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クリナップは21年3月期業績予想を大幅上方修正
- 2021/4/19 07:51
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クリナップ<7955>(東1)はシステムキッチンの大手で、システムバスルームも展開している。中期ビジョンに「暮らし価値創造企業Cleanupへの変革」を掲げ高収益化を推進している。4月16日に21年3月期連結業績予想の大幅上方修正を発表し、従来の減益予想から一転して増益予想とした。さらに22年3月期も収益拡大を期待したい。株価は戻り一服の形だが、上方修正を好感して上値を試す動きを期待したい。
■システムキッチン大手でシステムバスルームも展開
システムキッチンの大手で、厨房部門(システムキッチン)および浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)を展開している。
中高級品に強みを持ち、厨房部門はステンレスキャビネットキッチンのセントロ、ステディア、システムキッチンのラクエラ、コンパクトキッチンのコルティ、浴槽・洗面部門はバスルームのアクリアバス、ユアシス、洗面化粧台のティアリスなどを主力製品としている。
20年3月期の部門別売上構成比は厨房部門が78%、浴槽・洗面部門が15%、その他が7%だった。全国のショールーム数は102ヶ所で、来場組数は395千組だった。中高級品市場での競争力強化に向けて、20年6月にKITCHEN TOWN YOKOHAMA(横浜市みなとみらい)をオープンし、旗艦ショールーム全国4拠点(東京、横浜、名古屋、大阪)体制とした。20年10月にはホームページ上に「オンラインショールーム」をオープンした。
販売ルートは工務店の会員登録制組織「水まわり工房」加盟店を主力としている。20年3月期の販売ルート別売上構成比(単体)は、一般ルート(工務店・リフォーム)が80.7%、ハウスメーカーが14.6%、直需(マンション)が4.7%だった。収益面では新設住宅着工件数やリフォーム需要の影響を受けやすい。
■中期ビジョンは「暮らし価値創造企業Cleanupへの変革」
中期経営計画(18年~20年)では、ビジョンに「暮らし価値創造企業Cleanupへの変革」を掲げ、収益拡大・高収益化を目指している。
重点施策としては、中高級市場での競争力強化、高級・超高級市場への本格参入に向けた商品ラインナップの変革、シェア回復に向けたフラッグシップモデルの刷新、ショールームにおける価値提供の強化、アジア諸国向けステンレスキャビネットの本格展開、新たな販売チャネルとしてのECビジネス立ち上げなどを推進している。
また業務提携を活用し、新規事業として富裕層向け海外キッチン事業、他業種とコラボしたダイニング事業を展開する。
■21年3月期予想を上方修正
21年3月期の連結業績予想は4月16日に上方修正して、売上高が20年3月期比3.7%減の1035億円、営業利益が微増の25億円、経常利益が2.2%増の26億円、親会社株主帰属当期純利益が11.3%増の16億30百万円とした。配当予想は20年3月期と同額の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。
従来予想(8月6日公表)に対して、売上高を5億円、営業利益を18億円、経常利益を18億円、親会社株主帰属当期純利益を12億30百万円、それぞれ上方修正した。新型コロナウイルスの影響が想定よりも軽微だったことに加えて、全社的な経費抑制や原価低減が寄与した。
なお第3四半期累計は売上高が前年同期比6.9%減の768億08百万円、営業利益が26.4%減の23億09百万円、経常利益が24.8%減の24億12百万円、四半期純利益が28.1%減の15億02百万円だった。
累計ベースで厨房部門は6.5%減収、浴槽・洗面部門は9.4%減収だった。新型コロナウイルスの影響を受けた。ただし巣ごもり消費や新しい生活様式の普及などでリフォーム市場が回復の兆しを見せ始め、原価低減効果も寄与して各利益は回復傾向を強めた。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高220億27百万円で営業利益5億07百万円の赤字、第2四半期は売上高256億45百万円で営業利益5億92百万円の黒字、第3四半期は売上高291億36百万円で営業利益22億24百万円の黒字だった。第3四半期は前年第3四半期(売上高276億94百万円で営業利益9億14百万円)との比較で増収・大幅増益だった。
21年3月期は大幅上方修正して従来の減益予想から一転して増益予想となった。さらに22年3月期も収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は戻り一服の形だが調整一巡感を強めている。上方修正を好感して上値を試す動きを期待したい。4月16日の終値は529円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS44円18銭で算出)は約12倍、前期推定配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.8%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1379円67銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約198億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)