パイプドHDは戻り試す、21年2月期業績予想を上方修正、配当は増配

 パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「SPIRAL」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業や販促CRMソリューション事業などを展開している。3月16日の取引時間終了後に21年2月期業績予想の上方修正を発表した。第4四半期に新型コロナウイルス感染症対策に急を要するシステム案件を多数受注した。未定としていた配当は増配予想とした。22年2月期も収益拡大を期待したい。株価は直近安値圏から反発の動きを強めている。上方修正を好感して戻りを試す展開となりそうだ。なお4月9日に21年2月期決算発表を予定している。

■情報資産プラットフォーム事業などを展開

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「SPIRAL」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業や販促CRMソリューション事業などを展開している。

 セグメント区分は、機能別事業群としての情報資産プラットフォーム事業(SPIRALやBizBaseなどのクラウドサービス提供)、販促CRMソリューション事業(Webシステムの開発、ECサイトの構築・運営支援)、広告事業(インターネット広告代理販売)、および分野別事業群としてのxTech事業(ArchiTech:BIM事業、BeauTech:美歴、HRTech:オーダーメイド人材育成代行、FinTech:エルコイン)、社会イノベーション事業(政治山、I LOVE 下北沢、シモキタコインの運営)としている。

 20年2月期の売上構成比は情報資産プラットフォーム事業68.4%、販促CRMソリューション事業15.5%、広告事業11.7%、xTech事業3.0%、社会イノベーション事業1.3%だった。

 情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。

■情報資産の有効活用を推進

 重点戦略としてリアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進している。

 20年11月には、新たなローコード開発プラットフォーム「SPIRAL ver2」の提供開始を発表した。グローバル案件にも対応可能な多言語機能を実装している。

 電子地域通貨プラットフォームを提供するエルコインの子会社シモキタコインは、エルコインの電子地域通貨プラットフォーム発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行している。

 政治・選挙情報サイト「政治山」を運営するVOTE FORは、自治体向けオープンデータ化・活用サービス「マイ広報紙」を展開するパブリカと合併し、収益性向上を推進している。20年7月には「つくばスマートシティ協議会」に参画した。

 さらにwithコロナ・afterコロナで役立つソリューションとして、体調報告アプリ、バーチャル株主総会ソリューション、美容室向け前売りチケット販売管理「チケット管理サービス」などの開発・提供を開始している。なお21年2月には美歴が美容室向け電子ヘアカルテ共有アプリ「美歴BIREKI」および店舗向け「美歴店舗管理サービス」を全面リニューアルした。

■投資事業も推進

 20年3月にはコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)として投資事業を行う新会社ダブルシャープ・パートナーズを設立した。

 そして20年5月には店舗マネジメントツール「はたLuck」を提供するナレッジ・マーチャントワークスに出資、20年8月には地方企業と大都市の副業・兼業人材マッチングサービス「JOINS」を提供するJOINSに出資、20年9月には家具のサブスクリプション型サービスを提供するsubsclifeに出資、20年12月にはBtoB受発注システム「CO―NECT」運営のCO―NECTに出資した。

■21年2月期業績予想を上方修正、配当も増配

 21年2月期の連結業績予想(6月30日に売上高・利益ともレンジ予想の下限値を上方修正、9月2日に投資有価証券売却益計上で純利益を上方修正、12月28日に投資有価証券売却益確定に伴って純利益を上方修正)は、3月16日に上方修正して、売上高が20年2月期比4.7%増の65億円、営業利益が0.7%増の14億円、経常利益が3.4%増の14億50百万円、当期純利益が67.2%増の11億50百万円とした。未定としていた配当予想は、2円増配の23円(第2四半期末9円、期末14円)とした。

 なお第3四半期累計は売上高が前年同期比1.4%増の45億69百万円、営業利益が9.6%減の8億21百万円、経常利益が11.5%減の8億17百万円、純利益が31.1%増の7億68百万円だった。

 新型コロナウイルスによるマイナス影響(商談長期化やキャンペーン中止など)を吸収して小幅増収だった。機能別事業群の情報資産プラットフォーム事業は2.3%増収、販促CRMソリューション事業は0.7%増収、広告事業は1.4%減収、分野別事業群のxTech事業は6.6%減収、社会イノベーション事業は5.2%増収だった。営業利益と経常利益は人件費や研修費の増加で減益だったが、純利益は投資有価証券売却益2億93百万円を計上(米国Sprinklr社の売却手続が第3四半期に完了)して大幅増益だった。

 通期は従来の営業・減益予想から一転して営業・経常増益となった。第4四半期に、ワクチン接種やウェビナー申込など新型コロナウイルス感染症対策に急を要するシステム案件を多数受注し、業績面でプラス影響を受けた。需要が回復傾向であり、22年2月期も収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は2月の直近安値圏から反発の動きを強めている。上方修正を好感して戻りを試す展開となりそうだ。3月16日の終値は1569円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS145円08銭で算出)は約11倍、前期推定配当利回り(会社予想の23円で算出)は約1.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS477円39銭で算出)は約3.3倍、時価総額は約128億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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