【忠田公夫の経済&マーケット展望】米国の利上接近は04年時と類似、ダウは金利高に先行ピークへ

忠田公夫の経済&マーケット展望

5日に発表された5月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比28万人増と堅調な伸びを示し、内需の底堅さを裏付けた。このため、外為市場では「FRBが早ければ9月にも利上げに踏み切るのでは」との見方から、円相場は一時125円86銭までドル高円安が加速する場面もあった。

今回の米金融緩和は住宅バブルの崩壊に起因する経済危機に対応した措置
だったが、状況としては2000年のITバブル崩壊に端を発した不況打開策としての金融緩和局面に類似している。そこで、今後の市場動向を予測する上で、当時の金利や株式、為替の足取りをチェックしておきたい。

足元の経済の好転に伴い、FRBが9月に利上げに踏み切ると仮定した場合、米国金利、NYダウ、ドル円、日経平均は今後どのような展開を見せるのだろうか。当時は出口として04年6月に最初の利上げを実施している。

まず金利動向だが、10年国債で検証すると、04年6月までに2番底を入れ、06年6月に向け金利は上昇トレンドを描いた。今回は4月3日の1.83%を2番底として先週末には一時2.43%に上昇。想定外の悪材料が出ない限り、金利は上向きと見るべきだろう。

となると、気になるのはNYダウの動向だ。当時は04年6月の利上げに4か月先行し、2月に一旦高値をつけ調整に移行した。今回、仮に9月利上げなら、4か月前の5月19日につけた1万8312ドル(終値)が当面の高値だった可能性が浮上してくる。

ドル円については、最初の利上げに踏み切った04年6月にかけて、当時は3月の103円38銭から利上げ1か月前の5月の114円90銭まで11円余りの円安に振れた後、利上げ実施の6月に107円割れまで急反落した。利上げを先取りした後、利上げ実施前に円高となる点に留意したい。

最後に日経平均だが、当時はNYダウの2月高値に対し、利上げ先取りの円安を背景に、2月の1万300円割れの水準から4月26日には1万2195円まで1900円近い大幅上昇の後、折からの米国株安に連動し、5月17日には1万489円まで急落した。

今後の相場を読むうえで是非参考にしてほしい。(アナリスト忠田公夫)

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