【編集長の視点】北興化学は大幅続落も1Q業績悪を売り過ぎで突っ込み買いも一考余地

 北興化学工業<4992>(東1)は、前日13日に14円安の1068円と5営業日続落して引け、3月5日につけた年初来安値959円を覗いた。同社株は、今年4月8日に発表した今2021年11月期第1四半期(2020年12月~2021年2月期、1Q)業績が、大幅続落して着地したことから大きく急落したが、11月期通期業績は期初予想を据え置いて増益転換を見込み、年間配当も増配を予定しており、ここからの下値は下げた株ほど良く戻るとする「リターン・リバーサル」の突っ込み買いも一考余地がありそうだ。テクニカル的にも、25日移動平均線から7%超の下方かい離と下げ過ぎを示唆しており、また今年5月には、北海道工場内に除草粒剤の新工場建設に着工することも、見直されそうだ。

■11月通期業績は期初予想通り増収益転換し新工場も建設

 同社の今期1Q業績は、売り上げ115億6900万円(前年同期比10.1%減)、営業利益10億8100万円(同19.3%減)、経常利益12億3600万円(同31.2%減)、純利益8億5800万円(同33.9%減)と連続の2ケタ減益で着地した。農薬事業では、水稲用育苗箱剤の受注減や製造受託の海外からの原材料の入荷遅れが響き、ファインケミカル事業では、電子材料や医農薬分野は前期並みを維持したが、樹脂分野の需要が減少したことなどが要因となった。

 ただ四半期ベースの経常利益は、前2020年11月期第4四半期(2020年9月~11月期)の3億4700万円の赤字が、今期1Qは12億3600万円の黒字に転換し、今期1Qの通期予想業績への利益進捗率も34%~40%に達したことから11月期通期業績は、期初予想を据え置いた。11月期通期業績は、売り上げ410億円(前期比3.4%増)、営業利益26億5000万円(同15.9%増)、経常利益33億5000万円(同2.8%増)、純利益25億円(同4.2%増)と増収増益転換を見込み、配当も、年間19円(前期実績18円)へ連続増配を予定している。なお同社は、2025年度の売り上げ465億円、経常利益44億円を目標にする新経営計画を推進中で、製品の高付加価値化を進める一環として約32億円を投資して除草粒剤工場を建設、2022年8月竣工、2022年11月生産開始を計画している。

■1株純資産を通過点にPER11倍の修正でリバウンド幅を拡大

 株価は、前期の四半期決算のたびに減益着地は織り込み済みとして逆行高し、今年1月の今期業績の増収増益転換予想では1332円高値をつけ、直後の959円の調整安値からは新工場建設を歓迎した昨年来高値1358円までリバウンド、今期1Qの悪業績発表では急落、このリバウンド幅がほぼ往って来いとなった。25日移動平均線から7.3%のマイナスかい離となり、PERは11倍台、PBRは0.95倍と売られ過ぎを示唆している。1株純資産1121円を通過点に昨年来高値を目指しリバウンド幅を拡大させよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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