エイジアは調整一巡感、22年3月期も収益拡大期待

 エイジア<2352>(東1)はメール配信システムの大手である。クラウドサービスやM&Aによる新規事業で成長を目指している。21年3月期は償却費発生などで営業減益予想だが、クラウドサービスの伸長などで増収・EBITDA増益予想としている。さらに22年3月期も収益拡大を期待したい。株価は上値を切り下げる形だが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■メール配信などe-CRMシステム「WEBCAS」シリーズが主力

 自社開発e-CRMシステムのWEBCASシリーズのアプリケーション事業を主力として企業のCRM運用支援を行い、コンサルティング、システム受託開発、EC事業(18年9月譲り受けたベビー服ECサイト運営事業)も展開している。eメールを活用した販売促進ソリューションを強みとしている。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比はアプリケーション事業77%、コンサルティング事業15%、オーダーメイド開発事業1%、EC事業7%、営業利益構成比(調整前)はアプリケーション事業100%、コンサルティング事業1%、オーダーメイド開発事業1%、EC事業▲2%だった。収益面では下期の構成比が高い特性がある。またクラウドサービスが拡大してストック型構造の特性を強めている。

 メール配信システム「WEBCAS e-mail」は、顧客の嗜好、属性、購買履歴などに基づいたOne to Oneメールを、世界トップレベルの最高300万通/時で送信することが可能な超高速性が強みである。20年3月には多言語配信機能を標準搭載した新バージョンを発売した。WEBCASシリーズはメール配信システム「WEBCAS e-mail」を中心とするe-CRMアプリケーションシリーズで、20年9月には導入企業数が累計6300社を突破した。国内メール配信パッケージ市場シェア1位である。

 20年8月には「WEBCAS CRM」が、経済産業省のサービス等生産性向上IT導入支援事業「IT導入補助金2020」の認定ITツールとして登録された。21年1月には情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格ISO/IEC27001の再認証を取得した。

■クラウドサービスやM&Aによる新規事業で成長目指す

 中期経営計画では目標値として、23年3月期売上高26億円、EBITDA8億円(20年3月期実績売上高18億76百万円、EBITDA5億10百万円)を掲げている。

 顧客のマーケティング活動に対する横断的なソリューションの提供を目指し、クラウドサービスを中心とする既存事業の飛躍的成長、M&Aによる新規事業での「もう一つの柱」づくり、財務戦略の最適化などを推進する。

 19年11月には、インタートレード<3747>の子会社で暗号資産関連事業を展開するデジタルアセットマーケッツに出資した。20年5月には、日本成長投資アライアンス(J―GJA)と業務提携し、J-GIA1号投資事業有限責任組合に対して第7回新株予約権を発行した。

 20年10月には、DXプラットフォーム構築に向けて、Webガバナンス基準に則したCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)をクラウドサービスで提供するコネクティの持株会社であるCONNECTY HOLDING(CHD社)を子会社化した。今後は更なるM&Aの実施によってDXプラットフォームの拡大を目指す方針だ。

■21年3月期増収・EBITDA増益予想

 21年3月期の連結業績予想(第3四半期からCDH社を新規連結、9月30日に売上高とEBITDAを上方修正、営業利益以下を未定に修正、1月29日に売上高とEBITDAを上方修正、未定としていた営業利益以下を公表)は、売上高が20年3月期比25.9%増の23億60百万円、EBITDAが7.8%増の5億50百万円、営業利益が13.4%減の4億円、経常利益が12.8%減の4億10百万円、当期純利益が25.0%減の2億40百万円としている。配当予想は2円増配の25円(期末一括)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比19.7%増の16億39百万円、EBITDAが0.9%増の3億60百万円、営業利益が18.5%減の2億62百万円、経常利益が17.2%減の2億74百万円、四半期純利益が25.4%減の1億67百万円だった。第3四半期からCDH社を新規連結したことも寄与して大幅増収だった。EBITDAは人件費や仕入・外注費の増加で横ばいだったが、M&A費用調整後では5.1%増益だった。

 主力のアプリケーション事業(WEBCASシリーズ)は16.0%増収だった。クラウドサービスはアカウント数、顧客単価、解約率とも順調に推移し、月額固定売上高が17.8%増収と伸長した。ライセンスの大型案件納品も寄与した。新規問い合わせ数も前年比29.2%増加して過去最高となった。

 コンサルティング事業はCDH社の新規連結も寄与して37.7%増収だった。オーダーメイド開発事業は社内エンジニアリソースをアプリケーション事業に集中させたため52.3%減収だった。子会社が運営するEC事業は巣ごもり需要や新作入荷の再開などで29.2%増収だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高4億50百万円でEBITDA1億円、第2四半期は売上高4億70百万円でEBITDA95百万円、第3四半期は売上高7億19百万円でEBITDA1億65百万円だった。

 通期は、営業利益以下がストックオプションの償却費発生、WEBCASシリーズのメジャーバージョンアップに伴うソフトウェア資産の減価償却費の増加、CHD社のM&Aに伴うのれん償却費の発生で減益予想だが、クラウドサービスの好調などで増収・EBITDA増益予想としている。さらに22年3月期も収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は3月末と9月末の2単元以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年3月31日および9月30日時点の2単元(200株)以上保有株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて株主優待ポイントを進呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡感

 株価は上値を切り下げる形でやや軟調だったが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。3月25日の終値は1742円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円54銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS389円89銭で算出)は約4.5倍、時価総額は約77億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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