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ラクーンホールディングスは上値試す、21年4月期大幅増益予想
- 2021/3/25 08:05
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ラクーンホールディングス<3031>(東1)は、企業間ECサイトのスーパーデリバリー運営を主力として、EC事業およびフィナンシャル事業を展開している。21年4月期大幅増益予想で、第3四半期累計は大幅増益と順調だった。企業間取引の構造的変化(デジタルシフト)も追い風として、中期的に収益拡大基調だろう。株価は反発して20年10月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力
アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業(T&G売掛保証、URIHO)、家賃保証事業(事業用・居住用を20年5月統合してラクーンレント)など周辺領域へ事業を拡大している。
スーパーデリバリーは出展企業と会員小売店の増加、および流通額の増加に伴って月額課金のシステム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。越境ECサービス「SD export」も展開している。家賃保証事業では20年5月に、子会社ラクーンフィナンシャルの事業用家賃保証事業を子会社ALEMOに承継して、ALEMOの社名をラクーンレントに変更している。
20年4月期セグメント別売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリー、COREC)が54%、フィナンシャル事業(Paid事業、売掛債権保証事業、家賃保証事業)が46%、営業利益構成比はEC事業が82%、フィナンシャル事業が18%だった。
■成長スピード加速
グループ経営戦略として既存事業の成長スピード加速、M&Aの実施、新規事業の創出を推進し、経営目標値としては早期にEBITDA10億円(18年4月期実績5.2億円)の達成を目指すとしている。また中期的にROE20%以上を目指すとしている。
利益還元については、ここ数年は概ね連結配当性向30%前後で推移してきたが、定量的な目標水準を定め、連結配当性向45%~50%を目途に配当を実施することとした。
■会員企業数、流通額、取扱高、保証残高は増加基調
20年4月期末スーパーデリバリー会員小売店数は19年4月期末比3万9905店舗増の16万7067店舗、出展企業数は434社増の1853社、商材掲載数は27万2348点増の114万7291点、流通額は13.9%増の128億08百万円(国内が10.4%増、海外が32.2%増)だった。
20年4月期末のPaid事業の加盟企業数は約3700社、グループ内含む取扱高は12.9%増の260億16百万円、保証事業の保証残高は20.2の756億44百万円(ラクーンフィナンシャル分267億74百万円、ALEMO分488億69百万円)だった。なお21年1月にはPaid事業の加盟企業が4000社、Paid会員が21万社を突破したと発表している。
■21年4月期大幅増益予想で再上振れ余地
21年4月期の連結業績予想(9月3日に上方修正)は、売上高が44億50百万円~46億円(20年4月期比28.0%増~32.3%増)、EBITDAが13億30百万円~14億10百万円(同56.7%増~66.2%増)、営業利益が11億80百万円~12億70百万円(同67.1%増~79.9%増)、経常利益が11億60百万円~12億50百万円(同63.7%増~76.4%増)、当期純利益が7億40百万円~8億円(64.0%増~77.3%増)としている。配当予想は、9円50銭増配の16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比28.2%増の32億46百万円、EBITDAが68.6%増の10億68百万円、営業利益が82.0%増の9億59百万円、経常利益が80.6%増の9億56百万円、四半期純利益が86.4%増の6億30百万円だった。
EC事業は43.7%増収で48.0%増益だった。流通額が64.3%増と大幅に拡大した。企業の営業活動のデジタルシフトなども追い風として、スーパーデリバリーの会員数・出展企業数が順調に増加した。
フィナンシャル事業は11.8%増収で117.4%増益だった。Paid取扱高(グループ内含む)が15.9%増、保証残高(T&G売掛保証、URIHO、家賃保証)が15.4%増と伸長した。利益面では、保証履行額が減少傾向で推移しているため、保証履行引当金、求償引当金および貸倒引当金を見直した結果、売上原価率が大幅に低下した。
通期予想レンジ上限値に対する第3四半期累計の進捗率は売上高70.6%、EBITDA75.7%、営業利益75.5%と順調である。企業間取引の構造的変化(デジタルシフト)も追い風として、中期的に収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は反発して20年10月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。3月24日の終値は2291円、今期予想連結PER(会社予想連結EPSの上限値37円42銭で算出)は約61倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS197円68銭で算出)は約12倍、時価総額は約512億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)