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綿半ホールディングスは反発の動き、21年3月期利益予想は3回目の上振れの可能性
- 2021/3/12 07:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
綿半ホールディングス<3199>(東1)はホームセンター中心の小売事業、および建設事業、貿易事業を展開している。21年3月期2桁増益予想としている。そして第3四半期累計時点で通期利益予想を超過達成している。また既存店売上は21年2月が95.6%で20年9月以来の前年割れとなったが、20年4月~21年2月累計ベースでは102.6%と順調である。通期利益予想は3回目の上振れの可能性が高いだろう。株価は反発の動きを強めている。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■小売事業、建設事業、貿易事業を展開
ホームセンター中心の小売事業、および建設事業、貿易事業を展開している。20年3月期のセグメント別売上高構成比は小売事業65%、建設事業31%、貿易事業4%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は小売事業43%、建設事業29%、貿易事業24%、その他3%だった。なお20年6月には長野県SDGs推進企業に登録された。
■小売事業はEDLP×EDLC戦略を推進
小売事業は、綿半ホームエイドが長野県を中心にスーパーセンター業態とホームセンター業態、綿半フレッシュマーケットが愛知県を中心に食品スーパー業態、綿半Jマートが関東甲信越エリアにホームセンター業態を展開している。スーパーセンターは生鮮食品を含めて10万点を超える豊富な品揃えが特徴だ。
M&Aも活用したエリア拡大と売場面積拡大、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)×EDLC(エブリデー・ロー・コスト)戦略、綿半パートナーズによるグループ商品仕入原価低減とPB商品共同開発・相互供給、全社を一本化する新基幹システムの導入と物流改革などを推進している。
18年12月家電・パソコン通販サイト「PCボンバー」運営のアベルネットを子会社化(20年6月綿半ドットコムに社名変更)、19年4月長野県内で「お茶元みはら胡蝶庵」を展開する丸三三原商店を子会社化(19年11月綿半三原商店に社名変更)、19年8月戸建木造住宅FC事業を展開するサイエンスホーム(浜松市)を子会社化、20年10月家具・インテリア販売や空間デザイン事業などを展開するリグナ(東京都)を子会社化、20年11月長野県で調剤薬局併設ドラッグストアを展開するほしまん(長野県佐久市)を子会社化した。
なお小売事業の月次売上(速報値)を見ると、21年2月は全店95.3%、既存店95.6%だった。ネット通販が巣ごもり特需の反動で減少した。店舗販売は営業日数が1日少ない状況だったが、気温上昇でDIY・園芸用品が伸長した。なお20年4月~21年2月累計は全店102.1%、既存店102.6%と順調である。富士河口湖店は生鮮品を導入したスーパーセンターとして3月末にリニューアルオープン予定である。
■建設事業は長尺屋根工事や自走式立体駐車場工事に強み
建設事業は、綿半ソリューションズが建築・土木・住宅リフォーム工事、鉄骨・鋼構造物の加工・製造などを展開し、長尺屋根工事および自走式立体駐車場工事を強みとしている。
長尺屋根工事では工場の操業を止めずに老朽化した屋根の改修工事を行うWKカバー工法で特許を取得し、自走式立体駐車場工事では柱の少ない「ステージダブル」など国土交通省の認定を多数有している。
2月1日にはSUBARU矢島工場従業員専用立体駐車場の建設工事、および工場と駐車場を繋ぐ連絡橋工事の引き渡しが完了したと発表している。駐車場屋上階には自走式駐車場発電設備として日本最大級規模の太陽光発電システムを設置した。
■貿易事業はジェネリック医薬品向け天然原料などを輸入販売
貿易事業は、医薬品・化成品向け天然原料輸入専門商社の綿半トレーディングが展開している。
ジェネリック医薬品向けアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)や、メキシコ特産でヘアワックス・口紅などに使用するキャンデリラワックス(取り扱い数量国内1位)など特定分野に強みを持ち、製造部門はHMG(ヒト尿由来の排卵障害治療薬)原薬を製造して医薬品メーカーに販売している。
■21年3月期3Q累計大幅増益、通期利益予想は3回目の上振れの可能性
21年3月期の連結業績予想(7月30日に売上高を据え置き、利益を上方修正、10月29日に売上高を下方修正、利益を2回目の上方修正)は、売上高が20年3月期比4.3%減の1150億円、営業利益が17.6%増の31億円、経常利益が19.1%増の33億50百万円、そして当期純利益が38.2%増の21億円としている。
配当予想(10月29日に期末1円上方修正)は18円(期末一括)としている。20年10月1日付株式2分割後に換算して比較すると20年3月期比1円増配となる。
第3四半期累計は売上高が前年同期比1.3%減の888億08百万円、営業利益が68.6%増の33億67百万円、経常利益が71.3%増の35億99百万円、四半期純利益が68.8%増の21億37百万円だった。
小売事業は4.8%増収で58.6%増益だった。スーパーセンター化した中野店と万力店が伸長し、巣ごもり消費も追い風としてDIY商品や園芸用品など利益率の高い商品が好調だった。仕入ルート開拓による原価低減やチラシの削減なども寄与した。
建設事業は17.1%減収だが2.2増益だった。工事物件減少で減収だが、原価低減や業務改革による経費削減が寄与して大幅増益だった。貿易事業は10.4%増収で12.2%増益だった。顧客からの医薬品安定供給確保のための在庫積み増し要請に応えた。
なお四半期別営業利益は、第1四半期が13億66百万円、第2四半期が9億34百万円、第3四半期が10億67百万円だった。
通期予想については、新型コロナウイルス感染再拡大の影響、小売事業における新規出店・改装コストや一部休業の影響、建設事業の工期遅れや受注減少などを考慮して従来予想を据え置いている。ただし保守的だろう。
小売業の下期は季節要因による商品構成差で利益率が低下する傾向もあるが、第3四半期累計時点で通期利益予想を超過達成している。また既存店売上は21年2月が95.6%で20年9月以来の前年割れとなったが、20年4月~21年2月累計ベースでは102.6%と順調である。通期利益予想は3回目の上振れの可能性が高いだろう。
■景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を目指す
中期ビジョンでは基本方針に「時代の変化に対応し、景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を創り上げる」を掲げ、多様性のある経営人財の育成、IT化推進による経営改革、M&A推進のための財務体質強化、長期を見据えた海外展開の準備に取り組んでいる。
中期経営計画では、目標値に22年3月期売上高1200億円(小売事業790億円、建設事業350億円、貿易事業58億円、その他2億円)、経常利益32億円を掲げている。
小売事業は既存店売上を維持しながら、M&Aも積極活用してネット通販など販売手法の多様化を推進する。コスト面では新決済システムや物流改革による効率化を推進する。新規出店は3年間で売場面積4500坪拡大を目指す。建設事業は新製品開発や工場ロボット化による生産性向上、貿易事業は天然原料の新製品投入や販路拡大で収益力向上を目指す。
■株主優待制度は毎年9月末の継続保有株主対象
株主優待制度は、毎年9月30日現在で1単元(100株)以上を継続的に保有している株主を対象として、信州特産品や綿半ホームエイドPB商品詰め合わせなどを贈呈している。なお2月25日に株主優待制度拡充を発表し、新たに300株以上の優待区分を新設(詳細は会社HP参照)した。21年9月末対象から実施する。
■株価は反発の動き
株価(20年10月1日付で株式2分割)は反発の動きを強めている。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。3月11日の終値は1322円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS106円06銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS801円27銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約262億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)