【編集長の視点】兼松エンジは小反落も業績上方修正が後押しし大幅増配の権利取り妙味
- 2021/3/2 09:09
- 編集長の視点
兼松エンジニアリング<6402>(東2)は、前日1日に6円安の1510円と5営業日ぶりに小反落して引けた。前場取引時間中に1519円と買われ、今年2月26日につけた昨年来高値1518円を更新し、「一文新値」となったことから目先の利益を確定する売り物が出た。ただ同社株は、今年2月9日に今2021年3月期通期業績の上方修正と今期配当の大幅増配を発表しており、期末の3月相場入りしたこの下値は配当権利取り妙味を示唆している。高配当利回り株は、長期金利が上昇するなど株価的にはややアゲインストとなるが、同社の配当利回りは、4.17%と東証第2部全銘柄平均の1.77%を大きく上回り、同市場の高配当利回りランキングの第17位にランクされていることでカバーしており、割安修正期待のバリュー株買いも交錯している。
■期初予想の37円を63円に増配し東証2部高利回り順位の第17位
同社の配当は、前2020年3月期も業績の2回の上方修正とともに期初予想の年間37円が42円、43円と相次ぎ引き上げられた。配当性向35%を目指す配当性向に従って増配された。ただ今2021年3月期については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けることから慎重に業績を予想し、配当についても年間37円と減配を予想していた。
ところが、その今期業績は、第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)業績を昨年8月、10月と2回上方修正したあと、今年2月に3月期通期業績を上方修正した。国内トップシェアの強力吸引作業車、高圧洗浄車の販売が、都市再開発、東京オリンピック、さらに国土強靭化計画の推進などを受けて大きく続伸していることが要因となった。売り上げを期初予想より8億2000万円、営業利益を2億1000万円、経常利益を2億1000万円、純利益を8800万円それぞれ引き上げ売り上げ115億円(前期比1.7%減)、営業利益10億7000万円(同5.6%増)、経常利益11億円(同5.6%増)、純利益7億円(同0.8%減)と見込んでいる。
つれて今期配当も、普通配当12円に特別配当を期初予想の25円から31円に引き上げ、さらに創業50周年記念配当20円を上乗せして年間63円(前期実績43円)に大幅増配する。
■窓を開けて急伸もPERは11倍台と割り負け上場来高値を強く意識
株価は、前期業績の上方修正で1450円と買われ、コロナショック安で1002円と売られ、前期業績の再上方修正と増配の発表で期末の配当権利取りから1240円までリバウンドしたものの、今期業績の減収益予想で再び1005円と1000円大台で下値を確認する動きが続いた。ただ同安値からは今期2Q業績の2回の上方修正などをテコに下値を切り上げ、今年2月の今期通期業績の上方修正と大幅増配で窓を開けて昨年来高値1519円へ急騰した。配当利回りは、4.17%、PERは11倍台と割安であり、インカム・ゲイン妙味とともにキャピタル・ゲイン妙味を示唆しており、上値フシとして2018年2月につけた上場来高値1802円が強く意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)