ジェイテックはモミ合い上放れの動き、22年3月期収益回復期待

 ジェイテック<2479>(JQ)は技術者派遣の「技術商社」を標榜し、技術職知財リース事業を主力としている。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で営業赤字予想だが、人材採用・教育によって競争力を強化するとしている。22年3月期の収益回復を期待したい。株価は徐々に水準を切り上げてモミ合いから上放れの動きを強めている。出直りを期待したい。なお5月11日に21年3月期決算発表を予定している。

■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力

 製造業の開発・設計部門に技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力として、子会社のジェイテックアドバンストテクノロジは一般派遣およびエンジニア派遣事業を展開している。

 専門教育による知識を基盤として、新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的なエンジニアと区別している。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。

 機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、建築設計の4分野を柱として、業種別にも幅広く展開していることが特徴だ。20年3月期の業種別売上構成比は、自動車関連が約19%、産業用機器関連が約21%、電子・電気機器関連が約10%、情報処理関連が約14%、建築関連が約20%だった。

 また優良企業との取引が中心で、20年3月期の売上上位顧客企業10社は、LIXIL、本田技術研究所、ヤマハ発動機、デンソーテン、リコージャパン、ヤマハ、三菱電機メカトロニクス、オムロン、アイシン・ソフトウェア、三菱日立パワーシステムズ、SUBARUとなっている。

■テクノロジスト700名体制の早期達成目指す

 中期経営計画では業績目標値を、23年3月期売上高39億円、営業利益1億70百万円、経常利益1億61百万円、当期純利益95百万円とした。

 新型コロナウイルスの影響が21年以降も継続することを想定したうえで、with/afterコロナ時代の顧客ニーズに対応すべく、テクノロジスト700名体制(現在400名)の早期達成に向けた人材採用・教育を強化し、強固な収益基盤を構築する。さらに新規事業への積極投資によって、事業多角化および新たな収益源獲得を推進する方針だ。

 なお株主還元については、安定的かつ継続的な配当を基本として、配当性向20%の実現を目指すとしている。

■21年3月期は新型コロナ影響、22年3月期収益回復期待

 21年3月期の連結業績予想(5月28日に未定に修正、1月29日に公表)は、売上高が20年3月期比9.6%減の27億42百万円、営業利益が1億02百万円の赤字(20年3月期は1億41百万円の黒字)、経常利益が85.0%減の21百万円、当期純利益が98.9%減の1百万円としている。配当予想は20年3月期と同額の1円(期末一括)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比8.6%減の20億61百万円、営業利益が44百万円の赤字(前年同期は87百万円の黒字)、経常利益が46.1%減の46百万円、四半期純利益が87.1%減の6百万円だった。新型コロナウイルスの影響で減収・営業赤字だった。

 技術職知財リース事業は6.7%減収で29.1%減益だった。契約単価引き上げを促進したが、新型コロナウイルス感染拡大に伴って顧客企業からの休業要請、在宅勤務、残業抑制などが継続し、新卒テクノロジストの配属遅れ、稼働予定の受託開始時期の遅れなども影響してテクノロジストの稼働日数・時間が減少した。一般派遣およびエンジニア派遣事業は51.4%減収で赤字化した。住宅展示場などにおける着ぐるみスタッフやプラカード案内の需要が大幅に減少した。なお営業外収益に助成金収入87百万円、受取補償金4百万円を計上して、経常利益と純利益は黒字だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高6億80百万円で営業利益21百万円の赤字、第2四半期は売上高6億87百万円で営業利益18百万円の赤字、第3四半期は売上高6億94百万円で営業利益5百万円の赤字だった。営業赤字は徐々に縮小している。

 当面は新型コロナウイルスの影響で規模しい状況だが、22年3月期の収益回復を期待したい。また中期成長も期待したい。

■株価はモミ合い上放れの動き

 株価は反発力の鈍い展開だが、徐々に水準を切り上げてモミ合いから上放れの動きを強めている。出直りを期待したい。3月31日の終値は180円、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS110円50銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約15億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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