ジーニーは反発の動き、DX支援SaaSビジネス領域の成長で22年3月期収益拡大期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ジーニー<6562>(東マ)はマーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーを目指し、アド・プラットフォーム事業のDOOH領域への展開や、企業のDXを支援するSaaSビジネス領域の強化を推進している。21年3月期黒字転換予想である。さらにDX支援SaaSビジネス領域の成長で22年3月期は一段の収益拡大を期待したい。株価は3月の年初来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニー

 インターネット広告に関わるアド・プラットフォーム事業、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関わるマーケティングソリューション事業、および東南アジアを中心とする海外事業を展開している。

 マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーを目指し、アド・プラットフォーム事業のDOOH(自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域への展開や、企業のDXを支援するSaaSビジネス領域の強化を推進している。20年11月には高速・高精度検索エンジン開発のビジネスサーチテクノロジを子会社化した。

 収益面の季節特性として、アド・プラットフォーム事業が広告主の予算配分の影響を受けるため、12月および年度末の3月に売上が集中する傾向がある。なお14年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)と資本業務提携し、現在はソフトバンク<9434>の持分法適用会社となっている。ソフトバンクと協業してクロスボーダーサービスの強化・拡大を推進している。

■独自アドテクノロジーが強み

 アド・プラットフォーム事業はインターネット広告市場において、ネットメディア向けSSP(サプライサイドプラットフォーム)GenieeSSPを主力に、広告主向けDSP(デマンドサイドプラットフォーム)GenieeDSPも展開している。

 ネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)を強みとしている。

 ネット広告取引市場では、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引されるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用して、広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。

 SSPの取引社数は約5000社、DSPの広告主数は約500社に達している。そしてSSPでは16年度から国内トップシェアを確立している。

■DOOH領域に積極展開

 アド・プラットフォーム事業は事業領域拡大戦略で、交通広告や屋外広告などのDOOH(自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域に積極展開している。

 18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月DeNA<2432>のタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。19年8月ジオネクサスにDOOH広告配信プラットフォームをOEM提供した。19年11月メディカルアシストTVと業務提携し、歯科医院デジタルサイネージ向けプログラマティックOOH広告配信を開始した。

 20年1月にヒットと業務提携し、20年2月首都高速道路沿い大型屋外ビジョン向けプログラマティックOOH広告配信を開始、20年3月東京・渋谷ハチ公口および大阪・御堂筋沿いにプログラマティックOOH広告配信を開始した。

 20年7月には京王エージェンシーと業務提携してデジタル広告効果の可視化に向けた実証実験を開始した。20年8月にはユニカと業務提携してDOOH向け広告配信サービス「YUNIKA VISION DOOH」の提供を開始した。また20年10月には日本自動ドアおよびYmixと業務提携した。Fast Beautyが運営する全国約88店舗ヘアカラー専門店fufuに設置するタブレット端末へ広告配信する。

■DX支援SaaSビジネス領域を強化

 マーケティングソリューション事業は、クラウド上でアプリケーションを提供するSaaS型のビジネスモデルで、企業のマーケティング活動を効率化するソフトウェアを提供している。

 主力はCRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システムの「ちきゅう」、マーケティングオートメーションツールの「MAJIN」、およびチャットボットツール「chamo」である。

 CRM/SFAシステム「ちきゅう」は、顧客管理CRMシステムおよび商談管理SFAシステムを一体化させたクラウド型サービスである。マーケティングオートメーション「MAJIN」は企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に購買・契約等を行うためのプラットフォームである。取引実績は合計で約1万社に達し、チャットボットツール「chamo」は4500社の導入実績を持つ国産NO.1のチャットツールである。

 「ちきゅう×MAJIN×chamo」を、集客~販促~受注までを一気通貫で実行・管理できる唯一のセールス&マーケティングプラットフォームとして、企業のDXを支援するSaaSビジネス領域の成長を加速させる方針だ。

■21年3月期黒字転換予想、22年3月期収益拡大期待

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月12日公表)は、売上高が20年3月期比8.6%増の155億80百万円、営業利益が1億86百万円の黒字(20年3月期は91百万円の赤字)、経常利益が1億74百万円の黒字(同1億41百万円の赤字)、EBITDAが2.6倍の5億49百万円、親会社株主帰属当期純利益が1億34百万円の黒字(同1億78百万円の赤字)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比5.2%減の101億56百万円、営業利益が37百万円の黒字(前年同期は1億65百万円の赤字)、経常利益が2百万円の黒字(同1億84百万円の赤字)、EBITDAが5.1倍の3億円、四半期純利益が23百万円の赤字(同2億06百万円の赤字)だった。

 累計ベースではアド・プラットフォーム事業は1.2%減収、マーケティングソリューション事業は28.4%減収、海外事業は10.5%減収だった。マーケティングソリューション事業の広告運用代行ビジネスが新型コロナウイルスに伴う広告出稿抑制の影響を受け、海外の不採算事業の縮小も影響して減収だった。ただしマーケティングソリューション事業のSaaSビジネス領域の成長で収益性改善して営業黒字転換した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高30億63百万円で営業利益1億32百万円の赤字、第2四半期は売上高33億67百万円で営業利益9百万円の黒字、第3四半期は売上高37億26百万円で営業利益1億60百万円の黒字だった。第2四半期に営業黒字転換し、第3四半期は計画以上に営業黒字拡大した。

 なお第3四半期の売上総利益は7億56百万円で、四半期ベースとして過去最高だった。アド・プラットフォーム事業でDSPが成長し、マーケティングソリューション事業では「chamo」がリニューアル効果で利益貢献開始した。

 通期は増収・黒字転換予想としている。売上総利益は通期ベースで25.5%増の27.8億円の計画である。第3四半期の売上総利益(7.5億円)が想定以上に利益増進し、第4四半期も上場来最高の売上総利益(10.2億円)を目指すとしている。第3四半期の利益急回復に加えて、下期が広告業界の需要期であることを勘案すれば、通期上振れ余地がありそうだ。さらにDX支援SaaSビジネス領域の成長で22年3月期は一段の収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は3月の年初来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。4月21日の終値は924円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS7円48銭で算出)は約124倍、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS141円47銭で算出)は約6.5倍、時価総額は約166億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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