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ピックルスコーポレーションは22年2月期も収益拡大基調
- 2021/3/4 07:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ピックルスコーポレーション<2925>(東1)は漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」ブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の拡大、EC・外食・小売領域への展開を推進している。21年2月期は大幅増益予想で3回目の上振れの可能性が高いだろう。さらに22年2月期も収益拡大基調だろう。株価は1月の上場来高値圏から反落したが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。
■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上
漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の開発強化と新製品の積極投入、西日本エリアへの販売拡大、量販店惣菜売場・ドラッグストア・配食事業など販売先の拡大、新たな販売チャネルとしてのEC・外食・小売領域への展開を推進している。
19年2月期の品目別売上構成比は製品63.9%(浅漬・キムチ41.8%、惣菜20.1%、ふる漬2.0%)および商品(漬物、調味料、その他)36.1%だった。販路別売上構成比は量販店・問屋等74.9%、コンビニ15.9%、外食・その他9.2%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。
収益面の特性としては、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。
■ECやBtoC領域など新たな販売チャネルにも展開
中期成長戦略として、惣菜・その他分野の商品開発強化、西日本地区への販売エリア拡大、量販店惣菜売場や配食事業などへの販売先拡大、ECやBtoC領域など新規事業推進を掲げている。
新たな販売チャネルへの展開としては18年4月、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「ピーネオンラインショップ」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋オンラインショップ」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。
またグループ商品を活用してBtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月には運営子会社OHが埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。日本の伝統的な食文化「発酵」を発信していく。
中期目標値には、23年2月期売上高457億円(浅漬・キムチ209億36百万円、惣菜93億91百万円、ふる漬8億73百万円、商品144億98百万円)、営業利益20億83百万円、経常利益22億03百万円、純利益14億73百万円を掲げている。設備投資はOH施設、中京工場増床、設備更新などで21年2月期からの3年間で合計43億32百万円を計画している。
20年9月には地球環境に配慮し、浅漬用に植物由来原料の容器を導入して軽量化と省資源化を図ると発表した。20年11月にはグループ従業員に対して、新型コロナウイルス感染症に関するお見舞金を支給(パート・アルバイト含む2845名を対象に総額1億円)した。
また21年1月には、浅漬製品を「野菜の元気をお届け」としてブランドリニューアルすると発表した。パッケージデザインを刷新するとともに、包装パッケージに使用するインキを植物性バイオマスインキに順次切り替えて環境負荷低減も推進する。
■21年2月期大幅増益予想、さらに3回目の上振れの可能性
21年2月期連結業績予想(9月25日に売上高と利益を上方修正、12月29日に利益を2回目の上方修正)は、売上高が20年2月期比8.7%増の450億円、営業利益が33.6%増の25億円、経常利益が31.8%増の26億円、当期純利益が39.5%増の18億円としている。配当予想(12月29日に期末5円上方修正)は20年2月期比5円増配の35円(期末一括)としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比12.1%増の352億16百万円、営業利益が45.8%増の22億93百万円、経常利益が41.7%増の23億84百万円、四半期純利益が39.9%増の16億16百万円だった。
大幅増収増益だった。売上面では、新型コロナウイルスに伴う巣ごもり消費に加えて、健康志向の高まりを背景に乳酸菌を含む食品としてキムチがテレビ番組で取り上げられたことも寄与した。利益面では、春先の低温や夏場の長雨・猛暑で一時的に原料野菜価格が高騰する場面があったが、秋以降は仕入価格が安定し、増収効果や生産効率化効果も寄与した。
通期ベースでも販売が好調に推移し、20年10月開始の外食・小売「OH!!!発酵・健康・食の魔法!!!」関連費用の増加を吸収する。生産効率化効果なども寄与して大幅増益予想としている。
第3四半期累計の進捗率は売上高が78.3%、営業利益が91.7%と高水準である。巣ごもり消費に加えて、飲食店の時短営業などで野菜価格が下落していることも追い風である。新規事業開始に伴う費用を吸収して3回目の上振れの可能性が高いだろう。さらに22年2月期も収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象
株主優待制度は毎年2月末時点の100株以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。
■株価は調整一巡
株価は1月の上場来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。3月3日の終値は3325円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS281円15銭で算出)は約12倍、前期推定配当利回り(会社予想の35円で算出)は約1.1%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2017円79銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約214億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)