【アナリスト水田雅展の銘柄分析】キムラユニティーは高値更新の展開、収益拡大基調を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 キムラユニティー<9368>(東1)は総合物流サービス企業である。株価は高値更新の展開で8日には1169円まで上伸した。07年8月以来の高値水準だ。指標面の割安感は依然として強く、収益拡大基調を評価して上値追いの展開だろう。07年2月以来の1300円台が視野に入る。

 トヨタ自動車<7203>の補給部品・KD包装、および一般物流請負を主力とする総合物流サービス企業である。自動車販売・リース・整備・販売などの自動車サービス事業、物流分野を中心とする情報サービス事業、派遣・アウトソーシングなどの人材サービス事業、太陽光発電による売電事業なども展開している。13年12月には日本最大級の軽自動車販売専門店を運営するスーパージャンボを子会社化した。

 物流サービス事業ではネット通販市場の拡大も追い風として、物流請負のNLS(ニューロジスティクスサービス)事業の新規顧客開拓や生産性改善を推進している。14年4月にスズケン<9987>の庫内物流業務を請け負う千葉・印西事業所、14年5月に東芝ロジスティクスの物流業務を請け負う神奈川・川崎事業所を開設した。そしてNLS事業の15年3月期売上高が83億98百万円まで拡大し、中期目標の売上高100億円の達成が視野に入っている。

 海外はトヨタ自動車の海外生産拡大に合わせて米国、メキシコ、ブラジル、中国、タイに拠点展開している。米国子会社は13年7月にカナダの大手自動車部品メーカーMAGNAグループのDRIVE社から倉庫内物流請負を新規受注し、14年7月には一段の受注拡大に向けて新倉庫が竣工・稼働した。中国では自動車保有台数の増加に伴って、中期的に補修部品需要の拡大基調が予想される。

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)が107億47百万円、第2四半期(7月~9月)が110億47百万円、第3四半期(10月~12月)が115億81百万円、そして第4四半期(1月~3月)が123億93百万円、営業利益は第1四半期が1億88百万円、第2四半期が3億81百万円、第3四半期が4億43百万円、そして第4四半期が5億08百万円だった。売上高は増加基調で、営業利益は第1四半期をボトムとして改善基調である。

 なお15年3月期の配当性向は31.6%、ROEは同1.3ポイント低下して4.2%、自己資本利益率は同2.3ポイント上昇して50.5%だった。

 今期(16年3月期)の連結業績見通し(4月28日公表)は売上高が前期比3.3%増の473億円、営業利益が同31.5%増の20億円、経常利益が同8.8%増の22億円、純利益が同26.2%増の13億円としている。売上高、利益とも過去最高更新の見込みだ。配当予想は前期と同額だが記念配当2円を普通配当に変えて年間27円(第2四半期末13円、期末14円)としている。予想配当性向は25.1%となる。

 売上面では、単価改正やスーパージャンボの決算期変更による減収要因があるが、物流サービス事業でトヨタ自動車関連が順調に推移し、物流請負のNLS事業が拡大基調である。北米子会社や中国子会社の業容拡大も寄与する。為替の円安も追い風だ。さらに自動車サービス事業におけるCMS(カーマネジメントサービス)のBtoBリース契約台数、スーパージャンボを核としたBtoC自動車販売台数の増加も寄与する。

 利益面では、単価改正や人件費増加が減益要因となるが、物流量の増加、国内外の新規事業所の本格稼動、先行費用の一巡、生産性向上効果などが寄与して大幅増益見通しだ。なお期初時点では営業外収益での為替差益を見込んでいないため、経常利益、純利益は増額含みだろう。

 セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)計画を見ると、物流サービス事業は売上高が同2.1%増の308億10百万円、営業利益が同24.6%増の21億50百万円としている。北米子会社におけるNLS事業分野の受注拡大および収益改善が寄与する。自動車サービス事業は売上高が同5.5%増の151億40百万円、営業利益が同16.6%増の7億70百万円としている。リースおよびメンテナンス契約台数の増加が牽引する。

 情報サービス事業は売上高が同11.6%増の12億30百万円、営業利益が同0.1%増の95百万円、人材サービス事業は売上高が同2.3%減の5億40百万円、営業利益が同37.5%増の45百万円、その他サービス事業は売上高が同6.3%増の50百万円、営業利益が同37.1%増の20百万円としている。

 5月26日には「中期経営計画2017」を発表し、経営目標値として18年3月期の売上高520億円、営業利益25億円、経常利益27億円、純利益16億円、EPS132円56銭、ROE6.0%を掲げた。利益還元は業績や設備投資計画を踏まえつつ、連結配当性向30%以上を目標とした。

 セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)の目標は物流サービス事業の売上高が337億円、営業利益が25億50百万円、自動車サービス事業の売上高が168億15百万円、営業利益が9億円、情報サービス事業の売上高が14億円、営業利益が1億20百万円、人材サービス事業の売上高が7億円、営業利益が50百万円、その他事業の売上高が45百万円、営業利益が15百万円としている。

 そして中期重点強化事業の目標値としては、深トヨタグループ事業の売上高を15年3月期比9.2%増の194億30百万円、NLS(ニューロジスティクスサービス)事業の売上高を同29.2%増の108億50百万円、海外事業の売上高を同29.8%増の80億円、BtoB(CMS=カーマネジメントサービス)事業の管理台数を同90.7%増の4万台、BtoC(車両販売)事業の車両販売台数を同70.5%増の4500台とした。

 中期的にはROEの一段の改善が課題となるが、トヨタ自動車関連やNLS事業の拡大が牽引し、生産性改善効果も寄与して収益拡大基調が期待される。

 株主優待は毎年3月31日現在および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株数に応じて「お米券」を贈呈している。さらに500株以上を継続2年以上保有している株主に対しては、保有株数に応じて長期優待が上乗せされる。たとえば1000株以上を2年以上保有している場合は「基本優待お米券5kg+長期優待お米券2kg=合計お米券7kg」を贈呈する。

 株価の動きを見ると、3月高値1099円を上抜いて高値更新の展開だ。6月8日には1169円まで上伸した。07年8月以来の高値水準だ。16年3月期大幅増益見通しを評価する流れだろう。

 6月8日の終値1157円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS107円72銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2136円52銭で算出)は0.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形だ。低PER、低PBRで指標面の割安感は依然として強い。収益拡大基調を評価して上値追いの展開だろう。07年2月以来の1300円台が視野に入る。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る