【特集】リスクを逆手に取って非鉄株(景気敏感株)へアプローチ

今週の当特集では、リスクを逆手に取って非鉄株へアプローチすることとした。非鉄株は、もちろん景気回復により需要が拡大し価格も急上昇する景気敏感株である。またEV(電気自動車)の普及に伴い銅の使用量が、ガソリン車に比べ4倍近くも増加する環境関連株的側面も持つ。このため非鉄大手は、軒並み業績を上方修正し、増配に踏み切るなど株主還元策を積極化した。これに加えて地政学リスクの高まりとともに、現在実施しているレアメタルの国家備蓄の資源安全保障政策の増強、「有事の銅買い」のプラス・アルファ(α)などがあるとすれば、株価の追撃材料になるかもしれず、これを先取りする投資スタンスである。(参考:どう見るこの相場

■15期ぶり最高純益更新の三井金属を筆頭に業績上方修正・再修正が続く

非鉄株のなかで好業績の代表といえば、三井金属<5706>(東1)だろう。今2021年3月期業績を期中に3回も上方修正、純利益は、15期ぶりに過去最高を更新し、配当も年間80円に2回増配した。しかも、前週23日の3回目の上方修正では、今期第4四半期の想定銅価格(ロンドン金属取引所)を1トン=7716ドルから8267ドルに引き上げたが、前週末26日現在の銅先物価格は、8918.5ドルと想定価格を上回って推移しており、上ぶれ着地の可能性も示唆している。株価は、1回目の業績上方修正で昨年来高値4165円まで48%高し、2回目の上方修正でも同高値に迫ったが、今回の3回目の上方修正で300円高し3930円までリバウンドした程度にとどまり、PERはまだ5倍台の評価にしか過ぎない。

同様に今期業績を2回上方修正した非鉄大手は、大平洋金属<5541>(東1)、東邦亜鉛<5707>(東1)、三菱マテリアル<5711>(東1)、住友金属鉱山<5713>(東1)と続き、日鉄鉱業<1515>(東1)とDOWAホールディングス<5714>(東1)も各1回業績を上方修正した。ほとんどが足元で昨年来高値水準にあるが、PER評価は、やや割高な三菱マテリアルを除き市場平均を下回るか市場平均並みである。「有事の銅買い」期待が、上値チャレンジに弾みをつけよう。

■周辺の小型株も低PER水準から上値チャレンジの余地

非鉄周辺の小型株にも、人気波及が見込まれる。今3月期業績を2回上方修正した金属商社のテクノアソシエ<8249>(東1)、同じく業績上方修正と増配を発表した白銅<7637>(東1)、リチウム関連の日本化学工業<4092>(東1)、マンガン関連(12月期決算)の新日本電工<5563>(東1)などはPER評価が市場平均を下回って割安である。また銅スクラップの黒谷<3168>(東1)は、今8月期純利益を前期比30.7%減と減益転換と見込んでいるが、銅の想定価格を1トン=6000ドルとしており、この動向次第で前期業績と同様の上ぶれも期待される。

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