【どう見るこの相場】「有事の銅買い」のプラスαなら非鉄株の景気敏感人気に加速効果

どう見るこの相場

日経平均株価は、3月24日まで4日続落して1811円も下げたが、その後の前週末24日、26日の2日間で771円高と反発、急落幅の4割超を取り戻し2万9000円台を回復した。米国のダウ工業株30種平均(NYダウ)に至っては、前週末26日に453ドル高と続急伸して7営業日ぶりに史上最高値を更新した。「終わり良ければすべて良し」で相場が正常化したのか、それともまだ気象格言の「春に三日の晴れなし」のような波乱相場の渦中にいるのか判断に迷うところである。

リスクが多過ぎるからである。新型コロナウイルス感染症の感染再拡大リスクから始まって、金利リスク、日米中央銀行によるテーパリング(金融緩和策の縮小)リスク、北朝鮮の弾道ミサイル発射の地政学リスク、さらに年度末相場を控えた株式需給リスクなど並べ上げたら切りがない。とくに米国市場と比べると、わが日本のコロナ・ワクチンの接種一つとっても、すでに1億回を超え2億回を目指している米国に比べ、周回遅れどころかまだスタート台に立ったばかりと大きく引き離され、1400ドルの現金給付を再交付した米国の追加経済対策もなく、政策メニューの格差が目立っており、果たして米国市場に追随して正解か心許ないばかりである。

そこで今週の当特集では、リスクを逆手に取って非鉄株へアプローチすることとした。非鉄株は、もちろん景気回復により需要が拡大し価格も急上昇する景気敏感株である。またEV(電気自動車)の普及に伴い銅の使用量が、ガソリン車に比べ4倍近くも増加する環境関連株的側面も持つ。このため非鉄大手は、軒並み業績を上方修正し、増配に踏み切るなど株主還元策を積極化した。これに加えて地政学リスクの高まりとともに、現在実施しているレアメタルの国家備蓄の資源安全保障政策の増強、「有事の銅買い」のプラス・アルファ(α)などがあるとすれば、株価の追撃材料になるかもしれず、これを先取りする投資スタンスである。

地政学リスクは、北朝鮮の弾道ミサイル発射ばかりではない。米国のバイデン大統領の外交政策が動き出して、今年3月18日に開催された米中の外交トップ会談は、異例の厳しい非難と猛反発の応酬となった。以来、米中の対立は、経済問題から政治体制や国家理念に移り、互いの同盟国を巻き込み「新冷戦」の長期戦の様相を帯びつつ、いつ偶発的な衝突が起こるかもしれないキナ臭さとなっている。

ここで参考になるのが、相場ジンクスの「遠い戦争は買い」である。「遠い戦争」といえば、遠い欧州が戦場となった第1次世界大戦がまず浮かぶ。日本がほぼ独占した軍需品供給の大戦特需で「船成金」、「鉱山成金」が叢生して「大正バブル」が発生し、もちろん株価は「買い」であった。「近い戦争」では、第2次世界大戦は、肝腎の日本の本土が焦土と化して壊滅的な打撃を受けたが、朝鮮戦争では、朝鮮特需を享受して「金ヘン景気」、「ガチャマン景気」、「三白景気」などが起こり、日本の戦後復興を大きくサポートした。これも「買い」であった。

今回の地政学リスクのプラスαで、「有事の銅買い」により銅先物価格が1万ドル台に乗せ2011年につけた史上最高値にトライするなどの強気観測が再燃するようなことがあれば、かつての「鉱山成金」の再現は夢のまた夢でも、非鉄各社の業績、株価を一段と押し上げる展開は想定範囲内となる。景気敏感株は、足元で銀行株、証券株、海運株のボラティリティが高まっているが、非鉄株もその一角で肩を並べて追随の動きを強めることになりそうだ。

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【特集】リスクを逆手に取って非鉄株(景気敏感株)へアプローチ

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