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マルマエは高値更新の展開、21年8月期通期は上方修正して2桁営業・経常増益予想
- 2021/4/6 08:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東1)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工を展開している。21年8月期第2四半期累計は半導体分野の受注好調が牽引して大幅増収増益だった。通期予想は上方修正して、従来の営業・経常減益予想から一転して2桁営業・経常増益予想とした。受注好調を勘案すれば通期予想に再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は好業績を評価して年初来高値更新の展開だ。18年1月の上場来高値を目指す展開を期待したい。
■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工およびEBWを展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工、および電子ビーム溶接(EBW)を展開している。
作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。
■22年8月期営業利益20億円目標
中期事業計画の数値目標は22年8月期売上高70億円、営業利益20億円、資産ベースROIC18%、負債ベースROIC14%、配当性向30%以上、年間最低配当額10円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。設備投資の計画(CFベース)は増産投資および自社使用目的の太陽光発電投資を中心に、20年8月期3.4億円、21年8月期9.1億円、22年8月期10億円としている。
売上拡大戦略として半導体分野では、市場成長も背景として既存顧客からの受注品種拡大、デバイスメーカーの稼働向上による消耗品の拡大を見込み、新規顧客獲得も推進する。既存顧客の売上に関しては20年8月期から22年8月期で約26%成長を目指す。新規顧客の売上に関しては2社からの受注を獲得(1社目は20年8月期量産開始、2社目は試作品提供開始)しており、20年8月期の1.2億円から22年8月期には12億円(1社目8億円、2社目4億円)を目標とする。
FPD分野の売上は20年8月期の10.6億円から、22年8月期に16億円を目指す。市場環境として21年8月期は市場縮小、22年8月期に高精細化投資で再拡大を想定し、EBWを活用した新規顧客獲得や、同業他社の撤退などによる市場シェア拡大を見込んでいる。
その他分野ではEBWに続く新技術習得による新分野開拓、リハビリ機器の研究開発などを推進する。
また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。再生可能エネルギー活用によるCO2削減を推進するため、30年8月期に年間使用量50%以上を太陽光で自社発電する計画(30年8月期までに合計424百万円を設備投資)としている。また職場環境向上の取り組みではワークライフバランスを整え、女性が継続して働ける職場づくりを目指す方針だ。
■21年2月の受注残高は前年同月比34.0%増、17ヶ月連続プラス
なお月次の受注残高(速報値)を見ると、21年2月は半導体分野が6億97百万円(前月比0.1%増、前年同月比36.4%増)、FPD分野が3億24百万円(前月比43.8%増、前年同月比14.3%増)、その他分野が55百万円、合計が10億77百万円(前月比6.6%増、前年同月比34.0%増)となった。合計ベースの前年同月比は17ヶ月連続プラスとなった。19年2月の合計6億20百万円をボトムとして回復基調である。また生産能力向上で出荷・検収が従来よりも増加していることを考慮すれば、実質的に18年のピーク水準(18年3月~18年6月が11億円超)まで回復している。
今後の動向として、半導体分野は市場が過去最高水準にあり、シェア拡大も寄与して好調に推移する見込みとしている。FPD分野は市場環境が回復傾向であり、シェア拡大も進展しているようだ。
■21年8月期2Q累計大幅増益、通期上方修正して2桁営業・経常増益予想
21年8月期の業績(非連結)予想は3月30日に上方修正して、売上高が20年8月期比13.5%増の49億80百万円、営業利益が13.8%増の10億20百万円、経常利益が19.9%増の10億円、当期純利益が2.1%増の7億05百万円としている。配当予想も期末2円上方修正して、20年8月期比5円増配の22円(第2四半期末10円、期末12円)とした。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比13.9%増の22億99百万円、営業利益が16.2%増の4億24百万円、経常利益が23.7%増の4億22百万円、四半期純利益が23.9%増の2億94百万円だった。2桁増収増益だった。半導体分野の受注好調が牽引し、材料費や外注費の少ない受注が増加したことも寄与した。
半導体分野は受注高が29.6%増で売上高が32.2%増、FPD分野は受注高が18.3%減で売上高が48.9%減、その他分野は受注高が9.9倍で売上高が8.6倍だった。FPD分野は大幅減少だが、想定よりも回復の動きが見られるとしている。その他分野ではスマホ筐体向けと太陽電池製造装置向けの受注があった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が11億円で営業利益が2億円、第2四半期は売上高が11億99百万円で営業利益が2億24百万円だった。
通期は従来の営業・経常減益予想から一転して2桁営業・経常増益予想とした。受注・売上面では、半導体分野が引き続き好調に推移し、FPD分野も回復の動きを強めている。利益面は、従来予想では中計目標達成に向けて体制構築を推進するため労務費や減価償却費の増加で減益を見込んでいたが、売上高が想定を上回ることに加えて、採算性の低い受注の減少で材料費が想定を下回ることも寄与する見込みだ。
修正後の売上高の計画は、半導体分野が23.3%増の39億49百万円、FPD分野が29.2%減の7億56百万円としている。半導体分野はロジックファウンダリに加えて、メモリ各社も投資拡大に動き、21年の市場は過去最高見込みとしている。FPD分野は市場全体として停滞しているが、スマホ向けOLEDに明るさが見え始め、シェア拡大やEBWも寄与する見込みとしている。受注好調を勘案すれば通期予想に再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象
株主優待制度は、毎年8月末日現在6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は高値更新の展開
株価は好業績を評価して年初来高値更新の展開だ。18年1月の上場来高値を目指す展開を期待したい。4月5日の終値は1580円、今期予想PER(会社予想のEPS55円07銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約1.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS445円69銭で算出)は約3.5倍、時価総額は約206億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)