ネオジャパンは調整一巡、22年1月期小幅増益予想だが保守的

ネオジャパン<3921>(東1)は自社開発のグループウェアのクラウドサービスを主力としている。21年1月期は大幅増収増益だった。22年1月期は販管費の増加などで小幅増益予想としているが保守的だろう。上振れの可能性がありそうだ。DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れも追い風として収益拡大基調を期待したい。株価は水準を切り下げて軟調展開だったが調整一巡感を強めている。中期成長力を再評価して出直りを期待したい。

■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力

 ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発のグループウェア「desknet‘s NEO」のクラウドサービス(月額課金収入)を主力として、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。19年8月にはシステム開発のPro-Spireを子会社化した。

 海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立した。当面は投資が先行する見込みだ。

 21年1月期(連結調整前)の売上構成比は、グループウェアのソフトウェア事業が65%(クラウドサービスが39%、プロダクトが24%、技術開発が1%)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が35%、海外事業が0%、営業利益構成比はソフトウェア事業が84%、システム開発サービス事業が18%、海外事業が▲1%だった。

 なお3月4日には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度で、従業員の健康管理に取り組んでいる法人として「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に、2年連続で選定されたと発表している。また、横浜商工会議所が開設したデジタル化相談窓口に協力会社として参加した。デジタル化支援コンソーシアム協力事業者として、中小企業のDX推進をサポートする。

■グループウェアは多機能や使いやすさが強み

 グループウェア「desknet‘s NEO」は、ローカライゼーション(日本語、日本の商習慣やビジネス習慣など)に対応した27の基本機能を備え、多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。20年12月にはメジャーバージョンアップ版V6.0の提供を開始した。

 21年2月時点のクラウド版契約ユーザー数とパッケージ版販売累計ユーザー数の合計は440万ユーザーだった。業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用されている。中長期的には累計ユーザー数1000万ユーザーを目指すとしている。

 なお日経BPガバメントテクノロジー誌2020年秋号において、日経BPガバメントテクノロジー自治体ITシステム満足度調査2020-2021グループウェア/ビジネスチャット部門で3年連続1位を獲得した。

 21年1月にはアイティクラウドのIT製品比較・レビューサイト「ITreview Grid Awaed 2020 Fall」において、グループウェア「desknet‘s NEO」がグループウェア部門とワークフロー部門の2部門で8期連続アワードを受賞、ビジネスチャット「ChatLuck」が2期連続のアワードを受賞した。また21年1月には、日本テレワーク協会「第21回テレワーク推進賞(テレワーク促進部門)」において奨励賞を受賞した。

■シェア拡大と東南アジア市場開拓を推進

 中期成長戦略として、グループウェア「desknet‘s NEO」を核とするエンタープライズ向け製品の市場シェア拡大、シナジーが見込めるアライアンスへの戦略投資、マレーシアの合弁会社を拠点とするクラウドサービスの東南アジア市場開拓などを推進する。

 製品ラインアップ拡充では、カスタムメイド型業務アプリ作成ツール「AppSuite」や、新しいコミュニケーションツールとしてのビジネスチャット「ChatLuck」を提供している。21年1月にはグループウェア「desknet‘s NEO」との連携を強化したビジネスチャット「ChatLuck」バージョン4.0の提供を開始した。

■22年1月期小幅増益予想だが保守的、収益拡大基調

 21年1月期の連結業績は売上高が20年1月期比42.3%増の53億25百万円、営業利益が31.7%増の9億20百万円、経常利益が32.3%増の9億48百万円、当期純利益が36.8%増の6億77百万円だった。配当は3円50銭増配の11円(期末一括)とした。

 概ね計画水準(12月14日に利益を2回目の上方修正)の大幅増収増益で着地した。売上面はソフトウェア事業のクラウドサービスが利用者数増加で18.5%増収と伸長して牽引した。desknet‘s NEOクラウド版は21.1%増収、AppSuiteは66.0%増収だった。ソフトウェア事業のプロダクトは5.3%増収だった。クラウドサービスへの移行でスモールライセンス販売は減少傾向だが、サポートサービスが6.9%増収と順調だった。システム開発事業は子会社Pro―SPIREの通期連結、海外事業はマレーシアの子会社の第3四半期からの新規連結が寄与した。利益は主力のクラウドサービスの増収効果で大幅増益だった。

 22年1月期の連結業績予想は、売上高が21年1月期比7.4%増の57億17百万円、営業利益が3.0%増の9億48百万円、経常利益が3.3%増の9億80百万円、当期純利益が0.3%増の6億79百万円としている。配当予想は1円増配の12円(期末一括)である。

 売上面では、プロダクトのスモールライセンスの減少を見込むが、主力のクラウドサービス(15%程度の増収計画)が引き続き好調に推移して増収予想としている。利益面では、人件費や研究開発費の増加に加えて、海外子会社の活動本格化に伴う販管費の増加を見込んでいるため、全体として小幅増益予想としている。ただし保守的だろう。DXの流れも追い風として収益拡大基調を期待したい。

■株主優待は1月末と7月末の年2回

 株主優待は年2回、1月末と7月末の株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は調整一巡

 株価は水準を切り下げて軟調展開だったが調整一巡感を強めている。中期成長力を再評価して出直りを期待したい。3月26日の終値は1647円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円62銭で算出)は約36倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS296円83銭で算出)は約5.5倍、時価総額は約245億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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