三洋貿易は調整一巡、21年9月期減益予想だが上振れの可能性

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 三洋貿易<3176>(東1)は自動車向けゴム・化学関連商品やシート部品などを主力とする専門商社である。注力分野としてバイオマス・地熱・海洋などの再生エネルギー関連への取り組みも強化している。21年9月期は事業環境の不透明感などを考慮して減益予想としているが、自動車関連の需要が回復基調であり、通期予想は上振れの可能性が高いだろう。株価は上げ一服の形となったが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。

■自動車向けゴム・化学関連製品やシート部品が主力の専門商社

 ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に展開し、自動車向けゴム・化学関連商品やシート部品を主力とする専門商社である。メーカー並みの技術サポート力が特徴だ。海外は米国、メキシコ、中国、タイ、ベトナム、インド、インドネシア、シンガポール、ドイツに展開している。

 自動車関連は合成ゴム・添加剤、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品(レザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサー)といった高付加価値品を中心に展開している。シートヒーター(Gentherm社製)はカーボンファイバー仕様市場を独占し、ランバーサポート(L&P Group社製)は世界市場6割を占有している。

 20年9月期のセグメント別(連結調整前)営業利益構成比は化成品が24%、機械資材が60%、海外現地法人が15%、その他が1%だった。収益面では設備投資関連商材を含むため、3月期決算企業の期末にあたる第2四半期の構成比が高い特性がある。

 M&Aも活用して業容拡大・グローバル戦略を推進している。19年5月ゴムライニング製ポンプで世界首位の新東洋機械工業を子会社化、19年10月畜産機能性原料の輸入専門商社ワイピーテックを子会社化、19年11月英国OXIS社と業務提携、20年3月食品添加物を中心とする化学品輸入販売商社のNKSコーポレーションを子会社化した。

 20年10月には、連結子会社のアズロと非連結子会社のNKSコーポレーションを合併(新社名は三洋ライフマテリアル)した。20年11月には、健康食品原料や化粧品原料を中心とする化学品輸出専門商社のグローバル・トレーディングを子会社化した。20年12月には非連結子会社の三洋テクノスが、研究機器向け試験片および部品製造のテストマテリアルズを子会社化した。21年4月には完全子会社のグローバル・トレーディングを吸収合併した。

 なお4月9日には、グループの事業の選択・集中の観点から、産業用合成ゴム材料を製造している非連結子会社の三洋東和(上海)の全持分85.9%の譲渡が完了したと発表している。

■長期経営計画の経営スローガン「最適解への挑戦」

 長期経営計画「VISION2023」では、目標値を23年9月期経常利益75億円、ROE15%、海外拠点成長率(売上高、年率)10%としている。

 経営スローガンに「最適解への挑戦」を掲げ、基本戦略として企業体質の強化で最適解への挑戦、企業基盤の強化、人材への投資、収益基盤の強化で事業領域の深化、新規ビジネスの開拓、グローバル展開の加速、新規投資案件の推進に取り組む。

 注力市場はモビリティ(あらゆるモビリティ)、ファインケミカル(ゴム、塗料、インキ、コーティング)、サスティナビリティ(バイオマス・地熱・海洋などの再生エネルギー、畜産飼料)、ライフサイエンス(在宅医療、化粧品、食品、科学機器、電材など)としている。今後の成長ドライバーとしては木質バイオマス関連、自動車関連、および海外への展開を加速する方針だ。

 木質バイオマス関連は、実績豊富な木質ペレット製造装置(CPM社製)やガス化熱電併給装置(ブルクハルト社製)のプロジェクト受注を積み上げて、将来的には部品更新やメンテナンスを中心とするストック型収益の構築を目指す。18年8月には大日本コンサルタント<9797>と合弁で、静岡県・湯船原地区の木質バイオマス発電所を管理運営する合同会社ふじおやまパワーエナジーを設立した。

 自動車関連はEV化や自動運転化に対応し、モビリティ分野での移動環境の快適化・高付加価値化の流れを踏まえた商品開発を推進する。また海外はアセアン+インド、中国、北中米の3拠点を主軸としてグローバル展開を加速する。

 なお事業部の垣根を越え、規模が大きく有望なビジネスを優先的に開発する社長直轄の事業開発室を創設し、20年9月期時点で新規プロジェクト44件を選定している。

■21年9月期減益予想だが上振れの可能性

 21年9月期連結業績予想は売上高が20年9月期比7.8%増の820億円、営業利益が16.5%減の40億円、経常利益が20.3%減の42億円、親会社株主帰属当期純利益が10.4%減の27億円としている。配当予想は20年9月期と同額の37円50銭(第2四半期末18円50銭、期末19円)である。

 第1四半期は、売上高が前年同期比2.0%増の216億09百万円、営業利益が9.3%増の17億21百万円、経常利益が3.1%増の18億36百万円、四半期純利益が10.1%増の12億26百万円だった。売上が堅調に推移し、利益面では販管費の抑制も寄与した。

 化成品は8.1%減収で12.5%営業増益だった。ゴム関連商品の需要回復が鈍いが、主力の塗料・インキ関連が好調に推移し、新たに発足した三洋ライフマテリアルも寄与した。機械資材は1.0%増収で8.7%営業増益だった。機械・環境関連商品の大型案件がなかったが、産業資材関連商品が日系自動車メーカーの製造挽回に伴って堅調だった。海外現地法人は20.8%増収で35.8%営業増益だった。中国(上海)の自動車部品が自動車市場の急回復で大幅伸長した。米国は高吸水性樹脂や自動車部品、タイは化学品や自動車部品が好調だった。なお非連結だったインドネシアの子会社を新規連結した。

 通期は化学品での子会社再編によるライフサイエンス強化やM&Aの効果、機械・環境での木質バイオマス関連の大型案件、中国市場での需要回復、米国での吸水性樹脂の拡販などで増収だが、新型コロナウイルスによる世界経済収縮や自動車関連の国内外での原価低減圧力など、事業環境の不透明感や販管費の増加などを考慮して減益予想としている。

 ただし第1四半期の進捗率は売上高が26.4%、営業利益が43.0%、経常利益が43.7%、当期純利益が45.4%と順調だった。自動車関連の需要が回復基調であり、通期予想は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上げ一服の形となったが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。4月13日の終値は1150円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS94円27銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の37円50銭で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1069円41銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約334億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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