次いで新サービスをスタートさせている。5月25日に発表して6月中旬をメドにオープンする医師転職サイト「メディリア」は、同社が、保有する大規模診療データベースや、募集病院のDPC(入院時に医療費を包括払いする制度)データを活用する独自先端性を持っている。同データにより募集病院の来院患者の性年代、疾患ごとの患者数、手術実績などが明らかとなり、労働環境と医師の医療実績とのマッチングを図り、優秀な医師の採用・転職を実現する。初年度に500施設の病院の求人を扱い、100名程度の転職を目指すとされ、このため株価も、8%超の急伸と高評価した。
この「メディリア」に続いて発表した「Medical Code」の新機能追加も、労働厚生省が、2014年の診療報酬改定で新設した「地域包括ケア病棟」制度に関連して、一般病棟から一般病棟へ転棟する際の収益差額分析による経営予測を可能とする。同社は、医療情報のネットワーク化の第一人者で、2015年から本格化させて経営計画の第3フェーズ(投資フェーズ)では、新サービスの展開を柱の一つとなっており、同フェーズでは売り上げを年率30%前後の増加、経常利益率を10%前後と計画しており、今後も、成長戦略に拍車が掛かることが見込まれる。
一方、マイナンバー制度では、6月1日に公表された年金機構の情報流出で一段の情報管理が強化されることになるが、政府は、すでにカルテや診療報酬明細(レセプト)などの医療情報までの活用を決定しており、同社の診療データ分析ツール「MDV analyzer」で1000万人を超える患者のPCDデータを保持する同社の優位性が強まることになる。同社は業績も順調に推移しており、今12月期業績は、売り上げ26億2200万円(前期比34.4%増)、経常利益2億6200万円(同5.5%増)、純利益1億4600万円(同7.8%増)と予想している。
■最安値から85%高したあと25日線水準を固めリバウンド幅をさらに拡大へ
株価は、昨年12月に公開価格5180円でIPOされ、1万2220円で初値をつけ上場来高値1万6400円まで買い進まれたあと、同安値5150円まで調整し、公開価格割れは下げ過ぎとして9450円と85%高して最高値から最安値への半値戻し目前となり、その後は25日線水準を出没して中段固めを続けている。マイナンバーも追い風となり一段の戻りにトライしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)