中本パックスは21年2月期上振れ余地、22年2月期も収益拡大期待

 中本パックス<7811>(東1)はグラビア印刷を主力に、コーティング加工、ラミネート加工、成形加工も展開し、収益力向上と全天候型の安定経営を目指している。21年2月期増収増益予想である。第3四半期累計の進捗率が高水準であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。さらに22年2月期も収益拡大を期待したい。株価は昨年来高値圏から急反落の形となったが、利益確定売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。なお4月8日に21年2月期決算発表を予定している。

■グラビア印刷が主力

 グラビア印刷を主力に、コーティング加工、ラミネート加工、成型加工も展開している。食品包装分野を主力として、全天候型経営による収益拡大・安定成長を推進している。

 20年2月期用途分類別売上構成比は食品(弁当・惣菜等の容器およびトレー、乳製品・菓子・豆腐・ハム・ソーセージ等の食品包装)67%、IT・工業材(PC、スマホ、自動車内装材)13%、生活資材(布団の圧縮袋等日用品)10%、医療・医薬(医薬品の外装袋・個包装、湿布等のセパレートフィルム)4%、建材(家具、ふすま紙、壁紙)4%、その他2%で、売上総利益構成比は食品49%、IT・工業材20%、生活資材19%、医療・医薬5%、建材4%、その他3%だった。

 高度な技術力をベースとして、グラビア印刷では競合の少ない厚み領域や多用途での展開、コーティング加工では幅広いニーズに迅速かつ柔軟に対応可能な体制構築、ラミネート加工では様々な用途・ニーズへの対応を強化している。また自社開発Nブランド製品の用途拡大・拡販も推進している。なお20年7月には持分法適用関連会社である三国紙工を連結子会社化した。

■中期的に経常利益25億円目指す

 中期経営目標値として売上高500億円、経常利益25億円を掲げている。重点戦略としては、収益力向上と全天候型の安定経営、環境経営の推進とNブランド製品の拡販、エンジニアリング部新設(19年3月)による事業強化とスピードアップ、チャイナプラスワンおよび北米市場での販売強化による海外事業の拡大、M&Aの積極活用、基幹システム刷新(20年9月目標)による省力化・コストダウン・効率化の推進を掲げている。

 環境対応のNブランド品は、竜ケ崎第2工場内の専用工場が20年10月からテスト稼働予定である。

 海外は米国ナッシュビル営業事務所で、自動車内装材、食品包材、機能材分野の新規受注を推進している。また中国の子会社はシート印刷事業を中心に19年9月本格稼働し、20年黒字化を目指している。ベトナムの子会社は新型コロナウイルスの影響でやや遅れたが20年5月設立完了し、21年3月稼働開始予定としている。

■21年2月期増収増益予想で上振れ余地、22年2月期も収益拡大期待

 21年2月期連結業績予想は、売上高が20年2月期比1.2%増の345億円、営業利益が6.2%増の16億29百万円、経常利益が2.6%増の16億50百万円、当期純利益が5.7%増の11億48百万円としている。配当予想は20年2月期と同額の56円(第2四半期末28円、期末28円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比3.9%増の267億11百万円、営業利益が16.1%増の13億91百万円、経常利益が14.9%増の14億21百万円、四半期純利益が31.2%増の11億02百万円だった。純利益は負ののれん発生益(持分法適用関連会社の三国紙工を連結子会社化)も寄与した。

 食品関連は3.4%増収だが売上総利益3.2%減益だった。中食・内食需要でスーパーマーケット向けの包材が好調だったが、行楽・イベント用の比較的高価格帯の容器・トレー向け商材の減少で利益率が低下した。IT・工業材関連は4.6%増収で26.3%増益だった。電子部品製造用フィルムが好調に推移し、自動車内装材も持ち直した。生産効率向上も寄与して大幅増益だった。

 医療・医薬関連は病院関連などの受注好調で15.5%増収だが2.0%増益にとどまった。建材関連は14.4%増収で33.6%増益だった。機能性建材の好調や生産効率向上効果で大幅増益だった。生活資材関連は1.9%減収だが9.5%増益だった。新型コロナウイルス影響を受けたが、エコ関連新商材投入や新規取引先増加などで増益を確保した。その他は4.3%減収だが36.4%増益だった。新規連結の三国紙工が寄与して大幅増益だった。

 通期予想を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率は売上高が77.4%、営業利益が85.4%、経常利益が86.1%、純利益が96.0%と高水準だった。需要が回復傾向であり、生産効率改善なども寄与して通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。さらに22年2月期も収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は2月末時点の株主対象

 株主優待制度は毎年2月末時点で1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(2月8日に拡充を発表、詳細は会社HP参照)している。

■株価は利益確定売り一巡して戻り試す

 株価は2月の昨年来高値圏から急反落の形となったが、利益確定売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。3月4日の終値は1565円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS140円47銭で算出)は約11倍、前期推定配当利回り(会社予想の56円で算出)は約3.6%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1479円33銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約128億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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