- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- カナモトはボックスレンジ上放れ、21年10月期増収増益予想で1Q順調
カナモトはボックスレンジ上放れ、21年10月期増収増益予想で1Q順調
- 2021/3/11 08:27
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。中期成長に向けて国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化、レンタルビジネス収益性向上を推進している。21年10月期は公共投資が堅調に推移して増収増益・増配予想としている。第1四半期は将来を見据えた人財投資で減益だったが、進捗率が順調であり、通期ベースで収益拡大を期待したい。なお3月4日にはローカル5G実験試験局免許取得と実証実験開始を発表している。これらを好感して株価は急伸し、ボックスレンジから上放れの動きとなった。上値を試す展開を期待したい。
■建設機械レンタル大手
建設機械レンタルの大手である。建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。
20年11月に丸森営業所(宮城県)を開設し、営業拠点数は208拠点、グループ合計533拠点となった。
20年10月期の売上高構成比は建設関連事業89.8%、その他事業(鉄鋼関連事業、情報通信関連事業、福祉関連事業など)10.2%、営業利益構成比(連結調整前)は建設関連事業93.0%、その他事業7.0%だった。
収益面では建設工事の影響を受けやすく、売上高が第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する季節特性がある。
■中期経営計画で24年10月期営業利益230億円目標
中期経営計画「Creative 60」では、目標値として24年10月期売上高2280億円、営業利益230億円、営業利益率10.1%などを掲げている。
重点施策として、グループ総力を結集した国内営業基盤の拡充(既存エリアの深掘り、未進出エリア・低シェア領域の開拓、非建設分野への進出)、海外戦略2.0(Next Generation)へのバージョンアップ(グローバルポートフォリオの最適化、カナモト版グローバルプラットフォームの確立、海外M&Aの取り組み、海外売上比率10%への布石)、内部オペレーション最適化とレンタルビジネスの収益性向上(営業戦略とITの融合、工事現場に必要な技術・システムの開発、業務効率向上、原価コントロール、長期的な安定稼働など)を推進している。
19年9月小松土木通商(石川県)を子会社化、19年10月子会社ユナイトが九州ロード(熊本県)を子会社化、19年12月子会社アシストが什器備品・ウォーターサーバーレンタルのコムサプライ(北海道)を子会社化した。20年4月には山本製作所(福岡県大牟田市)の建機事業を譲り受けた。
20年9月には豪州の企業グループPPGの全株式を取得する株式譲渡契約書締結を発表した。株式譲渡実行日は20年9月30日以降、関係当局の承認取得を前提に設定するとしている。
また20年9月にはソーキホールディングス(大阪市中央区)の全株式を取得し、ソーキホールディングス、測量機・計測機器のレンタルや自動計測システムの開発・レンタルなどを展開するソーキ、およびソーキ販売を子会社化した。
3月4日には、建設機械の遠隔操作技術の向上を目指して、ローカル5Gの実験試験局免許を取得(21年1月20日)し、実証実験を開始したと発表している。
■21年10月期増収増益予想で1Q順調
21年10月期連結業績予想は、売上高が20年10月期比6.3%増の1903億円、営業利益が5.3%増の150億円、経常利益が6.5%増の152億円、当期純利益が6.3%増の90億円としている。配当予想は5円増配の70円(第2四半期末25円、期末45円)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比4.9%増の476億60百万円、営業利益が6.7%減の39億81百万円、経常利益が3.7%減の42億06百万円、四半期純利益が10.7%減の22億65百万円だった。
売上面では、民間投資が低調だったが、公共投資(災害復旧工事、インフラ関連工事、防災関連工事など)が堅調に推移し、全体として建機レンタル需要が順調に伸長した。中古建機販売も期初計画どおりの売却を進めた。利益面では将来を見据えた人財投資など、先行投資負担で販管費が増加したため減益だった。建設関連は5.8%増収だが8.4%減益、その他は3.0%減収だが15.1%増益だった。
通期の連結業績予想は据え置いた。公共投資が堅調に推移して増収増益予想としている。中期的需要見通しに対する資産の最適保有と機種構成を確保し、変化に対応したイノベーション、業務効率化や生産性向上などで収益力強化を図るとしている。第1四半期の進捗率は売上高25.0%、営業利益26.5%、経常利益27.7%、純利益25.2%と順調だった。国土強靭化関連など公共投資が堅調であり、通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株価はボックスレンジ上放れ
株価は急伸してボックスレンジから上放れの動きとなった。上値を試す展開を期待したい。3月10日の終値は2696円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS238円08銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の70円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3150円30銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約1044億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)