松田産業は上値試す、22年3月期も収益拡大期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 松田産業<7456>(東1)は貴金属関連事業および食品関連事業を展開し、中期成長に向けて収益基盤強化策を推進している。21年3月期は増収・2桁増益予想としている。貴金属事業の市場環境改善が牽引して、利益予想は3回目の上振れの可能性が高いだろう。さらに22年3月期も収益拡大を期待したい。株価は08年以来の高値圏で堅調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■貴金属リサイクルや農林水産品販売を展開

 貴金属リサイクル(貴金属事業)や産業廃棄物処理(環境事業)などの貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。20年3月期の売上高構成比は貴金属関連事業62%、食品関連事業38%、営業利益構成比は貴金属関連事業79%、食品関連事業21%だった。

 貴金属リサイクルは、金・銀・白金族などの貴金属製品やめっき用化成品をエレクトロニクス業界へ販売するとともに、半導体や電子部品を製造する過程で規格外となった部品(スペックアウト品)などの貴金属含有スクラップを国内外のメーカーから回収・処理・製錬することで、貴金属をリサイクルする。粉砕・焼成する前処理工程から、貴金属を分離・抽出する製錬・精製工程までを一貫して行い、得られた高純度の金・銀・プラチナ・パラジウムなどから地金、各種加工品、化成品を製造する。海外はベトナム、タイ、フィリピン、シンガポール、中国・蘇州、マレーシア、台湾に展開している。

 産業廃棄物処理は、写真の感光材料からの銀の回収、廃酸や廃アルカリの無害化中間処理など、産業廃棄物の回収・処理を行っている。無害化処理技術に強みを持ち、全国47都道府県での収集運搬業許可を得ている。

 20年8月にはセメント製造設備を利用した大型リチウムイオン電池リサイクル事業の開始を発表した。太平洋セメントと共同で、敦賀セメント構内に設置した焙焼設備を用いて大型リチウムイオン電池リサイクル技術開発を実施してきたが、敦賀セメントが広域認定制度におけるリチウムイオン電池処理施設に認定されたため、20年4月から営業運転を開始した。

 また脱炭素社会実現に向けて、電池サプライチェーン(電池の材料、部品およびその原料に関わる産業)の健全な発展や国際競争力強化を推進することを目的に、21年4月1日付で設立された新団体「一般社団法人 電池サプライチェーン協議会」に正会員として参加した。設立時点の会員は関連企業約50社である。

 食品関連事業はグローバルネットワークで食材(水産品、畜産品、農産品)の調達・販売を展開し、新たな販売市場の開拓および現地における仕入強化を推進している。海外は中国、タイ、ベトナムに展開し、19年10月には中華民国(台湾)市場において新規展開を開始した。

 収益面では、半導体・電子部品などエレクトロニクス業界の生産動向、貴金属および食品市況の影響を受けやすい特性がある。

■22年3月期営業利益55億円目標

 新中期経営計画(19年度~21年度)の目標値は22年3月期売上高2200億円、営業利益55億円、営業利益率2.5%、ROE6.0%としている。

 貴金属関連事業では、基幹事業の基盤強化、資源循環ビジネスをはじめとする顧客価値提案強化と営業体制整備、自動車関連市場・化学関連市場・海外市場の拡大、E-スクラップ・高機能材料・LiBリサイクル等の事業領域拡大を推進する。食品関連事業では、基幹事業の基盤強化、強い商品づくりのための開発・品質保証・生産管理支援機能強化、顧客ニーズに応じた商品ラインナップ拡大、グローバル展開加速を推進する。

 なお20年11月に固定資産取得(北九州市、土地、21年10月1日引き渡し予定)を発表した。中長期的な業容拡大に備えて、物流・生産拠点の充実に向けた拠点整備を図る。

■21年3月期増収増益予想、22年3月期も収益拡大期待

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月7日に公表、11月11日に売上高・利益とも上方修正、2月10日に利益を上方修正)は、売上高が20年3月期比4.3%増の2200億円、営業利益が17.0%増の73億円、経常利益が15.9%増の74億円、親会社株主帰属当期純利益が33.5%増の54億円としている。配当予想(2月10日に期末2円上方修正)は、20年3月期比4円増配の38円(第2四半期末18円、期末20円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比8.9%増の1713億85百万円、営業利益が20.2%増の62億87百万円、経常利益が16.2%増の63億71百万円、四半期純利益が25.0%増の46億76百万円だった。貴金属関連事業が牽引して大幅増益だった。

 貴金属関連事業は18.1%増収で35.3%増益だった。金製品および銀製品の販売量増加に加えて、貴金属相場の上昇も寄与した。食品関連事業は4.7%減収で23.7%減益だった。新型コロナウイルスの影響で業務用水産品・畜産品の販売量が減少した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高535億40百万円で営業利益16億34百万円、第2四半期は売上高581億37百万円で営業利益20億35百万円、第3四半期は売上高597億08百万円で営業利益26億18百万円だった。前四半期比でも増収増益基調である。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が77.9%、営業利益が86.1%と高水準である。第4四半期も貴金属関連事業の市場環境が改善する見込みであり、貴金属事業の市場環境改善が牽引して、通期利益予想は3回目の上振れの可能性が高いだろう。さらに22年3月期も収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の継続1年以上保有株主が対象

 株主優待制度は毎年3月31日現在、1単元(100株)以上を継続1年以上保有する国内在住株主を対象として株主優待品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 株価は08年以来の高値圏で堅調だ。目先的には利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、依然として指標面の割安感は強い。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。4月21日の終値は2276円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS206円61銭で算出)は約11倍、前期推定配当利回り(会社予想の38円で算出)は約1.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2294円82銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約658億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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