アールテック・ウエノはバルセロナ自治大学及びバルデブロン研究所と共同研究を実施

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■RTU‐009の脳梗塞治療薬としての可能性を検証

 アールテック・ウエノ<4573>(JQS)は、現在開発中の新規VAP-1阻害剤(開発コード RTU‐009)に関して、脳梗塞治療薬として開発を進めるためスペイン カタルーニャ州のバルセロナ自治大学及びバルデブロン研究所と共同研究を実施することを発表した。

 RTU‐009は抗炎症作用や神経保護作用を有する新規VAP-1阻害剤。これまでに同社は、脳梗塞モデルを用いた動物試験で、脳保護剤であるエダラボン(ラジカット(R))と同様の神経保護作用とt-PA治療との併用による脳障害の改善作用を確認しており、第1相試験実施に向けて非臨床試験を進めている。なお、同社では現在RTU‐1096という経口のVAP-1阻害剤も開発しているが、RTU‐009は脳梗塞急性期の治療に適した注射剤として開発を進めている新規のVAP-1阻害剤である。

 今後の第1相試験及びPOC (Proof of Concept、概念実証) 試験(前期第2相試験)に向けて、世界の第一線で活動しているバルセロナ自治大学 脳研究所のUnzeta教授及び同大バルデブロン病院バルデブロン研究所 脳血管研究所長のMontaner博士(医師)らのグループとRTU‐009の脳梗塞治療薬としての可能性を検証するために、脳梗塞動物モデルを用いた共同研究を開始した。

 今後同社は、RTU‐009の開発において脳梗塞急性期のt-PA治療との併用を最優先ターゲットとして早期臨床試験を含めアカデミアと連携して進めて行く。

 「脳卒中の患者数は2020年頃には300万人に達するとされ、一旦発症すると後遺症を残す可能性が高い疾患です。健康寿命を延ばすことを厚生労働省は政策として推進しており、医療経済面からも後遺症を持つ患者の増加を抑制する戦略を進める必要があります。

 急性期の脳梗塞に対してt-PAによる血栓溶解治療が第一選択ですが、脳内出血のリスクから発症後4.5時間以内の患者にしか使用できません。脳内出血のリスクを軽減し、かつ治療対象を広げる新たな治療法を開発することはきわめて重要です。t-PA治療により自立して生活できるまで回復する患者は40-50%と報告されています。更なる治療の改善率向上や4.5時間以内という適応時間の拡大が臨床現場から強く望まれていますので、t-PA治療にRTU‐009を併用することによりその目的を達成できる可能性があると考えています。また最近、発症から6時間以内に治療可能な患者に血管内治療(機械的血栓回収療法)により血栓を除去することで、従来治療より成績が上回ることが報告されており、血管内治療に抗炎症作用を持つRTU‐009を併用する新たな治療についても検討していきたいと考えています。

 Unzeta教授はVAP-1研究の第一人者で、脳梗塞及びアルツハイマー型認知症をVAP-1の分子機構という視点から研究テーマとしています。

 Montaner博士(医師)はスペインにおける脳卒中臨床試験の中心的な役割を果たしており、Unzeta教授とともにVAP-1阻害剤を用いた急性期脳梗塞治療に関する基礎的な共同研究を行っています。今回、Unzeta教授とMontaner博士との共同研究を開始することでRTU‐009の臨床試験を迅速に進めたいと考えております。現在、バルデブロン病院ではMontaner博士を中心に第1相試験およびPOC試験等、臨床治験の実施体制も整備されていますので、本剤のt-PAとの併用による脳梗塞急性期の新たな治療法の開発についても、このシステムの中で産学連携で進める計画です。」と医師であり、同社代表取締役社長でもある眞島行彦氏は語っている。

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