ベステラは上値試す、22年1月期大幅増益予想、脱炭素化で老朽化プラント解体工事増加

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 ベステラ<1433>(東1)は鋼構造プラント設備解体工事を展開し、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有を強みとしている。21年1月期は大幅増益だった。22年1月期も大型案件が牽引して大幅増益予想としている。脱炭素化に向けた国策も背景として、老朽化プラント解体工事の増加が予想されている。事業環境は良好であり、収益拡大を期待したい。株価は1月の昨年来高値圏から反落したが切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業

 製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。

 製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。主要顧客はJFEグループ、日本製鉄グループ、東京エネシス、IHIグループなどである。

 21年1月期の完成工事高の構成比は、電力が18%、製鉄が37%、石油・石化が34%、ガスが2%、子会社3Dビジュアルが3%、その他が6%だった。なお顧客の設備投資計画に応じた季節性があり、下期に完成工事高が増加する傾向が強い。

 大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有を強みとしている。技術関連では、球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」や火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得し、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」も開発している。

 20年2月には、インターアクション<7725>から3Dスキャン・3Dモデリング事業およびプラント設計事業を譲り受け、新会社3Dビジュアルとして事業を開始した。20年9月にはリバーホールディングス<5690>を持分法適用関連会社化した。

■プラント解体需要は中期的に増加予想

 第5次エネルギー基本計画や、脱炭素化に向けた2050年カーボンニュートラル宣言の国策も背景として、1960年代の高度成長期以降に建設された老朽化プラントの解体工事の増加が予想されている。

 中期経営計画2025(22年1月期~26年1月期、ローリング方式)では、目標値に26年1月期売上高100億円、営業利益10億円、経常利益10億72百万円、当期純利益7億52百万円、売上高営業利益率10.0%、ROE13.0%、EPS91円を掲げている。配当性向の目安は40%としている。

 重点戦略として、競争力のある特許工法による解体方法の提案・実用化、元請案件の受注拡大による収益力向上、コーポレートブランディングの強化、グループ企業との連携強化、協業先企業との連携強化、施工管理体制の強化、M&Aも活用した重要技術の内製化、DX(検査ロボット活用、設計・施工業務の変革)などを推進する。

 なお中期経営計画の達成に向けた資金調達として、第三者割当による第9回および第10回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行している。割当先の投資信託(Hayate Japan Unit Trust)は、企業への直接の資金提供(真の直接金融)を設立段階から謳った日本初の投資信託であり、今回の案件が第1号となる。

 調達資金は、プラント解体技術と相乗効果が高い4分野(脱炭素化に向けた設備の廃止措置に関する分野、風力発電設備の解体に関連する分野、3D事業価値追求のためのデジタル関連分野、解体施工技術の高度化を目的とした専門工事分野)へのM&A投資、および規模拡大に対応した営業担当者・採用担当者等の増員や拠点拡充などに充当する。また事業成長のための財務基盤の強化を推進する。

■22年1月期大幅増益予想

 21年1月期の連結業績は、売上高が20年1月期比7.2%増の36億82百万円で、営業利益が33.6%増の1億24百万円、経常利益が2.2倍の2億12百万円、当期純利益が2.4倍の1億42百万円だった。配当は20年1月期と同額の16円(第2四半期末6円、期末10円)とした。

 受注高は51.2%増の49億12百万円、完成工事高は5.9%増の34億14百万円、期末受注残高は2.4倍の25億45百万円だった。上期は新型コロナウイルス感染拡大に伴う着工時期変更などの影響を受けたが、下期に挽回して概ね計画水準の大幅増益で着地した。売上面では子会社化した3Dビジュアル、利益面では販管費の抑制、持分法適用関連会社化したリバーホールディングス<5690>からの配当金も寄与した。

 22年1月期の連結業績予想は、売上高が21年1月期比52.1%増の56億円で、営業利益が3.6倍の4億50百万円、経常利益が2.4倍の5億18百万円、当期純利益が2.5倍の3億60百万円としている。配当予想は21年1月期と同額の16円(第2四半期末6円、期末10円)としている。

 21年1月期に受注した電力および化学関連の大型案件が牽引して大幅増収増益予想としている。さらに今後の需要拡大が予想される原子力発電所廃止措置関連解体、風車解体などの領域にも受注活動を展開・強化する方針だ。受注環境は良好であり、収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年1月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年1月31日現在1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 株価は1月の昨年来高値圏から反落したが切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。3月19日の終値は1788円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS43円76銭で算出)は約41倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約0.9%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS315円08銭で算出)は約5.7倍、時価総額は約149億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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