クレスコは上値試す、22年3月期収益拡大期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、組込型ソフトウェア開発も展開している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響を受けるが、前年並みの業績確保を目指すとしている。利益が回復傾向であり、通期予想は上振れ余地がありそうだ。さらに22年3月期の収益拡大を期待したい。株価は年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお5月10日に21年3月期決算発表を予定している。

■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開

 ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。

 20年3月期セグメント別売上高構成比はソフトウェア開発事業82%(金融・保険分野27%、公共・サービス分野25%、流通・その他分野30%)、組込型ソフトウェア開発事業18%(通信システム分野1%、カーエレクトロニクス分野8%、情報家電等・その他分野9%)、その他事業(商品・製品販売等)0%だった。営業利益構成比(連結調整前)はソフトウェア開発事業72%、組込型ソフトウェア開発事業28%、その他0%だった。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。配当方針は、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。

■質的・量的成長目指す

 中期成長に向けた5ヶ年経営ビジョン(16年4月~)では、経営方針としてCRESCO Ambition 2020に沿った経営、サービス品質強化による質的成長、リソース・技術戦略強化による量的成長、M&Aによる成長スピード拡大を掲げている。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 19年10月クレスコベトナムがオフショア開発拠点として稼働、19年11月アマゾンのAWSパートナー制度でAWS Well―Architectedパートナープログラム認定取得、20年2月北海道大学公認AIベンチャーの調和技研と資本業務提携、20年4月システムインテグレーターのエニシアスを子会社化した。

 20年9月には社内デジタル変革(DX)を加速させるため「ニューノーマルな働き方」に舵を切ると発表した。テレワーク体制を強化して社員の生産性向上を目指すとともに、本社や開発センターのオフィススペースの最適化、在宅勤務手当新設や通勤手当見直しなどにより、コスト削減も推進する。

 20年12月には、子会社クリエイティブジャパンが電気通信大学と共同開発したCLIP新型コロナ感染症予防支援システムの提供を開始した。20年1月には、平井デジタル改革担当大臣から発表された「デジタルの日」(21年10月10日と11日に実施予定)の趣旨に賛同し、参加の意思表明を行った。

 なお21年3月には、経済産業省の健康経営優良法人認定制度に基づく「健康経営優良法人2021」に選定された。

■21年3月期は上振れ余地、22年3月期収益拡大期待

 21年3月期連結業績予想は、売上高が20年3月期比1.7%増の400億円、営業利益が4.4%減の34億円、経常利益が3.0%減の36億円、親会社株主帰属当期純利益が1.2%増の24億50百万円としている。配当予想(3月15日に期末2円上方修正)は、20年2月1日付株式2分割換算後で20年3月期比2円増配の38円(第2四半期末18円、期末20円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比0.2%増の290億18百万円、営業利益が10.0%減の23億88百万円、経常利益が0.6%減の31億23百万円、四半期純利益が9.5%増の21億93百万円だった。

 新型コロナウイルスによる対面営業の制限、顧客におけるIT投資計画見直しなどで受注が減少した。売上面では第3四半期に持ち直し、新規連結も寄与したが、累計ベースで前年比横ばいにとどまった。営業利益は不採算案件も影響して減益だった。経常利益はデリバティブ評価益計上などで微減益、四半期純利益は投資有価証券売却益計上で増益だった。

 ソフトウェア開発事業は、1.5%増収(金融が16.4%増収、公共サービスが18.1%減収、流通・その他が4.6%増収)で6.0%減益だった。売上面は、コロナ禍の影響が大きい公共サービス(旅行・空輸関連)の受注が落ち込んだが、金融や流通・その他(新規連結含む)でカバーして増収だった。利益は子会社における不採算案件が影響した。

 組込型ソフトウェア開発事業は全体として回復傾向だが、累計ベースでは上期の落ち込みをカバーできず、5.6%減収(通信システムが7.3%増収、カーエレクトロニクスが1.5%減収、情報家電・その他が11.0%減収)で17.2%減益だった。利益は受注単価低下も影響した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高94億04百万円で営業利益4億26百万円、第2四半期は売上高97億99百万円で営業利益9億40百万円、第3四半期は売上高98億15百万円で営業利益10億22百万円だった。生産性向上などの効果で利益回復傾向だ。

 通期は前年並みの業績確保を目指すとしている。新型コロナウイルスによる主要顧客(特に旅行、空輸、不動産、自動車関連)側の事業環境悪化で、受注回復が想定よりも緩やかにとどまっているが、生産性向上・コスト削減・不採算案件極小化に注力する。第3四半期累計の進捗率は売上高が72.5%、営業利益が70.2%、経常利益が86.8%、純利益が89.5%だった。利益が回復傾向であり、通期予想は上振れ余地がありそうだ。さらに22年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は上げ一服の形だが、年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。4月13日の終値は1633円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS116円55銭で算出)は約14倍、前期推定配当利回り(会社予想の38円で算出)は約2.3%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS770円72銭で算出)は約2.1倍、時価総額は約376億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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