トシン・グループは調整一巡、22年5月期収益拡大期待

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 トシン・グループ<2761>(JQ)は住宅に関する総合提案企業として、首都圏を中心に電設資材や住宅設備機器の卸売事業を展開している。21年5月期第3四半期累計は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を受けて減収減益だった。通期減益予想は据え置いた。需要が緩やかに回復傾向であり、22年5月期の収益拡大を期待したい。株価は上値の重い展開だが一方では徐々に下値を切り上げている。21年5月期減益予想を織り込み済みだろう。調整一巡して出直りを期待したい。

■首都圏中心に電設資材や住宅設備機器の卸売事業を展開

 06年11月持株会社体制に移行した。住宅に関する総合提案企業として、子会社のトシン電機、丸菱電機、ライト電機、あかり・ライフインテリアが、首都圏を中心に、電設資材や住宅設備機器(電線・配管機材、住宅内・外装建材、照明器具、エアコン、太陽光発電システム、TVドアホン、火災報知器など)の卸売事業を展開している。

 仕入先は大手電機メーカーを中心に幅広く、販売先は工務店などである。営業拠点としては東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木にグループ合計110拠点を展開している。小口多数販売、専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。

 住環境に対するニーズが多様化する中で、事業基盤強化や収益拡大に向けて、取扱商品や営業拠点網の拡充を推進している。

 株主還元については、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保する一方で、財務状況、利益水準、配当性向などを総合的に勘案して、前年実績を下回らない安定した配当を実施することを基本方針としている。

■21年5月期3Q累計は新型コロナ影響で減収減益、通期予想据え置き

 21年5月期(20日締め)連結業績予想については、売上高が20年5月期比横ばいの428億60百万円、営業利益が9.8%減の17億30百万円、経常利益が9.0%減の25億97百万円、親会社株主帰属当期純利益が11.7%減の16億80百万円としている。配当予想は20年5月期と同額の56円(第2四半期末28円、期末28円)である。

 第3四半期累計(20年5月21日~21年2月20日)は、売上高が前年同期比8.8%減の297億12百万円、営業利益が31.4%減の11億19百万円、経常利益が31.3%減の15億89百万円、四半期純利益が38.5%減の9億87百万円だった。

 新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を受けて減収減益だった。工事の中断や延期などは解消されてきたが、新設住宅着工戸数の減少、リニューアル需要の低迷などで厳しい状況だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高93億79百万円、営業利益2億42百万円、経常利益3億86百万円、第2四半期は売上高106億58百万円、営業利益4億88百万円、経常利益6億86百万円、第3四半期は売上高96億75百万円、営業利益3億89百万円、経常利益5億17百万円だった。

 通期予想は据え置いた。基本戦略である小口多数販売を積極展開するが、新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を考慮して減益予想としている。住宅関連需要については新築・リフォームとも減少を見込み、利益面では費用の増加も影響する見込みとしている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が69.3%、営業利益が64.7%、経常利益が61.2%である。進捗率はやや低水準の形だが、建設関連で年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる傾向があることを考慮すれば、通期予想の達成は可能だろう。また需要が緩やかに回復傾向であり、22年5月期の収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 なお20年9月4日発表の自己株式取得(上限20万株・13億円、取得期間20年9月7日~21年7月31日)については、3月31日に経営環境の変化等を勘案して中止すると発表している。21年3月30日時点の累計取得株式数は1600株だった。

 株価は上値の重い展開だが一方では徐々に下値を切り上げている。21年5月期減益予想を織り込み済みだろう。調整一巡して出直りを期待したい。4月14日の終値は6150円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS211円22銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の56円で算出)は約0.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4537円33銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約701億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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