【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パシフィックネットは調整一巡して強基調に転換、出直り本格化

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 中古パソコン・モバイル機器などのリユース事業を展開するパシフィックネット<3021>(東マ)の株価は、10月3日に付けた直近安値493円から切り返しの動きを強め、10月27日には前日比58円(10.42%)高の615円まで上伸する場面があった。7月の戻り高値868円から反落後の調整が一巡して強基調に転換した形であり、今期(15年5月期)業績上振れの可能性を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。

 パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど中古情報機器の引取回収・販売事業を主力として、レンタル事業も展開している。13年10月に旗艦店としてオープンした「PC-NETアキバ本店」など全国主要都市に9店舗を展開し、主要仕入先のリース・レンタル会社や一般企業からの引取回収を強化するとともに、生産性向上や業務プロセス効率化などで収益力を高めている。

 ISO27001(ISMS)およびプライバシーマークに準拠した情報漏洩防止のためのセキュリティ体制に強みを持ち、企業や官公庁のセキュリティ意識やコンプライアンス意識の向上に伴って中古情報機器の入荷台数が大幅に増加している。データ消去サービスなどで顧客カバー率が一段と広がり、大手金融機関からの中古情報機器引取回収もスタートしたようだ。

 新サービスとして14年8月に、レカム<3323>およびリステック(東京都中央区)との3社協業での中小企業向けサーバー機器レンタルサービスを開始し、法人向け格安スマートフォンのサービスも開始した。

 また14年10月から、企業・官公庁・自治体での使用済みIT機器の回収からデータ消去までの一連の作業を大幅に効率化する日本初のWebサービス「P-Bridge」の無償提供を開始した。IT資産管理ソフト大手エムオーテックス社とデータ連携し、当社の引取回収サービスの提供価値を高める。中期的にはソリューション・プラットフォームと位置付けて、リサーチ結果の提供やユーザー間の情報交換など、さまざまなサービスを新たに投入する方針だ。

 10月9日に発表した今期(15年5月期)第1四半期(6月~8月)の連結業績は、売上高が前年同期比27.2%増の11億50百万円、営業利益が同59.7%増の1億19百万円、経常利益が同51.7%増の1億24百万円、純利益が同70.5%増の84百万円だった。

 米マイクロソフトのOS「ウインドウズXP」サポート終了に伴うPC調達の動きは大企業を中心に一巡したが、使用済み中古情報機器の排出が高水準に推移して入荷台数が大幅に増加した。販売面では入荷台数の増加を受けて業者向け卸販売が好調に推移した。

 セグメント別に見ると、引取回収・販売事業は業者向け卸販売の好調などで売上高が同30.1%増の10億21百万円、業務プロセス効率化の効果も寄与して営業利益が同80.8%増の1億19百万円だった。レンタル事業は長期レンタルの増加で売上高が同8.3%増の1億28百万円だったが、短期レンタルの減少で原価率が上昇したため営業利益が0.4百万円の赤字(前年同期は8.4百万円の利益)だった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(7月15日公表)を据え置いて売上高が前期比4.8%増の42億53百万円、営業利益が同5.4%増の3億円、経常利益が同1.2%増の3億11百万円、純利益が同6.3%減の1億71百万円、配当予想が前期と同額の年間16円(期末一括)としている。純利益は前期適用の所得拡大促進税制が適用されないため減益見込みとしている。

 米マイクロソフトのOS「ウインドウズXP」サポート終了に伴うPC入れ替え需要は概ね一巡したが、使用済み中古情報機器の排出は高水準であり、格安SIMブームに伴う中古モバイル機器の需要が増加基調のようだ。顧客対応強化の効果でリース会社・一般企業などからの中古情報機器の引取回収が順調に増加し、前期第4四半期(3月~5月)に保守・サポートなど付帯サービス関連で受注した大型案件も寄与して増収営業増益見込みだ。

 通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が27.0%、営業利益が39.7%、経常利益が39.9%、純利益が49.1%と高水準であり、利益は第2四半期累計(6月~11月)の会社見通しを超過達成している。通期見通しは上振れが濃厚だろう。生産性向上や業務プロセス効率化の効果も寄与して中期的にも収益拡大が期待される。

 株価の動き(14年3月1日付で株式2分割)を見ると、10月3日に付けた直近安値493円から切り返しの動きを強めている。そして10月27日には前日比58円(10.42%)高の615円まで上伸する場面があった。7月の戻り高値868円から反落後の調整が一巡したようだ。

 10月27日の終値609円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円23銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.6%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS352円83銭で算出)は1.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると、戻りを押さえていた13週移動平均線に続いて26週移動平均線も突破した。強基調に転換した形であり、今期業績上振れの可能性を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。

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